構成定義ガイド

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5.5.7 ATMメガリンク接続,2拠点間を複数のサービスカテゴリGFRのVCで接続し,VPの帯域を有効利用する

<この項の構成>
(1) 設定内容の概要
(2) 構成図と設定条件
(3) 構成定義情報例

(1) 設定内容の概要

ここでは2拠点間を複数のサービスカテゴリGFRのVCで接続し,フロー毎に最低帯域を保証しつつVPの帯域を有効利用する例を示します。2拠点間の通信にATMメガリンクサービスを中継回線として利用し,必要な帯域の1VPを契約します。これに対し,本装置では同一VPI値の複数VCを設定し,フロー条件に合ったトラフィックをあらかじめ対応付けを設定したVCに流します。本装置のサービスカテゴリGFRのトラフィック制御は,最大帯域としてピークセルレート,最低保証帯域としてミニマムセルレートおよびセル送信優先度を設定する必要があります。また,同一VPI値をもつ複数VCの最低保証帯域の合計が契約したVPの帯域を超えないように設定し,VPに契約した帯域を設定することでVPシェーピングを行います。

フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。ここでは,本装置独自の機能であるパラレルPVC機能を使用します。したがって,接続する相手ルータは本装置に限ります。

(2) 構成図と設定条件

[構成図]

図5-33 構成図

[図データ]

[設定条件]

<ネットワークの環境>
拠点Tokyoおよび拠点Osakaにそれぞれ基幹業務系アプリケーション用のメインフレームとその他の業務用のサーバがあり,拠点Tokyoのメインフレームと拠点Osakaのメインフレームが相互にアクセスし,拠点Tokyoのサーバと拠点Osakaのサーバも相互にアクセスします。このとき,拠点Tokyoと拠点Osaka間の中継回線上では,メインフレーム相互間のトラフィックとサーバ相互間のトラフィックは異なるVCを使用するものとし,メインフレーム相互間のトラフィックの保証帯域は45Mbit/sとし,サーバ相互間のトラフィックの保証帯域は15Mbit/s,最大処理能力は50Mbit/sとします。
中継回線として利用するATMメガリンクサービスは,メインフレーム相互間およびサーバ相互間の保証帯域の合計帯域にあたる60Mbit/sを契約したものとします。この帯域を,メインフレーム相互間のトラフィック用としてサービスカテゴリGFRで最大帯域60Mbit/s,保証帯域45Mbit/sのVCと,サーバ相互間のトラフィック用としてサービスカテゴリGFRで最大帯域50Mbit/s,保証帯域15Mbit/sのVCで使用します。ATMメガリンクサービス接続のために,次のポイントに注意します。
  • lineコマンドのパラメータ-clockがexternalであること。(デフォルト)
  • lineコマンドのパラメータ-frame_formatがsdh_idleであること。(デフォルト)
  • atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを1に設定する。
  • vpコマンドで,契約したとおりVPI値=0についてピークセルレート60Mbit/sを設定する。
フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。また,2本のVCをパラレルPVCとして設定します。このため,次のポイントに注意します。
  • groupコマンドで2本のVCを同一のIPサブネット下にグルーピングする。
  • vc-groupコマンドで2本のVCを同一のパラレルPVC下にグルーピングする。
サービスカテゴリGFRを使用するため,次のポイントに注意します。
  • 設定したミニマムセルレートの帯域はトラフィック量が少なくても設定したVCで確保する。このため,保証帯域の大まかな帯域はセル送出優先度で調整し,微調整はミニマムセルレートで調整する。

<本装置Aの環境>
本装置Aは拠点TokyoのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで,拠点Tokyoのメインフレームおよびサーバと,拠点Osakaのメインフレームおよびサーバ間のトラフィックを中継します。この際,メインフレーム相互間のトラフィックをVPI/VCI=0/32に,サーバ相互間のトラフィックをVPI/VCI=0/33に通します。本装置はNIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
  • メインフレーム系のトラフィック用のVC名:TokyoOsaka1,VPI/VCI:0/32
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=GFR,PCR=50Mbit/s,MCR=5Mbit/s,priority 3
  • サーバ系のトラフィック用のVC名:TokyoOsaka2,VPI/VCI:0/33
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=GFR,PCR=50Mbit/s,MCR=5Mbit/s,priority 1

<本装置Bの環境>
本装置Bは拠点OsakaのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで,拠点Tokyoのメインフレームおよびサーバと,拠点Osakaのメインフレームおよびサーバ間のトラフィックを中継します。この際,メインフレーム相互間のトラフィックをVPI/VCI=0/32に,サーバ相互間のトラフィックをVPI/VCI=0/33に通します。本装置はNIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
  • メインフレーム系のトラフィック用のVC名:OsakaTokyo1,VPI/VCI:0/32
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=GFR,PCR=60Mbit/s,MCR=5Mbit/s,priority 3
  • サーバ系のトラフィック用のVC名:OsakaTokyo2,VPI/VCI:0/33
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=GFR,PCR=60Mbit/s,MCR=5Mbit/s,priority 1

(3) 構成定義情報例

[コマンドによる設定]

<本装置A>
 1    (config)# traffic GFR45M gfr pcr 60000 mcr 5000 priority 3
 2    (config)# traffic GFR15M gfr pcr 50000 mcr 5000 priority 1
 3    (config)# line Tokyo oc3atm 0/0
      [line Tokyo]
 4    (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
      [line Tokyo]
 5    (config)# atm service_category_pattern gfr_clp_priority
      [line Tokyo]
 6    (config)# vp 0 pcr 60000
      [vp 0]
 7    (config)# vc TokyoOsaka1 32 traffic GFR45M
      [vc TokyoOsaka1]
 8    (config)# exit
      [vp 0]
 9    (config)# vc TokyoOsaka2 33 traffic GFR15M
      [vc TokyoOsaka2]
10    (config)# exit
      [vp 0]
11    (config)# exit
      [line Tokyo]
12    (config)# exit
13    (config)# group CentralNet TokyoOsaka1 TokyoOsaka2
      [group CentralNet]
14    (config)# ip 192.168.10.1/24
      [group CentralNet]
15    (config)# exit
16    (config)# vc-group TokyoOsakaG index 0 vc TokyoOsaka1
17    (config)# vc-group TokyoOsakaG index 1 vc TokyoOsaka2
18    (config)# flow yes
19    (config)# flow qos CentralNet out
      [flow qos CentralNet out]
20    (config)# list 1 ip 192.168.200.10 192.168.210.10 action index 0
      [flow qos CentralNet out]
21    (config)# list 2 ip 192.168.100.10 192.168.110.10 action index 1
      [flow qos CentralNet out]
22    (config)# exit

表5-73 本装置Aの構成定義情報解説

解説番号 解説
1 サービスカテゴリGFR,ピークセルレート60Mbit/s,ミニマムセルレート5Mbit/s,セル送出優先度3のトラフィッククラスをトラフィック名GFR45Mで定義します。
2 サービスカテゴリGFR,ピークセルレート50Mbit/s,ミニマムセルレート5Mbit/s,セル送出優先度1のトラフィッククラスをトラフィック名GFR15Mで定義します。
3 NIF番号0,Line番号0に回線名TokyoのATM回線を定義します。
4,5 回線名Tokyoの回線のプロトコルをATMに指定します。
6 VPI=0値およびピークセルレート60Mbit/sを定義します。
7,8 メインフレーム相互間のトラフィック用のVCを定義します。VCI=32,VC名はTokyoOsaka1です。
9〜12 サーバ相互間のトラッフィック用のVCを定義します。VCI=33,VC名はTokyoOsaka2です。
13 VCをグループ化し,インタフェース名CentralNetを定義します。
14,15 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。
16 TokyoYokohama1のVCにインデックス0を割り当て,VCグループTokyoOsakaGにグルーピングします。
17 TokyoYokohama2のVCにインデックス1を割り当て,VCグループTokyoOsakaGにグルーピングします。
18 フロー制御を使用可能にします。
19,20 QoSリスト1にメインフレーム相互間のトラフィックをインデックス0として定義します。
21,22 QoSリスト2にメールサーバ相互間のトラフィックをインデックス1として定義します。

<本装置B>
 1    (config)# traffic GFR45M gfr pcr 60000 mcr 5000 priority 3
 2    (config)# traffic GFR15M gfr pcr 50000 mcr 5000 priority 1
 3    (config)# line Osaka oc3atm 0/0
      [line Osaka]
 4    (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
      [line Osaka]
 5    (config)# atm service_category_pattern gfr_clp_priority
      [line Osaka]
 6    (config)# vp 0 pcr 60000
      [vp 0]
 7    (config)# vc OsakaTokyo1 32 traffic GFR45M
      [vc OsakaTokyo1]
 8    (config)# exit
      [vp 0]
 9    (config)# vc OsakaTokyo2 33 traffic GFR15M
      [vc OsakaTokyo2]
10    (config)# exit
      [vp 0]
11    (config)# exit
      [line Osaka]
12    (config)# exit
13    (config)# group CentralNet OsakaTokyo1 OsakaTokyo2
      [group CentralNet]
14    (config)# ip 192.168.10.2/24
      [group CentralNet]
15    (config)# exit
16    (config)# vc-group OsakaTokyoG index 0 vc OsakaTokyo1
17    (config)# vc-group OsakaTokyoG index 1 vc OsakaTokyo2
18    (config)# flow yes
19    (config)# flow qos CentralNet out
      [flow qos CentralNet out]
20    (config)# list 1 ip 192.168.210.10 192.168.200.10 action index 0
      [flow qos CentralNet out]
21    (config)# list 2 ip 192.168.110.10 192.168.100.10 action index 1
      [flow qos CentralNet out]
22    (config)# exit

表5-74 本装置Bの構成定義情報解説

解説番号 解説
1,2 <本装置A>の解説番号1,2に同じ
3 NIF番号0,Line番号0に回線名OsakaのATM回線を定義します。
4,5 回線名Osakaの回線のプロトコルをATMに指定します。
6 VPI=0値およびピークセルレート60Mbit/sを定義します。
7,8 メインフレーム相互間のトラッフィック用のVCを定義します。VCI=32,VC名はOsakaTokyo1です。
9〜12 サーバ相互間のトラフィック用のVCを定義します。VCI=33,VC名はOsakaTokyo2です。
13 VCをグループ化し,インタフェース名CentralNetを定義します。
14,15 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。
16 OsakaTokyo1のVCにインデックス0を割り当て,VCグループOsakaTokyoGにグルーピングします。
17 OsakaTokyo2のVCにインデックス1を割り当て,VCグループOsakaTokyoGにグルーピングします。
18〜22 <本装置A>の解説番号18〜22に同じ

[構成定義情報の表示]

<本装置A>
traffic GFR45M gfr pcr 60000 mcr 5000 priority 3
traffic GFR15M gfr pcr 50000 mcr 5000 priority 1
!
line Tokyo oc3atm 0/0
  atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
  atm service_category_pattern gfr_clp_priority
  vp 0 pcr 60000
    vc TokyoOsaka1 32 traffic GFR45M
    vc TokyoOsaka2 33 traffic GFR15M
!
vc-group TokyoOsakaG index 0 vc TokyoOsaka1
vc-group TokyoOsakaG index 1 vc TokyoOsaka2
!
group CentralNet TokyoOsaka1 TokyoOsaka2
  ip 192.168.10.1/24
!
flow yes
flow qos CentralNet out
  list 1 ip 192.168.200.10 192.168.210.10 action index 0
  list 2 ip 192.168.100.10 192.168.110.10 action index 1

<本装置B>
traffic GFR45M gfr pcr 60000 mcr 5000 priority 3
traffic GFR15M gfr pcr 50000 mcr 5000 priority 1
!
line Osaka oc3atm 0/0
  atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
  atm service_category_pattern gfr_clp_priority
  vp 0 pcr 60000
    vc OsakaTokyo1 32 traffic GFR45M
    vc OsakaTokyo2 33 traffic GFR15M
!
vc-group OsakaTokyoG index 0 vc OsakaTokyo1
vc-group OsakaTokyoG index 1 vc OsakaTokyo2
!
group CentralNet OsakaTokyo1 OsakaTokyo2
  ip 192.168.10.2/24
!
flow yes
flow qos CentralNet out
  list 1 ip 192.168.210.10 192.168.200.10 action index 0
  list 2 ip 192.168.110.10 192.168.100.10 action index 1

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