解説書 Vol.2
各ルータはRIP(Routing Information Protocol)によって経路情報を交換し,ダイナミックにルーティングテーブルを作成します。IPXルーティングを使用するRIPは,IPルーティングで使用するRIPとはまったく異なるパケットです。RIPパケットの種類を次の表に示します。
パケットの種類 パケット送出元 機能 パケットの送出先 要求 サーバ/ルータ 経路情報収集の要求※1 ブロードキャスト クライアント 最短経路情報の要求 応答 サーバ/ルータ 要求に対する応答※1 要求パケット発行者 周期的な経路情報の通知※2※3 ブロードキャスト 経路変更時の情報の通知※1 注※1 non_Periodic RIP
注※2 Periodic RIP
注※3 周期RIPと呼びます。
- <この項の構成>
- (1) RIPパケット送信/受信の制御
- (2) 最適経路の決定とルーティングテーブルへの登録
- (3) ルーティングエントリのエージング
- (4) IPXルーティングエントリ数
各サーバ/ルータはサーバ/ルータの存在を周期的に通知するために,周期RIP(Periodic RIP)と呼ばれるブロードキャストパケットを送信します。本装置ではこの周期RIPの送信間隔(Periodic RIP Interval)をインタフェース単位に構成定義情報で変更できます。値を0に設定すると周期RIPパケットは送信しません。また,そのほかのRIPパケット(非周期RIP:non-Periodic RIP)の送信はインタフェース単位で抑止するように設定できます。
RIPパケット受信に対しては,構成定義情報の指定に関係なく学習を行い,エントリを更新します。構成定義情報の指定とRIP送信/受信制御の関係を次の表に示します。
表3-3 構成定義情報の指定とRIP送信/受信制御の関係
RIPパケット 構成定義情報の指定 送信 受信 周期RIP Periodic_rip_interval
0(分)周期RIPを送信しない 構成定義情報の指定に関係なく,RIPパケット受信による学習は行います。 Periodic_rip_Interval
n(分)周期RIPを送信する 非周期RIP non_periodic_rip_send_off 非周期RIPを送信しない non_periodic_rip_send 非周期RIPを送信する 通常,各インタフェースのRIPは次に示すどちらかの設定をします。
- 周期/非周期ともに送信する(ダイナミック)
- スタティックルーティングを設定した場合に周期/非周期ともに送信しないように設定する
本装置では複数の経路から最適経路を決定するときに,ティック数の合計が小さい経路を選択し,ルーティングテーブルのエントリを作成します。一つのネットワークのティック数はイーサネットでは固定的に1,WANおよびATMではインタフェースごとに設定できます。
しかし,そのほかのルータの中にはホップ数(中継するルータの数)で最適経路を決定するものもあるため,通常ティック数は1に設定することをお勧めします。また,本装置では同じティック数の経路が複数あれば,先に学習した方をルーティングテーブル中に保持します。
経路の決定を次の図に示します。
図3-4 経路の決定
ルータAでは,ネットワーク1からネットワーク6への経路として,ルータA→B→Cの経路をルータA→D→Cの経路より先に学習した場合,ティック数が同じであるのでルータA→B→Cの経路が有効になります。
A→B→Cの経路に障害が発生した場合,RIPの再学習によってルータAの経路はA→D→Cに切り替わりますが,経路交替までの間,ネットワーク1からネットワーク6への通信は中断されます。
ルーティングエントリのエージング時間は,構成定義情報で指定した周期RIPの送信間隔の3倍です。指定値が0の場合,エージングは行いません。なお,スタティック定義されたルーティングエントリはエージングの対象となりません。
本装置はIPXルーティングエントリを最大1000個持つことができます。ただし,この値はダイナミックに学習した数とスタティックに定義された数の合計です。
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