33.1.4 BFDによる障害検出
- 〈この項の構成〉
(1) 障害検出の仕組み
BFDセッションの確立後,障害検出時間のうちにBFDパケットを受信しなかった場合,BFDセッションはダウンします。
装置DとHUBの間に障害が発生した例を次の図に示します。
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装置Aと装置Dの間にHUBがあるため,装置Aではリンク障害を検出できないでリンクアップしたままになります。しかし,BFDパケットを受信しなくなることによって,障害検出時間の経過後にBFDセッションでは障害を検出できます。このように,システム間にL2スイッチなどが存在して対向装置の障害が伝わらないときなどにBFDは有効です。
(2) 障害検出時間の設定
障害検出時間は,コンフィグレーションで設定する本装置の監視間隔,および対向装置で設定されている監視間隔によって決定します。本装置での,各監視間隔の設定と障害検出時間の算出方法を次の表に示します。
決定者 |
監視間隔 |
説明 |
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本装置 |
最小送信間隔 |
本装置が要求するBFDパケットの最小送信間隔です。本装置が対向装置へ送信するBFDパケットの間隔の算出に使用します。 コンフィグレーションで設定できます。1秒未満の値を設定した場合,セッションが確立するまでは1秒となります。 |
最小受信間隔 |
本装置が要求するBFDパケットの最小受信間隔です。対向装置が本装置へ送信するBFDパケットの間隔の算出に使用します。 コンフィグレーションで設定できます。 |
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検出乗数 |
本装置が要求する検出乗数です。障害として扱う連続パケットロスの回数を示します。 コンフィグレーションで設定できます。 |
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対向装置 |
最小送信間隔 |
対向装置が要求する最小送信間隔です。 対向装置が送信するBFDパケットで本装置に通知されます。 |
最小受信間隔 |
対向装置が要求する最小受信間隔です。 対向装置が送信するBFDパケットで本装置に通知されます。 |
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検出乗数 |
対向装置が要求する検出乗数です。 対向装置が送信するBFDパケットで本装置に通知されます。 |
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本装置 |
送信間隔 |
本装置のBFDパケット送信間隔です。 本装置の最小送信間隔と対向装置の最小受信間隔を比較して,値の大きい方を採用します。 |
受信間隔 |
本装置のBFDパケット受信間隔です。 本装置の最小受信間隔と対向装置の最小送信間隔を比較して,値の大きい方を採用します。 |
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障害検出時間 |
障害検出時間のうちにBFDパケットを受信できないときに,障害と見なしてBFDセッションをダウンさせます。 本装置の受信間隔に,対向装置が要求する検出乗数を乗算した値です。 |
送信間隔と受信間隔は,同じ値である必要はありません。また,パケットの送受信間隔は,通信方向ごとに独立して決定します。
本装置の障害検出時間が300秒を超えない範囲で指定してください。
(3) 障害検出動作
本装置から見た,BFDセッションでの障害検出例を次の図に示します。なお,検出乗数は3とします。
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障害を検出すると,連携するプロトコルにBFDセッションのダウンを通知して,BFDパケットの送信を停止します。監視対象を動的に決定するプロトコルの場合は,プロトコルによって該当のBFDセッションは削除されて,監視対象を再選出します。