解説書 Vol.1

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14.13 IPv6使用時の注意事項

<この節の構成>
(1) IPv6中継回線のMTU長の変更
(2) 同一リンクでのハードウェア中継機能
(3) ping ipv6およびtraceroute ipv6コマンドの宛先IPv6アドレス
(4) PPPインタフェースでIPv6を使用するときの注意事項
(5) 送信元アドレスと宛先アドレスのスコープが異なるパケットの扱い

(1) IPv6中継回線のMTU長の変更

IPv6の最小パケット長は1280バイト以上と規定されています(RFC2460)。このため,ATM回線のVCなどMTU長を変更できるインタフェースでMTU長を1280バイト未満に設定すると,IPv6通信ができません。IPv6通信を行うインタフェースのMTU長は1280バイト以上で使用してください。

(2) 同一リンクでのハードウェア中継機能

同一リンク上の本装置および端末間のIPv6通信について,本装置がIPv6ハードウェア中継を行う場合,次に示す注意事項があります。

(a) 同一リンク上の端末間の通信

次に示す図のような構成で,同一リンク上のIPv6端末間で行う通信のプレフィックスが一致していないために本装置に中継させる設定をしている場合,ハードウェアによる高速中継にはなりません。このため,性能が低下する場合があります。同一リンク上のIPv6端末上の通信では各端末のIPv6アドレスのプレフィックスを一致させ,端末同士が直接通信する設定にしてください。

図14-46 同一リンク上のIPv6端末間の通信に本装置を使用する構成

[図データ]

(b) ICMPv6リダイレクトメッセージ送信

ICMPv6リダイレクトメッセージが送信されるのは,ネクストホップアドレスが同一リンク上のルータのリンクローカルアドレスの場合だけです。経路のネクストホップアドレスをグローバルアドレスで設定している場合は,ICMPv6リダイレクトメッセージが送信されないので注意してください。

(3) ping ipv6およびtraceroute ipv6コマンドの宛先IPv6アドレス

本装置では,インタフェース立ち上がり時にRFC2462で規定されている重複アドレス検出を実行します。これによって他装置との重複が確認されたIPv6アドレスに対してping ipv6およびtraceroute ipv6コマンドを実行した場合,宛先として指定したIPv6アドレスではなく,本装置の別のインタフェースのIPv6アドレスから返答が返ることがあるので注意してください。

また,インタフェース立ち上がり直後の数秒間は,重複アドレス検出が完了していないため,同様に別のIPv6アドレスから返答が返ることがありますが,重複アドレス検出が完了次第通常の動作に戻るので問題ありません。

(4) PPPインタフェースでIPv6を使用するときの注意事項

IPv6通信を行うPPPインタフェースでは,マルチリンクPPPを使用できません。

(5) 送信元アドレスと宛先アドレスのスコープが異なるパケットの扱い

本装置では,送信元アドレスがリンクローカルアドレスで,宛先アドレスがリンクローカルアドレス以外のパケットは不正なパケットとして廃棄します。しかし,送信元アドレスに対してICMPv6 Destination Unreachable (beyond scope of source address)メッセージを返しません。

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