トラブルシューティングガイド

[目次][索引][前へ][次へ]


3.10.3 IPv6 DHCPサーバに関するトラブルシューティング

<この項の構成>
(1) コンフィグレーションが配布されない
(2) プレフィックス配布先への通信ができない
(3) 本装置DUIDが他装置と重複した場合

(1) コンフィグレーションが配布されない

本装置IPv6 DHCPサーバのプレフィックス配布機能を使用するに当たり,サービスが正常に動作しない原因としては,以下の5点が考えられます。

  1. プレフィックス配布設定数に対して,クライアント数が多い。
  2. クライアントDUID(DHCP Unique Identifier)の指定を誤っている。
  3. ipv6 dhcp server設定を誤っている。
  4. IPv6 DHCPサーバ運用中の障害
  5. その他の障害

上記は,以下の手順で障害個所を切り分け,確認できます。

図3-15 IPv6 DHCPサーバの障害解析手順

[図データ]

(a) ログおよびインタフェースの確認

通信ができなくなる原因として,NIM,インタフェースの障害(または壊れ)や,隣接装置の障害が考えられます。本装置が表示するログや,show ipv6 interfaceコマンドによるインタフェースのup/down状態を確認してください。手順については「3.10.1 通信できない,または切断されている」を参照してください。

(b) 本装置のIPv6 DHCPサーバ状態確認

  1. IPv6 DHCPサーバサービスの起動確認
    show ipv6 dhcp server statisticsコマンドで,IPv6 DHCPサーバデーモンから情報が取得できるか確認してください。show ipv6 dhcp server statisticsコマンドの実行結果が以下の場合は,コンフィグレーションコマンドservice ipv6 dhcpでIPv6 DHCPサーバ機能を再設定してください。

    [実行結果]
    > show ipv6 dhcp server statistics
    > < show statistics >: dhcp6_server doesn't seem to be running.
     
  2. 配布可能なプレフィックスの残数を確認する
    show ipv6 dhcp server statisticsコマンドで,IPv6 DHCPサーバがあといくつプレフィックスを配布できるかを確認してください。確認手順については,マニュアル「コンフィグレーションガイド」を参照してください。確認の結果,配布可能なプレフィックス数が0である場合は配布するプレフィックス数を増やしてください。なお,配布可能なプレフィックス数の上限は1024です。

(c) コンフィグレーション確認手順

  1. IPv6 DHCPサーバ機能の有効設定の確認
    コンフィグレーションコマンドshow serviceで,IPv6 DHCPサーバ設定が有効になっているかを確認してください。実行結果で示す下線部が表示されなければIPv6 DHCPサーバ機能は有効です。

    [実行結果]
    (config)# show service
    no service ipv6 dhcp
    !
    (config)#
  2. ipv6 dhcp serverの設定を確認する
    コンフィグレーションコマンドshowで,ipv6 dhcp server設定の有無を確認してください。設定がない場合は追加してください。設定がある場合は,設定しているインタフェースが,クライアント接続ネットワーク向けの設定であることを確認してください。

    [実行結果]
    (config)# show
    interface vlan 10
      ipv6 address 3ffe:1:2:: linklocal
      ipv6 enable
      ipv6 dhcp server Tokyo preference 100
    !
    (config)#
  3. ipv6 dhcp pool/ipv6 local pool/prefix-delegation/prefix-delegation poolの設定を確認する
    コンフィグレーションコマンドshow ipv6 dhcpで,IPv6 DHCPサーバで配布しようとしているプレフィックス配布設定の有無を確認してください。設定がない場合は追加してください。設定がある場合は,配布するプレフィックスを指定するprefix-delegation/ipv6 local poolの設定値,配布クライアントを決めるduidの設定有無,ならびにduidに指定したクライアントDUIDの値が正しいかを確認してください。

    [実行結果]
    (config)# show ipv6 dhcp
    ipv6 dhcp pool Tokyo
      prefix-delegation 3ffe:1:2::/48 00:03:00:01:11:22:33:44:55
    !
    (config)#

(d) クライアントによる二重取得

  1. binding情報の確認
    show ipv6 dhcp bindingコマンドをdetailパラメータ指定で実行し,同一DUIDに対してプレフィックスが二重に配布されていないかを確認します。以下に表示例を示します。

    [実行結果]
    > show ipv6 dhcp binding detail
    Total: 2 prefixes
    <Prefix>             <Lease expiration>  <Type>
      <DUID>
    3ffe:1234:5678::/48      XX/04/01 11:29:00   Automatic  
      00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55
    3ffe:aaaa:1234::/48      XX/04/01 11:29:00   Automatic  
      00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55
    >
    下線で示すように,同一DUIDが2個以上存在する場合は,プレフィックス情報を不当に取得しているクライアントである可能性があります。各クライアントを確認し,配布を受けたプレフィックス値を確認してください。
  2. 配布済みプレフィックスとクライアントの対応をとる
    show ipv6 dhcp binding detailの結果で,プレフィックスを二重取得しているクライアントが見つからない場合は,表示されるDUIDとクライアント装置の対応を取る手順が必要となります。対応付けは,binding情報に示される「配布済みプレフィックスの値」と「クライアント装置が配布を受けたプレフィックスの情報」を比較することで確認してください。

(e) クライアントの設定状態を確認する

クライアントの設定状態を確認する場合は,クライアント付属のマニュアルに従ってください。

(f) 二重配布からの回復手順

本装置IPv6 DHCPサーバで,同一クライアントへプレフィックスを二重配布したことを確認した場合は,表示されるDUIDとクライアントの対応から,現在未使用のプレフィックスを調査してください。現在未使用のプレフィックスについては,clear ipv6 dhcp binding <未使用プレフィックス>コマンドによって,binding情報を削除してください。

[実行結果]
> show ipv6 dhcp binding detail
Total: 2 prefixes
<Prefix>             <Lease expiration>  <Type>
  <DUID>
3ffe:1234:5678::/48      XX/04/01 11:29:00   Automatic  
  00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55
3ffe:aaaa:1234::/48      XX/04/01 11:29:00   Automatic  
  00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55
> clear ipv6 dhcp binding 3ffe:1234:5678::/48
> show ipv6 dhcp binding detail
<Prefix>             <Lease expiration>  <Type>
  <DUID>
3ffe:aaaa:1234::/48      XX/04/01 11:29:00   Automatic  
  00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55
>

(2) プレフィックス配布先への通信ができない

本装置DHCPサーバのプレフィックス配布先への自動経路情報設定機能を利用する場合,経路情報が設定されない要因は以下の二つがあります。

  1. コンフィグレーション設定済みだが,未配布である。
  2. 自動経路情報設定に関連する機能に影響がある操作,またはイベントが発生した。

上記は経路情報を確認するshow ipv6 route -sコマンドの結果とshow ipv6 dhcp server bindingコマンドでの配布済みプレフィックス情報を比較することで切り分けることができます。

表3-39 プレフィックス配布先への経路情報関連障害切り分け

条件 発生要因
binding情報 経路情報
あり 経路あり 該当なし。active状態。
あり 経路なし 要因2
なし 経路あり 要因2
なし 経路なし 要因1,2

プレフィックス配布先への経路情報の保有性については,次の表に示す制限があります。

表3-40 プレフィックス配布先への経路情報の保有性

プレフィックスに関する保有情報 発生イベントと保有性
サーバ機能
再起動
ルーティングマネージャ
再起動
本装置
再起動
コマンド実行 サーバ障害
クライアントへの
経路情報
×

(凡例)
○:保証される
△:保証されない(各状態の情報が保有される場合もある)
×:保証されない(初期化されるため,再設定要)

プレフィックス配布先への経路情報設定を行う際に必要な経路管理機能
なお,その他の障害については,「3.10.1 通信できない,または切断されている」を参照してください。

(a) 経路情報の確認

本装置IPv6 DHCPサーバのプレフィックス配布先への自動経路設定機能を利用する場合,プレフィックス配布後の経路情報は,show ipv6 routeコマンドで-sパラメータを指定して確認できます。

図3-16 運用コマンドによる経路情報の確認

> show ipv6 route -s
Total: 10routes
Destination             Next Hop      Interface        Metric  Protocol  Age
3ffe:1234:5678::/48     ::1           tokyo            0/0      Static   45m
        <Active Gateway Dhcp>
3ffe:aaaa:1234::/48     ::1           osaka            0/0      Static   23m
        <Active Gateway Dhcp>
     :
>

(b) 経路情報の再設定を行う

本装置IPv6 DHCPサーバのプレフィックス配布先への自動経路設定機能を利用する場合,障害などで経路情報がクリアされるイベントが発生したとき,その復旧にはプレフィックスの再配布が必要です。クライアント装置で,プレフィックス情報を再取得する操作を行ってください。

(3) 本装置DUIDが他装置と重複した場合

本装置を含むIPv6 DHCPサーバを同一ネットワーク上で2台以上運用する構成で,DUIDが重複する場合は,以下の手順で本装置のDUIDを再設定してください。

(a) DUID情報保存ファイルを削除する

本装置DUIDは/usr/var/dhcp6/dhcp6s_duidに保存されています。運用コマンドラインより,rmコマンドを使用し,明示的に削除してください。

(b) DUIDを再生成させる

DUIDファイルを削除後は,restart ipv6-dhcp serverコマンドによって再起動させるか,コンフィグレーションへIPv6 DHCPサーバ設定を追加してください。本装置IPv6 DHCPサーバは起動時にIPv6 DHCPサーバインタフェースとして使用するipv6インタフェースのMACアドレスを取得し,これと時刻情報を基に新たに生成します。

(c) DUIDの確認

show ipv6 dhcp server statisticsコマンドの「< Server DUID >」の項目によって確認できます。詳細は,マニュアル「コンフィグレーションガイド」を参照してください。

[目次][前へ][次へ]


[他社商品名称に関する表示]

All Rights Reserved, Copyright(C), 2005, 2014, ALAXALA Networks, Corp.