解説書 Vol.2
SNMPマネージャは,ネットワーク上の新しい装置を検出したり,トラフィック状況を監視したりするため,SNMPエージェントサポート機器に対して定期的にMIBの取得処理を行います。この定期的なMIB取得処理間隔が短いとネットワーク機器やネットワークに負荷をかけることになります。また,装置の状態や回線速度などによってMIB取得時にマネージャ側でタイムアウトが発生する可能性があります。次に示すことを考慮し,ネットワーク管理を行ってください。
- <この項の構成>
- (1) SNMPマネージャ側の応答監視タイマ値の考慮
- (2) SNMPマネージャによるMIB情報の収集周期の見直し
- (3) VRRP構成でのネットワーク監視の注意事項
SNMPマネージャ側でMIB取得時の応答監視タイマ値を変更できる場合は,5秒以上に設定してください。なお,本装置が次に示す場合に,マネージャ側で応答タイムアウトが頻発します。応答タイムアウトが頻発する場合は,応答監視タイマ値をさらに延ばす必要があります。
- ネットワークのレスポンスが悪い場合
例えば,SNMPマネージャと本装置間に多数の接続装置(ブリッジ,ルータなど)がある,または回線速度が低い場合。
- 接続IPネットワーク数や接続インタフェース数が多い場合
例えば,本装置のインタフェース数が多い場合,IP関連のMIB情報の検索時間で時間がかかる場合。
- ルーティングテーブルのエントリが多い場合
例えば,本装置のIPルーティングエントリ数が多い場合にルーティング関連のMIB情報の検索時間で時間がかかります。または,経路計算などでMIB情報の検索するCPU割当時間の減少による,MIBレスポンス低下が発生する場合。
- ARP数が多い場合
例えば,本装置のARP数が多い場合,ARP関連のMIB情報の検索時間で時間がかかる場合。
- 接続SNMPマネージャ数が多い場合
例えば,本装置に接続するSNMPマネージャが多く,一定時間内にMIB情報の収集が集中する場合。
- SNMPマネージャのチューニングパラメータ
- ポーリング周期
- 応答監視タイマ
- 応答監視タイムアウト時のリトライ回数
(2) SNMPマネージャによるMIB情報の収集周期の見直し
本装置は,ネットワークの規模に伴い管理情報(MIB)量も増大します。このため,大規模ネットワークに接続する場合,SNMPマネージャからの問い合わせに対する管理情報の収集に長時間を必要とし,一時的に装置が過負荷状態になる場合があります。
過負荷状態が発生した場合,ルーティング情報の取りこぼしや,ルーティング情報を本装置から他装置に配布できなくなり,一時的にIPフレームの中継ができなくなることが発生します。このような場合,SNMPマネージャの各種パラメータのチューニングをお勧めします。
- BCUを二重化構成で運用しているとき
- SNMPマネージャからMIBを設定すると,待機系RMへ現用構成定義情報ファイルの内容を自動的にコピーするため,時間がかかることがあります。このときは,応答監視タイマ値を少なくとも20秒以上に設定してください。
(3) VRRP構成でのネットワーク監視の注意事項
VRRP構成のネットワークをJP1/Cm2で管理する場合,VRRPの状態がマスタからスレーブ状態に遷移したときに,"xx.xx.xx.xxが報告されたyy.yy.yy.yyの物理アドレス0xXXXXXXXXXXXXはSNMPがzz.zz.zz.zzから得たアドレス0xVVVVVVVVVVVVと異なる"というメッセージを出力します。
これは,JP1/Cm2内のデータベース情報(IPアドレスと物理アドレスの対応情報)とSNMPのMIBから取得したIPアドレスと物理アドレスの対応情報が異なるために発生します。このため,VRRPの状態がマスタからスレーブ状態に遷移したときに,このメッセージを出力した場合は問題ありません。xx.xx.xx.xx,yy.yy.yy.yy,zz.zz.zz.zzの部分はIPアドレス値になります。0xXXXXXXXXXXXXの部分は仮想アドレスの値,0xVVVVVVVVVVVVの部分は物理MACアドレスになります。
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