構成定義ガイド

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5.5.4 ATMメガリンク接続,中継ネットワークを1IPサブネットとするセンタ−拠点間通信

<この項の構成>
(1) 設定内容の概要
(2) 構成図と設定条件
(3) 構成定義情報例

(1) 設定内容の概要

ここでは隔地のセンタ−拠点間の通信のためのネットワークであって,拠点間は相互に通信しない場合のネットワークの例を示します。隔地のセンタと各拠点間にATMメガリンクサービスを中継回線として利用します。拠点間は通信しないため,拠点間を直接相互に接続する中継回線はないパーシャルメッシュネットワークを構築します。

センタと各拠点間を接続するVPを契約し,本装置ではこれに対応するVCを設定します。ここでは,センタと各拠点を接続するVCは1本ずつとする場合の例を示します。ATMメガリンクサービスは,契約した固定の帯域を保証するため,本装置のトラフィック制御はサービスカテゴリCBRが適しています。また,VPに契約した帯域を設定することで,VPシェーピングを行います。

フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。ここでは,接続する相手ルータが他機種である場合にも可能な一般的な設定を紹介します。

(2) 構成図と設定条件

[構成図]

図5-30 構成図

[図データ]

[設定条件]

<ネットワークの環境>

センタ側拠点Tokyoと各拠点Osaka,Nagoya,Kyotoをそれぞれ接続するネットワークを構築します。中継回線として利用するATMメガリンクサービスは,拠点Tokyoと拠点Osaka間にVPI値=0で80Mbit/sを,拠点Tokyoと拠点Nagoya間にVPI値=1で20Mbit/sを,および拠点Tokyoと拠点Kyoto間にVPI値=2で20Mbit/sを契約したものとします。ATMメガリンクサービス接続のために,次のポイントに注意します。
  • lineコマンドのパラメータ-clockがexternalであること。(デフォルト)
  • lineコマンドのパラメータ-frame_formatがsdh_idleであること。(デフォルト)
  • vpコマンドで,契約したとおりVPI値およびピークセルレートを設定する。
フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。接続する相手ルータが他機種である場合にも可能な設定とするために,次のポイントに注意します。
  • ipコマンドのパラメータ-connect_typeがbroadであること。(デフォルト)
また,ここではルータC,ルータDはダイナミックなアドレス解決機能を持たない,すなわちInverse ARPをサポートしていないものとして,構成定義情報でアドレス解決情報を設定します。

<本装置Aの環境>
本装置Aは拠点TokyoのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで,NIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。また,ルータC,ルータDに対するアドレス解決情報を設定します。
  • atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを4に設定する。
  • 本装置BへのVC名:TokyoOsakaV,VPI/VCI=0/32
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=80Mbit/s
  • ルータCへのVC名:TokyoNagoyaV,VPI/VCI=1/32
  • ルータDへのVC名:TokyoKyotoV,VPI/VCI=2/32
  • 上記VC,すなわち,TokyoNagoyaVおよびTokyoKyotoVで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=20Mbit/s

<本装置Bの環境>
本装置Bは拠点OsakaのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで,NIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
  • atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを1に設定する。
  • 本装置AへのVC名:OsakaTokyoV,VPI/VCI:0/32
  • トラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=80Mbit/s

(3) 構成定義情報例

[コマンドによる設定]

<本装置A>
 1    (config)# traffic CBR80M cbr pcr 80000
 2    (config)# traffic CBR20M cbr pcr 20000
 3    (config)# line Tokyo oc3atm 0/0
      [line Tokyo]
 4    (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 4
      [line Tokyo]
 5    (config)# vp 0 pcr 80000
      [vp 0]
 6    (config)# vc TokyoOsakaV 32 traffic CBR80M
      [vc TokyoOsakaV]
 7    (config)# exit
      [vp 0]
 8    (config)# exit
      [line Tokyo]
 9    (config)# vp 1 pcr 20000
      [vp 1]
10    (config)# vc TokyoNagoyaV 32 traffic CBR20M
      [vc TokyoNagoyaV]
11    (config)# inverse_arp_off
      [vc TokyoNagoyaV]
12    (config)# exit
      [vp 1]
13    (config)# exit
      [line Tokyo]
14    (config)# vp 2 pcr 20000
      [vp 2]
15    (config)# vc TokyoKyotoV 32 traffic CBR20M
      [vc TokyoKyotoV]
16    (config)# inverse_arp_off
      [vc TokyoKyotoV]
17    (config)# exit
      [vp 2]
18    (config)# exit
      [line Tokyo]
19    (config)# exit
20    (config)# group CentralNet TokyoOsakaV TokyoNagoyaV TokyoKyotoV
      [group CentralNet]
21    (config)# ip 192.168.10.10/24
      [group CentralNet]
22    (config)# exit
23    (config)# arp 192.168.10.2 TokyoNagoyaV
24    (config)# arp 192.168.10.3 TokyoKyotoV

表5-66 本装置Aの構成定義情報解説

解説番号 解説
1 サービスカテゴリCBR,ピークセルレート80Mbit/sのトラフィッククラスをトラフィック名CBR80Mで定義します。
2 サービスカテゴリCBR,ピークセルレート20Mbit/sのトラフィッククラスをトラフィック名CBR20Mで定義します。
3 NIF番号0,Line番号0に回線名TokyoのATM回線を定義します。
4 回線名Tokyoの回線のプロトコルをATMに指定します。
5 VPI値=0およびピークセルレート80Mbit/sを定義します。
6〜8 本装置A−本装置B間のVCを定義します。VCI=32,VC名はTokyoOsakaVです。
9 VPI値=1およびピークセルレート20Mbit/sを定義します。
10〜13 本装置A−ルータC間のVCを定義します。VCI=32,VC名はTokyoNagoyaVです。
14 VPI値=2およびピークセルレート20Mbit/sを定義します。
15〜19 本装置A−ルータD間のVCを定義します。VCI=32,VC名はTokyoKyotoVです。
20 TokyoOsakaV,TokyoNagoyaV,TokyoKyotoVの3本のVCを同一IPサブネットにグルーピングします。
21,22 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。
23 ルータCへのネクストホップIPアドレスとTokyoNagoyaVの対応をアドレス解決情報として設定します。
24 ルータDへのネクストホップIPアドレスとTokyoKyotoVの対応をアドレス解決情報として設定します。

<本装置B>
 1    (config)# traffic CBR80M cbr pcr 80000
 2    (config)# line Osaka oc3atm 0/0
      [line Osaka]
 3    (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
      [line Osaka]
 4    (config)# vp 0 pcr 80000
      [vp 0]
 5    (config)# vc OsakaTokyoV 32 traffic CBR80M
      [vc OsakaTokyoV]
 6    (config)# ip 192.168.10.1/24
      [vc OsakaTokyoV]
 7    (config)# exit
      [vp 0]
 8    (config)# exit
      [line Osaka]
 9    (config)# exit

表5-67 本装置Bの構成定義情報解説

解説番号 解説
1 サービスカテゴリCBR,ピークセルレート80Mbit/sのトラフィッククラスをトラフィック名CBR80Mで定義します。
2 NIF番号0,Line番号0に回線名OsakaのATM回線を定義します。
3 回線名Osakaの回線のプロトコルをATMに指定します。
4 VPI値=0およびピークセルレート80Mbit/sを定義します。
5 本装置A−本装置B間のVCを定義します。VCI=32,VC名はOsakaTokyoVです。
6〜9 OsakaTokyoVをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。

[構成定義情報の表示]

<本装置A>
traffic CBR80M cbr pcr 80000
traffic CBR20M cbr pcr 20000
!
line Tokyo oc3atm 0/0
  atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 4
  vp 0 pcr 80000
    vc TokyoOsakaV 32 traffic CBR80M
  vp 1 pcr 20000
    vc TokyoNagoyaV 32 traffic CBR20M
      inverse_arp_off
  vp 2 pcr 20000
    vc TokyoKyotoV 32 traffic CBR20M
      inverse_arp_off
!
group CentralNet TokyoOsakaV TokyoNagoyaV TokyoKyotoV
  ip 192.168.10.10/24
!
arp 192.168.10.2 TokyoNagoyaV
arp 192.168.10.3 TokyoKyotoV

<本装置B>
traffic CBR80M cbr pcr 80000
!
line Osaka oc3atm 0/0
  atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
  vp 0 pcr 80000
    vc OsakaTokyoV 32 traffic CBR80M
      ip 192.168.10.1/24

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