解説書 Vol.1

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12.4.8 RIP使用時の注意事項

<この項の構成>
(1) RFCとの差分
(2) 同一装置で二つ以上のネットワークアドレスを使用する場合の注意事項
(3) VRRP使用時の注意事項

(1) RFCとの差分

本装置はRFC1058(RIP-1),RFC2453(RIP-2)に準拠していますが,ソフトウェアの機能制限から一部RFCとの差分があります。RFCとの差分を次の表に示します。

表12-14 RFCとの差分

RFC 本装置
RFC1058(RIP-1) サブネットの広告 サブネット化されたネットワークと接続している境界ゲートウェイは,ほかの隣接ゲートウェイに対して全体のネットワーク経路だけを広告します。 本装置ではサブネットワーク経路からネットワーク経路を自動的に生成しません。サブネットワーク経路からネットワーク経路を生成したい場合は,経路集約機能を使用する必要があります。
一般に全体のネットワークのメトリックは,サブネットの中で一番小さいメトリックが採用されます。 本装置ではサブネットワーク経路からネットワーク経路を自動的に生成しません。サブネットワーク経路からネットワーク経路を生成したい場合は,経路集約機能を使用する必要があります。集約経路のメトリック値はRIPのデフォルト・メトリック値またはエキスポート・フィルタで指定したメトリック値を使用します。
境界ゲートウェイは直接接続されたネットワークにあるホスト経路をほかのネットワークに対して広告してはなりません。 本装置では直接接続されたネットワークにあるホスト経路を,ルーティングテーブルに追加および広告します。
レスポンス受信 すでに存在するネットワーク経路またはサブネットワーク経路に含まれるホスト経路は追加しないことが望ましいです。 本装置ではレスポンスによってホスト経路を受信した場合,ルーティングテーブルに追加します。
RFC2453(RIP-2) 認証 平文パスワードをサポートします。 本装置では認証機能はサポートしていません。
ルートタグ ルートタグは,RIP内経路とRIP外経路を切り分けるために使用します。 本装置ではルートタグによるフィルタリングはサポートしていません。
RIP以外のプロトコルをサポートするルータは異なるプロトコルからインポートされた経路のルートタグを変更できるようにすべきです。 本装置ではほかのプロトコルからRIPに広告する経路のルートタグは変更できません。
互換性 RIP-2ルータがRIP-1のリクエストを受信した場合,RIP-1のレスポンスで応答すべきです。RIP-2だけを送信するように設定されている場合,レスポンスは送信すべきではありません。 本装置はRIP-2インタフェースではRIP-2のレスポンスだけを送信します。このため,RIP-1のリクエストを受信した場合,リクエストに対するレスポンスは送信しません。
受信制御スイッチ(RIP-1だけを許す,RIP-2だけを許す,両方許す,受信を受け付けない)を持つべきです。これらはインタフェース単位に行います。 本装置ではインタフェース単位でRIPの受信を制御できますが,RIP-1,RIP-2を区別した受信制御はできません。

(2) 同一装置で二つ以上のネットワークアドレスを使用する場合の注意事項

同一装置で二つ以上のネットワークアドレスを使用してそれぞれサブネット化している場合,RIPでネットワーク情報を広告するためにはコンフィグレーションの設定が必要です。次のような構成で,RIPで10.0.0.0,192.168.10.0のネットワーク情報を広告する設定例を示します。

[設定例]
  1. aggregate 10.0.0.0/8 proto all
    10.0.0.0に10.x.0.0のネットワークを経路集約します。
  2. aggregate 192.168.10.0/24 proto all
    192.168.10.0に192.168.10.xのネットワークを経路集約します。
  3. export proto rip proto aggregate
    経路集約した情報をRIPで広告します。

なお,経路集約された情報の優先度(プリファレンス)はデフォルトでは130で,RIPやスタティック経路情報の優先度より低くなります。そのため,ネットワークシステムとして問題となる場合は,コンフィグレーションコマンドaggregateのpreferenceを指定して,優先度を変更してください。

(3) VRRP使用時の注意事項

VRRPで設定した仮想IPアドレスではRIPを使用できません。

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