解説書 Vol.1

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11.3.11 グレースフル・リスタート

グレースフル・リスタート機能を持ったルータ同士の連携によって,ルータの経路制御部(ルーティングプロトコル処理部)が障害などによって再起動した場合でも,通信制御部(フォワーディング処理部)が正常である場合,そのルータを経由するパケットの中継を継続する機能です。また,再起動時BGP4コネクションの切断によって発生する経路広告のフラップを抑止し,周囲のルータへの有害な影響を防ぎます。

再起動しながらパケット・フォワーディングを継続するルータをリスタート・ルータと呼び,リスタート・ルータに隣接して,リスタート・ルータを経由するパケット中継を実行するルータをレシーブ・ルータと呼びます。本装置は,直結するネットワーク内の外部ピアと,お互いのインタフェースアドレスをピアアドレスとしてピアリングする構成で,外部ピアに対してレシーブ・ルータとなる機能をサポートします。

グレースフル・リスタートを実行するには,該当ルータ間でBGP4コネクションを確立するときに,サポート機能のネゴシエーションをしておく必要があります。

本装置でのグレースフル・リスタートの例を次の図に示します。

図11-26 グレースフル・リスタートの例

[図データ]

本装置およびルータ1,ルータ2はグレースフル・リスタートの機能をサポートするBGP4コネクションを確立しているとします。また,ルータ1は本装置に直結したネットワーク内に設置された,リスタート・ルータの機能を持つルータで,インタフェースアドレスをピアアドレスに使用している外部ピアとします。ルータ1でルーティングプロトコルを制御するソフトウェアが再起動し,BGP4コネクションが切断したとき,本装置とルータ2はレシーブ・ルータとして動作し,ルータ1を経由するパケット・フォワーディングを停止しないで継続します。また,ルータ1は再起動している制御ソフトウェアから独立したハードウェアによって,パケットの転送処理ができるので,自AS内のホストは外部ASを経由する通信を続けることができます。

なお,グレースフル・リスタートをサポートするBGP4コネクションが確立しているとき,ピアから新しいコネクションの要求を受けた場合,プロトコルの規定によって,確立中のBGP4コネクションを破棄し,新しいBGP4コネクションを使用します。この動作によるセキュリティ上の問題を防ぐためにTCP MD5認証を併用してください。

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