運用ガイド
- <この項の構成>
- (1) コンフィグレーション情報が配布されない
- (2) プレフィックス配布先への通信ができない
- (3) 本装置DUIDが他装置と重複した場合
(1) コンフィグレーション情報が配布されない
本装置DHCPサーバのプレフィックス配布機能を使用するにあたり,サービスが正常に動作しない原因としては,以下の5点が考えられます。
- プレフィックス配布定義数に対して,クライアント数が多い。
- クライアントDUID(DHCP Unique Identifier)の指定を誤っている。
- dhcp6-server interface定義を誤っている。
- DHCP運用中の障害
- その他の障害
上記は,以下の手順をもって障害個所を切り分け,確認することができます。
図7-10 DHCPサーバの障害解析手順
(a) ログメッセージおよびインタフェースの確認
通信ができなくなる原因として,ハードウェア(RP/NIF/Line)の障害(または壊れ)や,隣接装置の障害が考えられます。本装置が表示するログメッセージや,show ipv6 interfaceコマンドによるインタフェースのup/down状態を確認してください。手順については「7.5.1 通信ができない,または切断されている」を参照してください。
(b) 本装置のDHCPサーバ状態確認
- DHCPサーバサービスの起動確認
show ipv6 dhcp server statisticsコマンドで,DHCPサーバデーモンから情報が取得できるか確認してください。show ipv6 dhcp server statisticsコマンドの実行結果が下記の場合は,構成定義コマンドdhcp6-serverにてDHCPサーバ機能を再設定してください。
- [実行結果]
> show ipv6 dhcp server statistics > < show binding>: dhcp6_server doesn't seem to be running.- 配布可能なプレフィックスの残数を確認する
show ipv6 dhcp server statisticsコマンドで,DHCPサーバがあといくつプレフィックスを配布できるかを確認してください。確認手順は「5.5.8 IPv6 DHCPサーバ機能を確認する(2) 運用中の確認」を実施してください。確認の結果,配布可能なプレフィックス数が0である場合は配布するプレフィックス数を増やしてください。なお,配布可能なプレフィックス数の上限は200です。
(c) 構成定義確認手順
- DHCPサーバ機能の有効設定の確認
構成定義コマンドshow dhcp6-serverコマンドで,DHCPサーバ定義が有効になっているかを確認してください。実行結果で示す下線部が,noではなくyesであれば,定義は有効です。
- [実行結果]
(config)# show dhcp6-server dhcp6-server yes ! (config)#- インタフェース(dhcp6-server interface)定義を確認する
構成定義コマンドshow dhcp6-server interfaceコマンドで,DHCPサーバインタフェース定義の有無を確認してください。定義が無い場合は追加してください。定義がある場合は,定義しているインタフェースが,クライアント接続ネットワーク向けの定義であるかを確認してください。
- [実行結果]
(config)# show dhcp6-server interface dhcp6-server yes dhcp6-server interface TokyoOsaka preference 100 ! (config)#- ホスト(dhcp6-server host)定義を確認する
構成定義コマンドshow dhcp6-server hostコマンドにて,DHCPサーバで配布しようとしているプレフィックス配布定義の有無を確認してください。定義が無い場合は追加してください。定義がある場合は,配布するプレフィックスを指定するprefix/rangeの設定値,配布クライアントを決めるduidの定義有無,ならびにduidに指定したクライアントDUIDの値が正しいかを確認してください。
- [実行結果]
(config)# show dhcp6-server host Tokyo1 dhcp6-server yes dhcp6-server host Tokyo1 duid any range 3ffe:ffff:1111::/48 3ffe:ffff:1112::/48; ! (config)#- ホストターゲット(dhcp6-server host-target)の確認
本装置DHCPサーバは,構成定義コマンドdhcp6-server interfaceのhost-targetにホスト定義名を指定することで,クライアントが接続されるネットワークを制限することができます。そのため,host-targetを指定するインタフェースを誤ると,その他のインタフェースで目的のクライアントから要求を受信した場合に,要求を廃棄します。DHCPサーバの構成定義を見直し,host-targetを指定しているインタフェースや,指定しているホスト定義名の指定が正しいかどうかの確認を行ってください。
- [実行結果]
(config)# show dhcp6-server interface dhcp6-server yes dhcp6-server interface TokyoOsaka preference 100 host-target tokyo host-target osaka ! (config)#(d) クライアントによる二重取得
- binding情報の確認
show ipv6 dhcp binding detailコマンドにより,同一DUIDに対してプレフィックスが二重で配布されていないかを確認します。以下に表示例を示します。
- [実行結果]
下線で示すように,同一DUIDが2個以上存在する場合は,プレフィックス情報を不当に取得しているクライアントである可能性があります。各クライアントを確認し,配布を受けたプレフィックス値を確認してください。
> show ipv6 dhcp binding detail <Prefix> <Lease expiration> <Type> <DUID> 3ffe:1234:5678::/48 03/04/01 11:29:00 Automatic 00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55 3ffe:aaaa:1234::/48 03/04/01 11:29:00 Automatic 00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55 >
- 配布済みプレフィックスとクライアントの対応を取る
show ipv6 dhcp binding detailの結果において,プレフィックスを二重取得しているクライアントが見つからない場合は,表示されるDUIDとクライアント装置の対応を取る手順が必要となります。対応付けは,binding情報に示される「配布済みプレフィックスの値」と「クライアント装置が配布を受けたプレフィックスの情報」を比較することで確認してください。
(e) クライアントの設定状態を確認する
クライアントの設定状態を確認する場合は,クライアント付属のマニュアルにしたがってください。
(f) 二重配布からの回復手順
本装置DHCPサーバで,同一クライアントへプレフィックスを二重配布したことを確認した場合は,表示されるDUIDとクライアントの対応から,現在未使用のプレフィックスを調査してください。現在未使用のプレフィックスについては,運用コマンドclear ipv6 dhcp binding <未使用プレフィックス>によって,binding情報を削除してください。
- [実行結果]
> show ipv6 dhcp binding detail <Prefix> <Lease expiration> <Type> <DUID> 3ffe:1234:5678::/48 03/04/01 11:29:00 Automatic 00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55 3ffe:aaaa:1234::/48 03/04/01 11:29:00 Automatic 00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55 > clear ipv6 dhcp binding detail 3ffe:1234:5678::/48 > show ipv6 dhcp binding detail <Prefix> <Lease expiration> <Type> <DUID> 3ffe:aaaa:1234::/48 03/04/01 11:29:00 Automatic 00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55 >
(2) プレフィックス配布先への通信ができない
本装置DHCPサーバのプレフィックス配布先への自動経路情報設定機能を利用する場合,経路情報が設定されない要因は以下の三つがあります。
- 構成定義済みだが,未配布である。
- 自動経路情報設定に関連する機能に影響がある操作,またはイベントが発生した。
- 本装置DHCPサーバ機能が再起動した。
上記は経路情報を確認する運用コマンドshow ipv6 route -sの結果とshow ipv6 dhcp server bindingでの配布済みプレフィックス情報を比較することで切り分けることができます。
表7-29 プレフィックス配布先への経路情報関連障害切り分け
条件 発生要因 binding情報 経路情報 有 経路有 該当なし。正常運用状態。 有 経路無 要因4 無 経路有 要因3 無 経路無 要因1,2 プレフィックス配布先への経路情報の保有性については,次の表に示す制限があります。
表7-30 プレフィックス配布先への経路情報の保有性
保有情報 発生イベントと保有性 サーバ機能
再起動ルーティングマネージャ
再起動本装置
再起動RM二重化
切り替えクライアントへの
経路情報○ ○ × ×
- (凡例)
- ○:保護される
- ×:削除される(再設定要)
- 注
- プレフィックス配布先への経路情報設定を行う際に必要な経路管理機能
なお,その他の障害については,「7.8.1 通信ができない,または切断されている」を参照してください。
(a) 経路情報の確認
本装置DHCPサーバのプレフィックス配布先への自動経路設定機能を利用する場合,プレフィックス配布後の経路情報は,経路情報を確認する運用コマンドshow ipv6 route -sで確認できます。
図7-11 運用コマンドによる経路情報の確認
> show ipv6 route -s Total: 10routes Destination Next Hop Interface Metric Protocol Age 3ffe:1234:5678::/48 ::1 tokyo 0/0 Static 45m <Active Gateway Dhcp> 3ffe:aaaa:1234::/48 ::1 osaka 0/0 Static 23m <Active Gateway Dhcp> : >(b) 経路情報の再設定を行う
本装置DHCPサーバのプレフィックス配布先への自動経路設定機能を利用する場合,障害等で経路情報がクリアされるイベントが発生したとき,その復旧にはプレフィックスの再配布が必要です。クライアント装置で,プレフィックス情報を再取得する操作を行ってください。
(3) 本装置DUIDが他装置と重複した場合
本装置を含むDHCPサーバを同一ネットワーク上で2台以上運用する構成で,DUIDが重複する場合は,下記手順にて本装置のDUIDを再設定してください。
(a) DUID情報保存ファイルを削除する
本装置DUIDは /primaryMC/usr/var/dhcp6/dhcp6s_duid に保存されています。運用コマンドラインより,rmコマンドを使用し,明示的に削除願います。
(b) DUIDを再生成させる
DUIDファイルを削除後は,運用コマンドrestart ipv6 dhcp serverによって再起動させるか,構成定義へDHCPv6サーバ定義を追加してください。本装置DHCPサーバは起動時にDHCPインタフェースとして使用するipv6インタフェースのMACアドレスを取得し,これと時刻情報を基に新たに生成します。
(c) DUIDの確認
運用コマンドshow ipv6 dhcp server statistics によって確認できます。詳細は「5.5.8 IPv6 DHCPサーバ機能を確認する (4) DUID(DHCP Unique Identifier)について」を参照してください。
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