33.1.3 BFDセッション
対向装置をBFDによる監視対象としてコンフィグレーションに設定することで,本装置と対向装置の間にBFDセッションを生成します。ここでの監視対象とは,次の組み合わせによって一意に決定される接続対象を指します。
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宛先IPアドレス
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BFDパケットの送信インタフェース(シングルホップの場合だけ)
本装置にBFDが設定されていない場合は,対向装置からのBFDパケットを受信しても応答しないため,BFDセッションは確立しません。BFDセッションを生成するには,本装置と対向装置で双方向の設定が必要です。
- 〈この項の構成〉
(1) 基本動作
本装置のBFDは,連携するプロトコルからの要求に基づいて動作します。プロトコルの監視機能としてBFDをコンフィグレーションに設定して,かつ監視対象となる対向装置が決定した時点で,新しいBFDセッションの生成と確立を開始します。対向装置の決定方法はプロトコルに依存します。コンフィグレーションが変更されると,動作に反映します。また,コンフィグレーションが削除されると,BFDセッションも削除します。
BFDの基本動作を次の図に示します。
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装置Aでは,装置Cと装置DをBFD監視対象として設定します。装置Cでは装置Aを,装置Dでも装置AをBFD監視対象として設定します。このとき,装置Aと装置C,装置Aと装置Dの間に,それぞれBFDセッションが生成されます。
(2) BFDセッションの状態
生成されたBFDセッションは,状態に従って監視を開始します。BFDセッションの状態を次の表に示します。
状態 |
内容 |
説明 |
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Down |
ダウン |
生成されたBFDセッションの初期状態,または対向装置を認識していない状態です。 |
Init |
確立要求中 |
対向装置からDown状態のBFDパケットを受信して,自装置だけが監視対象を認識した過渡状態です。Init状態を経由しないで,直接Up状態になることもあります。 |
Up |
アップ |
InitまたはUp状態のBFDパケットを受信して,互いに監視対象を認識した状態です。セッションが確立されて,BFD監視が有効になります。 |
AdminDown |
管理的ダウン |
ユーザまたはシステムによって,意図的にBFDセッションをダウンさせた状態です。BFDセッションの確立は抑止されていて,対向装置からAdminDown状態を通知されるとBFDセッションがダウンします。 |
BFDパケットには,送信側の装置の状態が含まれています。BFDパケット上の状態と受信側の装置の状態によって,BFDセッションの状態が決定します。
装置Aと装置C間のBFDセッションでの,状態遷移の例を次の図に示します。
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装置AおよびCはコンフィグレーションに従ってBFDセッションをDown状態で作成して,BFD監視対象となったシステムにBFDパケット(Down)を一定の周期で送信します。
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BFDパケット(Down)を受信した装置Cは,装置Aを認識したためInit状態へ遷移して,BFDパケット(Init)を一定の周期で送信します。BFDパケット(Init)を受信した装置Aは,Up状態へ遷移します。
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装置AはBFDパケット(Up)を一定の周期で送信します。BFDパケット(Up)を受信したInit状態の装置Cは,Up状態へ遷移します。
このように,両装置がUp状態となることでBFDセッションが確立したと見なされて,BFD監視が有効になります。
確立しているセッションでどちらかの装置がDown状態またはAdminDown状態になると,BFDパケットの受信によって対向装置もDown状態となって,BFDセッションはダウンします。