構成定義ガイド
- <この項の構成>
- (1) 設定内容の概要
- (2) 構成図と設定条件
- (3) 構成定義情報例
(1) 設定内容の概要
ここでは2拠点間を複数のサービスカテゴリGFRのVCで接続し,フロー毎に最低帯域を保証しつつVPの帯域を有効利用する例を示します。2拠点間の通信にATMメガリンクサービスを中継回線として利用し,必要な帯域の1VPを契約します。これに対し,本装置では同一VPI値の複数VCを設定し,フロー条件に合ったトラフィックをあらかじめ対応付けを設定したVCに流します。本装置のサービスカテゴリGFRのトラフィック制御は,最大帯域としてピークセルレート,最低保証帯域としてミニマムセルレートおよびセル送信優先度を設定する必要があります。また,同一VPI値をもつ複数VCの最低保証帯域の合計が契約したVPの帯域を超えないように設定し,VPに契約した帯域を設定することでVPシェーピングを行います。
フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。ここでは,本装置独自の機能であるパラレルPVC機能を使用します。したがって,接続する相手ルータは本装置に限ります。
(2) 構成図と設定条件
- [構成図]
図5-33 構成図
- [設定条件]
- <ネットワークの環境>
- 拠点Tokyoおよび拠点Osakaにそれぞれ基幹業務系アプリケーション用のメインフレームとその他の業務用のサーバがあり,拠点Tokyoのメインフレームと拠点Osakaのメインフレームが相互にアクセスし,拠点Tokyoのサーバと拠点Osakaのサーバも相互にアクセスします。このとき,拠点Tokyoと拠点Osaka間の中継回線上では,メインフレーム相互間のトラフィックとサーバ相互間のトラフィックは異なるVCを使用するものとし,メインフレーム相互間のトラフィックの保証帯域は45Mbit/sとし,サーバ相互間のトラフィックの保証帯域は15Mbit/s,最大処理能力は50Mbit/sとします。
- 中継回線として利用するATMメガリンクサービスは,メインフレーム相互間およびサーバ相互間の保証帯域の合計帯域にあたる60Mbit/sを契約したものとします。この帯域を,メインフレーム相互間のトラフィック用としてサービスカテゴリGFRで最大帯域60Mbit/s,保証帯域45Mbit/sのVCと,サーバ相互間のトラフィック用としてサービスカテゴリGFRで最大帯域50Mbit/s,保証帯域15Mbit/sのVCで使用します。ATMメガリンクサービス接続のために,次のポイントに注意します。
- lineコマンドのパラメータ-clockがexternalであること。(デフォルト)
- lineコマンドのパラメータ-frame_formatがsdh_idleであること。(デフォルト)
- atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを1に設定する。
- vpコマンドで,契約したとおりVPI値=0についてピークセルレート60Mbit/sを設定する。
- フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。また,2本のVCをパラレルPVCとして設定します。このため,次のポイントに注意します。
- groupコマンドで2本のVCを同一のIPサブネット下にグルーピングする。
- vc-groupコマンドで2本のVCを同一のパラレルPVC下にグルーピングする。
- サービスカテゴリGFRを使用するため,次のポイントに注意します。
- 設定したミニマムセルレートの帯域はトラフィック量が少なくても設定したVCで確保する。このため,保証帯域の大まかな帯域はセル送出優先度で調整し,微調整はミニマムセルレートで調整する。
- <本装置Aの環境>
- 本装置Aは拠点TokyoのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで,拠点Tokyoのメインフレームおよびサーバと,拠点Osakaのメインフレームおよびサーバ間のトラフィックを中継します。この際,メインフレーム相互間のトラフィックをVPI/VCI=0/32に,サーバ相互間のトラフィックをVPI/VCI=0/33に通します。本装置はNIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
- メインフレーム系のトラフィック用のVC名:TokyoOsaka1,VPI/VCI:0/32
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=GFR,PCR=50Mbit/s,MCR=5Mbit/s,priority 3
- サーバ系のトラフィック用のVC名:TokyoOsaka2,VPI/VCI:0/33
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=GFR,PCR=50Mbit/s,MCR=5Mbit/s,priority 1
- <本装置Bの環境>
- 本装置Bは拠点OsakaのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで,拠点Tokyoのメインフレームおよびサーバと,拠点Osakaのメインフレームおよびサーバ間のトラフィックを中継します。この際,メインフレーム相互間のトラフィックをVPI/VCI=0/32に,サーバ相互間のトラフィックをVPI/VCI=0/33に通します。本装置はNIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
- メインフレーム系のトラフィック用のVC名:OsakaTokyo1,VPI/VCI:0/32
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=GFR,PCR=60Mbit/s,MCR=5Mbit/s,priority 3
- サーバ系のトラフィック用のVC名:OsakaTokyo2,VPI/VCI:0/33
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=GFR,PCR=60Mbit/s,MCR=5Mbit/s,priority 1
(3) 構成定義情報例
- [コマンドによる設定]
- <本装置A>
1 (config)# traffic GFR45M gfr pcr 60000 mcr 5000 priority 3 2 (config)# traffic GFR15M gfr pcr 50000 mcr 5000 priority 1 3 (config)# line Tokyo oc3atm 0/0 [line Tokyo] 4 (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1 [line Tokyo] 5 (config)# atm service_category_pattern gfr_clp_priority [line Tokyo] 6 (config)# vp 0 pcr 60000 [vp 0] 7 (config)# vc TokyoOsaka1 32 traffic GFR45M [vc TokyoOsaka1] 8 (config)# exit [vp 0] 9 (config)# vc TokyoOsaka2 33 traffic GFR15M [vc TokyoOsaka2] 10 (config)# exit [vp 0] 11 (config)# exit [line Tokyo] 12 (config)# exit 13 (config)# group CentralNet TokyoOsaka1 TokyoOsaka2 [group CentralNet] 14 (config)# ip 192.168.10.1/24 [group CentralNet] 15 (config)# exit 16 (config)# vc-group TokyoOsakaG index 0 vc TokyoOsaka1 17 (config)# vc-group TokyoOsakaG index 1 vc TokyoOsaka2 18 (config)# flow yes 19 (config)# flow qos CentralNet out [flow qos CentralNet out] 20 (config)# list 1 ip 192.168.200.10 192.168.210.10 action index 0 [flow qos CentralNet out] 21 (config)# list 2 ip 192.168.100.10 192.168.110.10 action index 1 [flow qos CentralNet out] 22 (config)# exit表5-73 本装置Aの構成定義情報解説
解説番号 解説 1 サービスカテゴリGFR,ピークセルレート60Mbit/s,ミニマムセルレート5Mbit/s,セル送出優先度3のトラフィッククラスをトラフィック名GFR45Mで定義します。 2 サービスカテゴリGFR,ピークセルレート50Mbit/s,ミニマムセルレート5Mbit/s,セル送出優先度1のトラフィッククラスをトラフィック名GFR15Mで定義します。 3 NIF番号0,Line番号0に回線名TokyoのATM回線を定義します。 4,5 回線名Tokyoの回線のプロトコルをATMに指定します。 6 VPI=0値およびピークセルレート60Mbit/sを定義します。 7,8 メインフレーム相互間のトラフィック用のVCを定義します。VCI=32,VC名はTokyoOsaka1です。 9〜12 サーバ相互間のトラッフィック用のVCを定義します。VCI=33,VC名はTokyoOsaka2です。 13 VCをグループ化し,インタフェース名CentralNetを定義します。 14,15 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。 16 TokyoYokohama1のVCにインデックス0を割り当て,VCグループTokyoOsakaGにグルーピングします。 17 TokyoYokohama2のVCにインデックス1を割り当て,VCグループTokyoOsakaGにグルーピングします。 18 フロー制御を使用可能にします。 19,20 QoSリスト1にメインフレーム相互間のトラフィックをインデックス0として定義します。 21,22 QoSリスト2にメールサーバ相互間のトラフィックをインデックス1として定義します。
- <本装置B>
1 (config)# traffic GFR45M gfr pcr 60000 mcr 5000 priority 3 2 (config)# traffic GFR15M gfr pcr 50000 mcr 5000 priority 1 3 (config)# line Osaka oc3atm 0/0 [line Osaka] 4 (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1 [line Osaka] 5 (config)# atm service_category_pattern gfr_clp_priority [line Osaka] 6 (config)# vp 0 pcr 60000 [vp 0] 7 (config)# vc OsakaTokyo1 32 traffic GFR45M [vc OsakaTokyo1] 8 (config)# exit [vp 0] 9 (config)# vc OsakaTokyo2 33 traffic GFR15M [vc OsakaTokyo2] 10 (config)# exit [vp 0] 11 (config)# exit [line Osaka] 12 (config)# exit 13 (config)# group CentralNet OsakaTokyo1 OsakaTokyo2 [group CentralNet] 14 (config)# ip 192.168.10.2/24 [group CentralNet] 15 (config)# exit 16 (config)# vc-group OsakaTokyoG index 0 vc OsakaTokyo1 17 (config)# vc-group OsakaTokyoG index 1 vc OsakaTokyo2 18 (config)# flow yes 19 (config)# flow qos CentralNet out [flow qos CentralNet out] 20 (config)# list 1 ip 192.168.210.10 192.168.200.10 action index 0 [flow qos CentralNet out] 21 (config)# list 2 ip 192.168.110.10 192.168.100.10 action index 1 [flow qos CentralNet out] 22 (config)# exit表5-74 本装置Bの構成定義情報解説
解説番号 解説 1,2 <本装置A>の解説番号1,2に同じ 3 NIF番号0,Line番号0に回線名OsakaのATM回線を定義します。 4,5 回線名Osakaの回線のプロトコルをATMに指定します。 6 VPI=0値およびピークセルレート60Mbit/sを定義します。 7,8 メインフレーム相互間のトラッフィック用のVCを定義します。VCI=32,VC名はOsakaTokyo1です。 9〜12 サーバ相互間のトラフィック用のVCを定義します。VCI=33,VC名はOsakaTokyo2です。 13 VCをグループ化し,インタフェース名CentralNetを定義します。 14,15 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。 16 OsakaTokyo1のVCにインデックス0を割り当て,VCグループOsakaTokyoGにグルーピングします。 17 OsakaTokyo2のVCにインデックス1を割り当て,VCグループOsakaTokyoGにグルーピングします。 18〜22 <本装置A>の解説番号18〜22に同じ
- [構成定義情報の表示]
- <本装置A>
traffic GFR45M gfr pcr 60000 mcr 5000 priority 3 traffic GFR15M gfr pcr 50000 mcr 5000 priority 1 ! line Tokyo oc3atm 0/0 atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1 atm service_category_pattern gfr_clp_priority vp 0 pcr 60000 vc TokyoOsaka1 32 traffic GFR45M vc TokyoOsaka2 33 traffic GFR15M ! vc-group TokyoOsakaG index 0 vc TokyoOsaka1 vc-group TokyoOsakaG index 1 vc TokyoOsaka2 ! group CentralNet TokyoOsaka1 TokyoOsaka2 ip 192.168.10.1/24 ! flow yes flow qos CentralNet out list 1 ip 192.168.200.10 192.168.210.10 action index 0 list 2 ip 192.168.100.10 192.168.110.10 action index 1
- <本装置B>
traffic GFR45M gfr pcr 60000 mcr 5000 priority 3 traffic GFR15M gfr pcr 50000 mcr 5000 priority 1 ! line Osaka oc3atm 0/0 atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1 atm service_category_pattern gfr_clp_priority vp 0 pcr 60000 vc OsakaTokyo1 32 traffic GFR45M vc OsakaTokyo2 33 traffic GFR15M ! vc-group OsakaTokyoG index 0 vc OsakaTokyo1 vc-group OsakaTokyoG index 1 vc OsakaTokyo2 ! group CentralNet OsakaTokyo1 OsakaTokyo2 ip 192.168.10.2/24 ! flow yes flow qos CentralNet out list 1 ip 192.168.210.10 192.168.200.10 action index 0 list 2 ip 192.168.110.10 192.168.100.10 action index 1
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