解説書 Vol.1
IGMP snoopingが設定されたVLANでIGMPメッセージを受信することによってマルチキャストMACアドレスをダイナミックに学習します。学習したマルチキャストMACアドレスはFDBに登録します。
- <この項の構成>
- (1) エントリの登録
- (2) エントリの削除
(1) エントリの登録
IGMPv1/IGMPv2 ReportメッセージおよびIGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信すると,メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスからマルチキャストMACアドレスを学習し,IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Reportメッセージを受信したポートにだけマルチキャストグループ宛のトラフィックを転送するエントリを作成します。
IPv4マルチキャストデータの宛先MACアドレスはIPアドレスの下位23ビットをMACアドレスにコピーして生成します。そのため,下位23ビットが同じIPアドレスはMACアドレスが重複します。例えば,224.10.10.10と225.10.10.10はどちらもマルチキャストMACアドレスは01:00:5E:0A:0A:0Aとなります。これらのアドレスについては,レイヤ2中継で同一MACアドレス宛のパケットとして取り扱います。IPv4マルチキャストアドレスとMACアドレスの対応を次の図に示します。
図9-3 IPv4マルチキャストアドレスとMACアドレスの対応
(2) エントリの削除
学習したマルチキャストMACアドレスは次のどれかの場合に,すべてのポートにグループメンバが存在しなくなった時点で削除されます。
- IGMPv2 Leaveメッセージを受信した場合
IGMPv2 Leaveメッセージを受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,クエリア設定時だけです。未設定時は代表クエリアから送信されます)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。
- IGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信した場合
IGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,クエリア設定時だけです。未設定時は代表クエリアから送信されます)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。ただし,マルチキャストアドレスレコードタイプがBLOCK_OLD_SOURCESのIGMPv3 Reportを受信した場合は,次の条件をすべて満たした場合だけ,Group-Specific Queryメッセージの送信およびエントリの削除処理を実行します。
- 自装置にクエリア設定をしている
- 該当するVLANにIPv4マルチキャストを使用していない
- IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信してから一定時間経過した場合
マルチキャストルータは直接接続するインタフェース上にグループメンバが存在するかを確認するため,定期的に Queryメッセージを送信します。本装置はルータからのIGMP Queryメッセージを受信した場合,VLAN内の全ポートに中継します。IGMP Queryメッセージに対する応答がない場合,エントリからこのポートだけを削除します。すべてのポートから応答がない場合は,エントリ自体を削除します。
本装置ではエントリを削除するタイムアウト時間を260秒(デフォルト値)としています。260秒間IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信しない場合,対応するエントリを削除します。タイムアウト時間は次に示す場合に,動的に設定します。
また,次の場合,タイムアウト時間はデフォルト値での運用となります。
- 他装置が代表クエリア(IGMPv3での運用)
代表クエリアからのIGMPv3 Queryメッセージ(QQICフィールド)から算出します。
- 自装置が代表クエリアでIPv4マルチキャストを使用
IGMPv2/IGMPv3に関係なく,自装置に設定したQuery Intervalで算出します(ただし,Query Intervalを設定していなければ,デフォルト値での運用となります)。
- 他装置が代表クエリア(IGMPv2での運用)でIPv4マルチキャストを使用
該当するVLANにIPv4マルチキャストを使用していれば,自装置に設定したQuery Intervalで算出します(ただし,Query Intervalを設定していなければデフォルト値での運用となります)。
注 タイムアウト時間は,Query Interval(QQICフィールドの値)×2+Query Response Intervalで算出します。
- 自装置が代表クエリアでIPv4マルチキャストは未使用
IGMPv2/IGMPv3に関係なく,デフォルト値での運用となります。
- 他装置が代表クエリア(IGMPv2での運用)でIPv4マルチキャストは未使用
該当するVLANにIPv4マルチキャストを使用していなけれは,デフォルト値での運用となります。この場合,該当するVLANではQuery Intervalを125秒で運用してください。
- 自装置が代表クエリアでIPv4マルチキャストにDVMRPを使用
IPv4マルチキャストにDVMRPを使用している場合,デフォルト値での運用となります。この場合,該当するVLANではQuery Intervalを125秒で運用してください。
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