解説書 Vol.1

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10.4.7 RIP使用時の注意事項

<この項の構成>
(1) RFCとの差分
(2) 同一装置で二つ以上のネットワークアドレスを使用する場合
(3) WAN回線(フレームリレー,ATM)でRIPを使用する場合
(4) RIP受信負荷の制限

(1) RFCとの差分

本装置はRFC1058(RIP-1),RFC1723(RIP-2)に準拠していますが,ソフトウェアの機能制限から一部RFCとの差分があります。RFCとの差分を次の表に示します。

表10-12 RFCとの差分

RFC 本装置
RFC1058(RIP-1) サブネットの広告 サブネット化されたネットワークと接続している境界ゲートウェイは,ほかの隣接ゲートウェイに対して全体のネットワーク経路だけを広告します。 本装置ではサブネットワーク経路からネットワーク経路を自動的に生成しません。サブネットワーク経路からネットワーク経路を生成したい場合は,経路集約機能を使用する必要があります。
一般に全体のネットワークのメトリックは,サブネットの中で一番小さいメトリックが採用されます。 本装置ではサブネットワーク経路からネットワーク経路を自動的に生成しません。サブネットワーク経路からネットワーク経路を生成したい場合は,経路集約機能を使用する必要があります。集約経路のメトリック値はRIPのデフォルト・メトリック値またはエキスポート・フィルタで指定したメトリック値を使用します。
境界ゲートウェイは直接接続されたネットワークにあるホスト経路をほかのネットワークに対して広告してはなりません。 本装置では直接接続されたネットワークにあるホスト経路を,ルーティングテーブルに追加および広告します。
レスポンス受信 すでに存在するネットワーク経路またはサブネットワーク経路に含まれるホスト経路は追加しないことが望ましいです。 本装置ではレスポンスによってホスト経路を受信した場合,ルーティングテーブルに追加します。
RFC1723(RIP-2) 認証 平文パスワードをサポートします。 本装置では認証機能はサポートしていません。
ルートタグ ルートタグは,RIP内経路とRIP外経路を切り分けるために使用します。 本装置ではルートタグによるフィルタリングはサポートしていません。
RIP以外のプロトコルをサポートするルータは異なるプロトコルからインポートされた経路のルートタグを変更できるようにすべきです。 本装置ではほかのプロトコルからRIPに広告する経路のルートタグは変更できません。
互換性 RIP-2ルータがRIP-1のリクエストを受信した場合,RIP-1のレスポンスで応答すべきです。RIP-2だけを送信するように設定されている場合,レスポンスは送信すべきではありません。 本装置はRIP-2インタフェースではRIP-2のレスポンスだけを送信します。このため,RIP-1のリクエストを受信した場合,リクエストに対するレスポンスは送信しません。
受信制御スイッチ(RIP-1だけを許す,RIP-2だけを許す,両方許す,受信を受け付けない)を持つべきです。これらはインタフェース単位に行います。 本装置ではインタフェース単位でRIPの受信を制御できますが,RIP-1,RIP-2を区別した受信制御はできません。

(2) 同一装置で二つ以上のネットワークアドレスを使用する場合

例えば,10.0.0.0と192.168.0.0を使用しそれぞれサブネット化している場合,RIPでネットワーク情報を広告するためには構成定義情報の設定が必要です。

(例)
1台の本装置で,10.1.0.0/16,10.2.0.0/16,192.168.10.0/25,192.168.10.128/25と四つのネットワークアドレスを使用した場合,RIPで10.0.0.0,192.168.10.0のネットワーク情報を広告するためには,以下の設定が必要です。
 
aggregate 10.0.0.0/8 proto all…10.0.0.0に10.x.0.0のネットを経路集約
aggregate 192.168.10.0/24 proto all…192.168.10.0に192.168.10.xのネットを経路集約
export proto rip proto aggregate…経路集約した情報をRIPで広告する
 
また,経路集約(aggregete)された情報の優先度(preference)はデフォルト値130で,RIP,スタティック設定されたルーティング情報より低くなっています。この場合,ネットワークシステムとして不都合が発生するときは,優先度を変更してください(構成定義コマンドaggregateのpreference)。

(3) WAN回線(フレームリレー,ATM)でRIPを使用する場合

WAN回線に設定したIP情報のインタフェースタイプ(構成定義コマンドipのconnect_type)により,RIPの動作が異なります。

(a) ポイント−ポイント型(connect_type point)
RIPフレームの送信先IPアドレスは,接続先IPアドレス(構成定義コマンドipのdestination_ip_addressで指定したIPアドレス)になります。

(b) ブロードキャスト型(connect_type broad)
RIPフレームの送信先IPアドレスは,ブロードキャストアドレスになります。

RIPを交換する相手ルータによっては,ブロードキャスト型しか受け付けることができないものがあります。

(4) RIP受信負荷の制限

RIP受信にあたり,経路数約2800以上のRIPを次の表に示す値を超えて受信すると,すべてのRIPパケットを受信できない場合があります。

表10-13 RIPパケット受信上限値

NIF種別 RIP受信の上限となる目安値[pps]
ATM 3400
WAN 2700
LAN 2800

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