解説書 Vol.1

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7.2.3 フレームリレー,ATMのネットワーク

フレームリレーやATMは論理的なパス(PVC)の張り方によって,フルメッシュまたはパーシャルメッシュのネットワークトポロジがあります。また,それぞれのインタフェースについてネットワークへの接続形態にブロードキャスト型またはポイント−ポイント型を選択できます。

あるPVCで受信したパケットを同一の物理回線内の異なるPVCへ中継する動作を折り返しと呼びます。ネットワークへの接続形態およびアドレス設計によって,この折り返し中継ができるかどうかが異なります。パケット中継動作の違いについて次の表に示します。

表7-2 パケット中継動作の違い

ネットワークのトポロジ ネットワークへの接続形態 アドレス設計 パケット中継動作
パーシャルメッシュ ブロードキャスト型 1サブネット 折り返し不可
サブネット分割 折り返し可
ポイント−ポイント型 折り返し可
フルメッシュ ブロードキャスト型 1サブネット 折り返し不可
サブネット分割 折り返し可
ポイント−ポイント型 折り返し可

(凡例) −:該当しない

注※ 本装置だけで構成されたルータネットワークです。また,ポイント−ポイント接続の場合の中継動作は,本装置がポイント−ポイント接続する1PVCに対して二つのホストアドレスとして経路情報を扱うという特徴によるものです。詳細は「10. RIP/OSPF」〜「11. BGP4」を参照してください。


<この項の構成>
(1) パーシャルメッシュネットワーク
(2) フルメッシュネットワーク
(3) 異なるインタフェースの混在

(1) パーシャルメッシュネットワーク

パーシャルメッシュ構成のネットワークは,フルメッシュ構成に比べてPVC数を少なくできるというメリットがあります。広域接続でキャリアのサービスを利用するときは,通信コストを抑えることができます。

(a) ブロードキャスト接続で1サブネットとする例

パーシャルメッシュ構成のネットワークにブロードキャスト接続し,1回線が接続するネットワークを一つのサブネットとする例について説明します。これはセンタと拠点間の通信などに適用されるネットワーク構成の例で,この場合,センタ側と各拠点間は通信できますが,各拠点どうしの通信はできません。このネットワークを経由して各拠点間が通信する必要がない場合や,拠点数の多い場合など,最もシンプルなインタフェースとなる構成です。ブロードキャスト接続で1サブネットとする例を次の図に示します。

図7-14 ブロードキャスト接続で1サブネットとする例

[図データ]

(b) ブロードキャスト接続でサブネット分割する例

パーシャルメッシュ構成のネットワークにブロードキャスト接続し,1回線が接続するネットワークを複数のサブネットに分割し,それぞれのPVCはどれかのサブネットに収容する例について説明します。センタと拠点間の通信を中心とするネットワークへの適用例です。サブネット分割によって異なるサブネット間で中継できます。ただし,拠点間通信は必ずセンタ側の本装置で中継されるので,拠点間の通信量を考慮してセンタ側の装置構成およびVCの帯域を決定する必要があります。ブロードキャスト接続でサブネット分割する例を次の図に示します。

図7-15 ブロードキャスト接続でサブネット分割する例

[図データ]

(c) ポイント−ポイント接続する例

パーシャルメッシュ構成のネットワークにポイント−ポイント接続する例について説明します。センタと拠点間通信を中心とするネットワーク構成の例で,この場合,センタと拠点間の通信とともに各拠点どうしも通信できます。ただし,拠点間通信は必ずセンタ側の本装置で中継されるので,拠点間の通信量を考慮してセンタ側の装置構成およびPVCの帯域を決定する必要があります。この構成は,折り返しできる点はブロードキャスト接続でサブネット分割する場合と同様ですが,IPアドレスのネットワークアドレスが少ないというメリットがあります。フレームリレー網またはATMネットワークを介して接続するルータが本装置である場合に接続できます。ポイント−ポイント接続する例を次の図に示します。

図7-16 ポイント−ポイント接続する例

[図データ]

(2) フルメッシュネットワーク

比較的拠点数が少なく階層化していないネットワーク,またはトラフィック量にあまり偏りがない対等な拠点間を接続するネットワークに適した構成です。どの拠点間通信も宛先に直接接続するPVCを使用するので,パーシャルメッシュ構成の場合のような中継による遅延がなく,各PVCの帯域の設計も容易です。

(a) ブロードキャスト接続で1サブネットとする例

フルメッシュ構成のネットワークにブロードキャスト接続し,1回線が接続するネットワークを一つのサブネットとする例について説明します。対等な拠点間で相互に通信する場合に適用されるネットワーク構成の例で,最もシンプルなインタフェースとなる構成です。各拠点間の通信には,通信する拠点を直接結ぶPVCを使用します。ブロードキャスト接続で1サブネットとする例を次の図に示します。

図7-17 ブロードキャスト接続で1サブネットとする例

[図データ]

(b) ブロードキャスト接続でサブネット分割する例

フルメッシュ構成のネットワークにブロードキャスト接続し,1回線が接続するネットワークを複数のサブネットに分割して,それぞれのPVCはどれかのサブネットに収容する例について説明します。対等な拠点間で相互に通信する場合に適用されるネットワーク構成の例です。この構成の特長はネットワーク内のある経路で障害が発生した場合,迂回する経路を使用できることです。ブロードキャスト接続でサブネット分割する例を次の図に示します。この例は拠点A,拠点Bの本装置間の回線に障害が発生した場合の迂回の例です。

図7-18 ブロードキャスト接続でサブネット分割する例(回線障害発生時の迂回)

[図データ]

(c) ポイント−ポイント接続する例

フルメッシュネットワークでもポイント−ポイント接続はできますが,拠点数が多いとIPアドレスを多く消費するので,あまり一般的ではありません。また,この構成はフレームリレー網またはATMネットワークを介して接続するルータが本装置である場合に実現できます。フルメッシュ構成のネットワークにポイント−ポイント接続する例を次の図に示します。

図7-19 フルメッシュ構成のネットワークにポイント−ポイント接続する例

[図データ]

(3) 異なるインタフェースの混在

本装置のフレームリレー,ATMは1物理回線について,回線単位,PVC単位,任意のPVCのグループ単位にインタフェースを割り当てられます。また,インタフェースごとにブロードキャスト型またはポイント−ポイント型を選択でき,異なるインタフェースが同一物理回線に混在できます。これらの条件を組み合わせることで構築するネットワークに合わせた設定ができます。同一物理回線に異なるインタフェースの混在する例を次の図に示します。

図7-20 異なるインタフェースの混在する例

[図データ]

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