解説書 Vol.1

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6.7.1 帯域設計時の注意事項

ここでは本装置のATMインタフェースの性能,および帯域設計についての注意事項を示します。

<この項の構成>
(1) ATMインタフェースの性能
(2) セル化のオーバヘッド
(3) 過負荷時のセル廃棄によるルーティングプロトコルへの影響
(4) ATMインタフェースでの送信QoS制御指定(Outbound)
(5) RP処理負荷とQoS制御の関係

(1) ATMインタフェースの性能

本装置のATMインタフェースでの送信性能は回線当たり50kpacket/sです。それ以上のトラフィックが流入しないよう十分考慮して,ネットワークを設計してください。

(2) セル化のオーバヘッド

イーサネットなどの異なるメディアのネットワークからATMネットワークにパケット中継する場合,入力したトラフィックより出力するトラフィックがセル化のオーバヘッドによって高くなります。

イーサネットで受信したIPパケットをATMネットワークに送信する場合について,イーサネットフレームからセルへの変換を次の図に示します。

図6-22 イーサネットフレームからセルへの変換

[図データ]

例えば,イーサネットから64バイトのフレームを受信した場合,IPパケット長は46バイトです。これをATMネットワークに送信するときにはデータ長が48バイトの整数倍になるようにPADを加えるので,次のようになります。

 
ヘッダ(8バイト)+IPパケット(46バイト)+PADおよびトレーラ(42バイト)
=96バイト
これをセル化して,53×2バイト=106バイト(2セル)
 

したがって,この場合はイーサネットからの受信速度に対し,ATMネットワークへの送信速度は1.66倍になります。

(3) 過負荷時のセル廃棄によるルーティングプロトコルへの影響

ATMインタフェースにトラフィックが集中し,設定したVCの帯域を超える過負荷状態が発生した場合,本装置はシェーピング機能によって帯域を超えた分のセルを廃棄します。このとき,該当するインタフェースにRIP,OSPFなどのダイナミックルーティングプロトコルを使用している場合,相手装置との間に通信断が発生する場合があります。これはセルの廃棄時に,ルーティングプロトコルの制御パケットを識別しないため,制御パケットを廃棄する場合があるためです。次に,RIPの場合を例として示します。

過負荷発生時のシェーピングを次の図に示します。このような通信断を防ぐために,VCの帯域はトラフィック量を考慮して設定してください。

図6-23 過負荷発生時のシェーピング

[図データ]

(4) ATMインタフェースでの送信QoS制御指定(Outbound)

ATMインタフェースはQoS制御をレイヤ2レベルでサポートしています。このため,ATMのサービスカテゴリ(CBR,UBRなど)ごとに出力制御をします。ATMインタフェースのQoS制御を次の図に示します。

図6-24 ATMインタフェースのQoS制御(サービスカテゴリごとの出力制御)

[図データ]

イーサネットやWANインタフェースはQoS制御をレイヤ3レベルでサポートしているため,プロトコルやIPアドレスの判定によってQoS制御ができますが,ATMインタフェースでのQoS制御については,「解説書 Vol.2 1.10 QoS制御機能の仕様一覧」を参照してください。

(5) RP処理負荷とQoS制御の関係

RPに負荷が発生する場合は,QoS制御が機能しなくなる場合があります。詳細については「解説書 Vol.2 1.11 QoS制御使用時の注意事項」を参照してください。この場合,サービスカテゴリCBRのVCでも,廃棄発生によって送信トラフィック量が帯域以下となります。廃棄発生の程度より,CBR帯域をUBR帯域が使用する場合もありますので注意してください。

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