7.3.3 スイッチ状態
ここでは,スイッチ状態とスイッチ状態遷移後の変更処理について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) スイッチ状態一覧
スイッチ状態一覧を次の表に示します。なお,英字略称はログまたはコマンドプロンプトで,スイッチ状態の識別のために使われます。
スイッチ状態 |
英字 略称 |
説明 |
---|---|---|
初期状態 |
I |
装置が起動したあと,スイッチ状態が次のどれかに決まるまでの状態。
|
スタンドアロン |
S |
スタックを構成しない装置の状態。 |
マスタ |
M |
スタックを構成していて,ほかのメンバスイッチを制御するメンバスイッチの状態。 |
バックアップ |
B |
スタックを構成していて,かつ,現在のマスタスイッチに障害が発生した場合マスタスイッチに切り替わるメンバスイッチの状態。 |
(2) スイッチ状態遷移後の変更処理
スイッチ状態が遷移すると,メンバスイッチは遷移後のスイッチ状態で正しく動作するために次に示す処理をします。
-
初期化
-
切り替え
これらの処理を変更処理と呼びます。遷移前と遷移後のスイッチ状態によって,必要な変更処理が異なります。また,変更処理には時間が掛かります。
(a) 初期状態からマスタへ遷移した場合の変更処理
スイッチ状態が初期状態からマスタへ遷移すると,変更処理として,転送動作を始めるための初期化をします。初期化中のマスタスイッチは,スタックポートでメンバスイッチと接続しても,メンバスイッチをすぐに追加しません。初期化が完了してから,接続したメンバスイッチを追加します。
(b) 初期状態からバックアップへ遷移した場合の変更処理
スイッチ状態が初期状態からバックアップへ遷移すると,変更処理として,転送動作を始めるための初期化をします。初期化中のバックアップスイッチはマスタスイッチとの接続がなくなると再起動します。そのため,バックアップスイッチの初期化中に,マスタスイッチが停止または再起動すると,パケットの転送を継続できません。初期化が完了したバックアップスイッチは,マスタスイッチとの接続がなくなった時点で,マスタスイッチに切り替わります。したがって,初期化が完了したあとマスタスイッチとの接続がなくなっても,バックアップスイッチのポートがアップしていれば,パケットの転送を継続できます。
なお,初期化中のバックアップスイッチに対しては,マスタスイッチから運用コマンドを実行して情報を表示したり,操作したりできません。バックアップスイッチの初期化が完了してから,再度実行してください。
(c) バックアップからマスタへ遷移した場合の変更処理
スイッチ状態がバックアップからマスタへ遷移すると,変更処理として,新しいマスタスイッチとして動作するための切り替えをします。切り替え中のマスタスイッチは,スタックポートでメンバスイッチと接続しても,メンバスイッチをすぐに追加しません。切り替えが完了してから,接続したメンバスイッチを追加します。