構成定義ガイド

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5.5.3　ATMメガリンク接続，2拠点間を複数のVCで接続し，フロー毎にトラフィック特性に応じた優先制御を行う

＜この項の構成＞
(1)　設定内容の概要
(2)　構成図と設定条件
(3)　構成定義情報例

(1)　設定内容の概要

ここでは2拠点間を複数のVCで接続し，フロー毎にトラフィック特性に応じた優先制御を行う例を示します。2拠点間の通信にATMメガリンクサービスを中継回線として利用し，必要な帯域の1VPを契約します。これに対し，本装置では同一VPI値の複数VCを設定し，フロー条件に合ったトラフィックをあらかじめ対応付けを設定したVCに流します。本装置のトラフィック制御は，トラフィックの特性と優先度の高低に応じてサービスカテゴリおよび優先度を選択する必要があります。また，同一VPI値をもつ複数のVCの最低保証帯域（サービスカテゴリCBRの場合はピークセルレート，VBRの場合はサステーナブルセルレート，ABRの場合はミニマムセルレート，UBRの場合は0）の合計が契約したVPの帯域を超えないように設定し，VPに契約した帯域を設定することで，VPシェーピングを行います。

フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。ここでは，本装置独自の機能であるパラレルPVC機能を使用します。したがって，接続する相手ルータは本装置に限ります。

(2)　構成図と設定条件

［構成図］

図5-29　構成図

[図データ]

［設定条件］

＜ネットワークの環境＞
拠点Tokyoに基幹業務系アプリケーション用のメインフレームとメール専用のサーバがあり，拠点Yokohamaのネットワークのクライアントからアクセスします。このとき，拠点Tokyoと拠点Yokohama間の中継回線上では，メインフレームとクライアント間のトラフィックとメールサーバとクライアント間のトラフィックは異なるVCを使用するものとします。
中継回線として利用するATMメガリンクサービスは，50Mbit/sの帯域を契約したものとします。この帯域を，サービスカテゴリCBRで50Mbit/sのVCとサービスカテゴリUBRのVCで使用します。ATMメガリンクサービス接続のために，次のポイントに注意します。
  • lineコマンドのパラメータ-clockがexternalであること。（デフォルト）
  • lineコマンドのパラメータ-frame_formatがsdh_idleであること。（デフォルト)
  • atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを1に設定する。
  • vpコマンドで，契約したとおりVPI値=0についてピークセルレート50Mbit/sを設定する。
フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。また，2本のVCをパラレルPVCとして設定します。このため，次のポイントに注意します。
  • groupコマンドで2本のVCを同一のIPサブネット下にグルーピングする。
  • vc-groupコマンドで2本のVCを同一のパラレルPVC下にグルーピングする。

＜本装置Aの環境＞
本装置Aは拠点TokyoのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで，拠点Tokyoのメインフレームおよびサーバと拠点Yokohamaのクライアントとの間のトラフィックを中継します。この際，メインフレームとクライアント間のトラフィックをVPI/VCI=0/32に，メールサーバとクライアント間のトラフィックをVPI/VCI=0/33に通します。本装置はNIF番号0，Line番号0にATMのNIFが実装されています。
  • メインフレーム系のトラフィック用のVC名：TokyoYokohama1，VPI/VCI：0/32
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス：サービスカテゴリ=CBR，PCR=50Mbit/s
  • メールサーバ系のトラフィック用のVC名：TokyoYokohama2，VPI/VCI：0/33
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス：サービスカテゴリ=UBR

＜本装置Bの環境＞
本装置Bは拠点YokohamaのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで，拠点Tokyoのメインフレームおよびサーバと拠点Yokohamaのクライアントとの間のトラフィックを中継します。この際，メインフレームとクライアント間のトラフィックをVPI/VCI=0/32に，メールサーバとクライアント間のトラフィックをVPI/VCI=0/33に通します。本装置はNIF番号0，Line番号0にATMのNIFが実装されています。
  • メインフレーム系のトラフィック用のVC名：YokohamaTokyo1，VPI/VCI：0/32
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス：サービスカテゴリ=CBR，PCR=50Mbit/s
  • メールサーバ系のトラフィック用のVC名：YokohamaTokyo2，VPI/VCI：0/33
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス：サービスカテゴリ=UBR

(3)　構成定義情報例

［コマンドによる設定］

＜本装置A＞
 1    (config)# traffic CBR50M cbr pcr 50000
 2    (config)# traffic UBR ubr
 3    (config)# line Tokyo oc3atm 0/0
      [line Tokyo]
 4    (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
      [line Tokyo]
 5    (config)# vp 0 pcr 50000
      [vp 0]
 6    (config)# vc TokyoYokohama1 32 traffic CBR50M
      [vc TokyoYokohama1]
 7    (config)# exit
      [vp 0]
 8    (config)# vc TokyoYokohama2 33 traffic UBR
      [vc TokyoYokohama2]
 9    (config)# exit
      [vp 0]
10    (config)# exit
      [line Tokyo]
11    (config)# exit
12    (config)# group CentralNet TokyoYokohama1 TokyoYokohama2
      [group CentralNet]
13    (config)# ip 192.168.10.1/24
      [group CentralNet]
14    (config)# exit
15    (config)# vc-group TokyoYokohamaG index 0 vc TokyoYokohama1
16    (config)# vc-group TokyoYokohamaG index 1 vc TokyoYokohama2
17    (config)# flow yes
18    (config)# flow filter CentralNet out
      [flow filter CentralNet out]
19    (config)# list 1 ip 192.168.200.10 192.168.50.1-192.168.50.255
                action index 0
      [flow filter CentralNet out]
20    (config)# list 2 ip 192.168.100.10 192.168.50.1-192.168.50.255
                action index 1
      [flow filter CentralNet out]
21    (config)# exit

表5-64　本装置Aの構成定義情報解説

解説番号 解説
1 サービスカテゴリCBR，ピークセルレート50Mbit/sのトラフィッククラスをトラフィック名CBR50Mで定義します。
2 サービスカテゴリUBRのトラフィッククラスをトラフィック名UBRで定義します。
3 NIF番号0，Line番号0に回線名TokyoのATM回線を定義します。
4 回線名Tokyoの回線のプロトコルをATMに指定します。
5 VPI=0値およびピークセルレート50Mbit/sを定義します。
6，7 メインフレームとクライアント間のトラフィック用の50MのVCを定義します。VCI=32，VC名はTokyoYokohama1です。
8〜11 メールサーバとクライアント間のトラフィック用のVCを定義します。VCI=33，VC名はTokyoYokohama2です。
12 VCをグループ化し，インタフェース名CentralNetを定義します。
13，14 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。
15 TokyoYokohama1のVCにインデックス0を割り当て，VCグループTokyoYokohamaGにグルーピングします。
16 TokyoYokohama2のVCにインデックス1を割り当て，VCグループTokyoYokohamaGにグルーピングします。
17 フロー制御を使用可能にします。
18，19 メインフレームとクライアント間のトラフィックをインデックス0に割り当てます。
20，21 メールサーバとクライアント間のトラフィックをインデックス1に割り当てます。

＜本装置B＞
 1    (config)# traffic CBR50M cbr pcr 50000
 2    (config)# traffic UBR ubr
 3    (config)# line Yokohama oc3atm 0/0
      [line Yokohama]
 4    (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
      [line Yokohama]
 5    (config)# vp 0 pcr 50000
      [vp 0]
 6    (config)# vc YokohamaTokyo1 32 traffic CBR50M
      [vc YokohamaTokyo1]
 7    (config)# exit
      [vp 0]
 8    (config)# vc YokohamaTokyo2 33 traffic UBR
      [vc YokohamaTokyo2]
 9    (config)# exit
      [vp 0]
10    (config)# exit
      [line Yokohama]
11    (config)# exit
12    (config)# group CentralNet YokohamaTokyo1 YokohamaTokyo2
      [group CentralNet]
13    (config)# ip 192.168.10.2/24
      [group CentralNet]
14    (config)# exit
15    (config)# vc-group YokohamaTokyoG index 0 vc YokohamaTokyo1
16    (config)# vc-group YokohamaTokyoG index 1 vc YokohamaTokyo2
17    (config)# flow yes
18    (config)# flow filter CentralNet out
      [flow filter CentralNet out]
19    (config)# list 1 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.200.10
                action index 0
      [flow filter CentralNet out]
20    (config)# list 2 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.100.10
                action index 1
      [flow filter CentralNet out]
21    (config)# exit

表5-65　本装置Bの構成定義情報解説

解説番号 解説
1，2 ＜本装置A＞の解説番号1，2に同じ
3 NIF番号0，Line番号0に回線名YokohamaのATM回線を定義します。
4 回線名Yokohamaの回線のプロトコルをATMに指定します。
5 VPI=0値およびピークセルレート50Mbit/sを定義します。
6，7 メインフレームとクライアント間のトラフィック用の50MのVCを定義します。VCI=32，VC名はYokohamaTokyo1です。
8〜11 メールサーバとクライアント間のトラフィック用のVCを定義します。VCI=33，VC名はYokohamaTokyo2です。
12 VCをグループ化し，インタフェース名CentralNetを定義します。
13，14 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。
15 YokohamaTokyo1のVCにインデックス0を割り当て，VCグループYokohamaTokyoGにグルーピングします。
16 YokohamaTokyo2のVCにインデックス1を割り当て，VCグループYokohamaTokyoGにグルーピングします。
17〜21 ＜本装置A＞の解説番号17〜21に同じ

［構成定義情報の表示］

＜本装置A＞
traffic CBR50M cbr pcr 50000
traffic UBR ubr
!
line Tokyo oc3atm 0/0
  atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
  vp 0 pcr 50000
    vc TokyoYokohama1 32 traffic CBR50M
    vc TokyoYokohama2 33 traffic UBR
!
vc-group TokyoYokohamaG index 0 vc TokyoYokohama1
vc-group TokyoYokohamaG index 1 vc TokyoYokohama2
!
group CentralNet TokyoYokohama1 TokyoYokohama2
  ip 192.168.10.1/24
!
flow yes
flow filter CentralNet out
  list 1 ip 192.168.200.10 192.168.50.1-192.168.50.255 action index 0
  list 2 ip 192.168.100.10 192.168.50.1-192.168.50.255 action index 1

＜本装置B＞
traffic CBR50M cbr pcr 50000
traffic UBR ubr
!
line Yokohama oc3atm 0/0
  atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
  vp 0 pcr 50000
    vc YokohamaTokyo1 32 traffic CBR50M
    vc YokohamaTokyo2 33 traffic UBR
!
vc-group YokohamaTokyoG index 0 vc YokohamaTokyo1
vc-group YokohamaTokyoG index 1 vc YokohamaTokyo2
!
group CentralNet YokohamaTokyo1 YokohamaTokyo2
  ip 192.168.10.2/24
!
flow yes
flow filter CentralNet out
  list 1 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.200.10 action index 0
  list 2 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.100.10 action index 1

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