解説書 Vol.2
本装置では,ブリッジ中継対象フレームのMACヘッダの各フィールドまたはMACヘッダの先頭からフレーム中の任意フィールドの値が指定したパターンと一致するかを調べてフィルタリングできます。これをすでに説明したFDBによるフィルタリングと区別するために拡張フィルタリングと呼びます。
- <この項の構成>
- (1) 拡張フィルタリングの比較項目
- (2) 拡張フィルタリング指定対象
- (3) 条件一致時の動作
- (4) 拡張フィルタリングの設定例
(1) 拡張フィルタリングの比較項目
拡張フィルタリングでは,次に示すフレームのフィールドを指定できます。
- DA :宛先MACアドレス(6バイト)
- SA :送信元MACアドレス(6バイト)
- DSAP:宛先SAP(サービスアクセスポイント)(1バイト)
- SSAP:送信元SAP(サービスアクセスポイント)(1バイト)
- CTL :コントロールフィールド(1バイト)
- OUI :組織コード(3バイト)
- PID :プロトコルID(2バイト)
- TYPE:イーサネットタイプ(2バイト)
- ユーザ定義の任意フィールド指定:
フレームの宛先MACアドレスの先頭をゼロとしたオフセット値m
(バイト数)からnバイトのフィールド
(m:0〜54,n:1〜6)
これらの指定方法はいろいろな上位プロトコルについて柔軟なフィルタリングを行うことを想定しています。各比較項目は比較値とマスクの組み合わせで指定します。フレームの指定されたフィールドの値とマスクのビットANDをとったあとに比較値と一致するかを調べます。
拡張フィルタリングの1エントリで最大三つの比較項目を設定できます。すべての比較項目が一致した場合に,そのエントリの拡張フィルタリングの条件が一致したとみなします。
(2) 拡張フィルタリング指定対象
全インタフェースを指定すると,すべてのインタフェースで受信時または送信時にフレームが条件に一致するかを調べます。
特定インタフェースを指定すると,指定したインタフェースで,受信時または送信時にフレームが条件に一致するかを調べます。
(3) 条件一致時の動作
- Forwardを指定するとそのフレームを中継します。Dropを指定すると,そのフレームを廃棄します。
拡張フィルタリングの最大エントリ数は200です。各エントリは先にあるエントリから順に調べられ,条件が一致するエントリがあるとそれ以後のエントリは無視されます。最後のエントリまで調べて条件に一致するものがない場合に,そのフレームは中継されます。
拡張フィルタリングの設定例を次の表に示します。この例では次のフィルタリング条件を設定しています。
- 全インタフェースで,送信元MACアドレスがローカルアドレスであるフレームを廃棄する(Entry No.1)。
- interface1では宛先MACアドレスがマルチキャスト・アドレスで,宛先/送信元SAPが特定の値であるフレームを廃棄し,それ以外のフレームをブリッジ中継する(Entry No.2)。
- interface2では特定DAを持つフレームだけをブリッジ中継し,それ以外のフレームを廃棄する(Entry No.3,4,5)。
表4-3 拡張フィルタリングの設定例
構成定義情報の設定項目 意味 Entry No. Interface Action Item No. Type Value(16進) Mask(16進) 1 all Drop 1 SA 400000000000 400000000000 SAがローカル・アドレス(U/L=1)のフレームを廃棄(全インタフェース) 2 OFF − − 3 OFF − − 2 Interface1 Drop 1 DA 800000000000 800000000000 DAがマルチキャスト・アドレス(I/G=1)で,DSAP/SSAPがFEのフレームを廃棄(特定インタフェース) 2 DSAP fe ff 3 SSAP fe ff 3 Interface2 Forward 1 DA 006097c010c7 ffffffffff 特定DAのフレームをブリッジ中継(特定インタフェース) 2 OFF − − 3 OFF − − 4 Interface2 Forward 1 DA 0000e2081390 ffffffffff 特定DAのフレームをブリッジ中継(特定インタフェース) 2 OFF − − 3 OFF − − 5 Interface2 Drop 1 TYPE 0000 0000 すべてのフレームを廃棄(特定インタフェース) 2 OFF − − 3 OFF − − (凡例) −:該当しない
特定のフレームだけを中継してそれ以外のフレームを廃棄したい場合には,この表に示すように中継条件のエントリを先に設定し(Entry No.3,4),最後に廃棄条件のエントリを設定する(Entry No.3,4,5)のが望ましい設定です。
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