構成定義ガイド
- <この項の構成>
- (1) 設定内容の概要
- (2) 構成図と設定条件
- (3) 構成定義情報例
(1) 設定内容の概要
ここでは2拠点間を複数のVCで接続し,フロー毎に固定の帯域を割り当てる例を示します。2拠点間の通信にATMメガリンクサービスを中継回線として利用し,さらに回線内速度設定サービスを契約すると,キャリアのATMネットワーク内でもフロー毎の帯域が保証されます。この場合,2拠点間の通信に対して必要な帯域を複数のVPに分割して契約します。これに対し,本装置では複数のVCを設定し,フロー条件に合ったトラフィックをあらかじめ対応付けを設定したVCに流します。回線内速度設定サービスは,契約したVP毎の帯域を保証するため,本装置のトラフィック制御はサービスカテゴリCBRが適しています。また,VP毎に契約した帯域を設定することで,VPシェーピングを行います。
フォワーディング上はATMネットワークを1 IPサブネットとして扱います。ここでは,本装置独自の機能であるパラレルPVC機能を使用します。したがって,接続相手ルータは本装置に限ります。
(2) 構成図と設定条件
- [構成図]
図5-28 構成図
- [設定条件]
- <ネットワークの環境>
- 拠点Tokyoのサーバに,拠点Yokohamaのネットワークのクライアントからアクセスします。拠点Yokohamaのネットワークは業務部門別に二つのネットワークに分かれており,それぞれの業務部門のクライアントとサーバ間のトラフィックをATMネットワークで中継する際には,異なるVCを使用するものとします。
- 中継回線として利用するATMメガリンクサービスは回線内速度設定サービスを契約し,100Mbit/sの帯域を,それぞれVPI値=0は40Mbit/s,VPI値=1は60Mbit/sの2本のVPに割り当てたものとします。ATMメガリンクサービス接続のために,次のポイントに注意します。
- lineコマンドのパラメータ-clockがexternalであること。(デフォルト)
- lineコマンドのパラメータ-frame_formatがsdh_idleであること。(デフォルト)
- atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを2に設定する。
- vpコマンドで,契約したとおりVPI値およびピークセルレートを設定する。すなわち,VPI値=0は40Mbit/s,VPI値=1は60Mbit/sである。
- フォワーディング上はATMネットワークを1 IPサブネットとして扱います。また,2本のVCをパラレルPVCとして設定します。このため,次のポイントに注意します。
- groupコマンドで2本のVCを同一のIPサブネット下にグルーピングする。
- vc-groupコマンドで2本のVCを同一のパラレルPVC下にグルーピングする。
- <本装置Aの環境>
- 本装置Aは拠点TokyoのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで,拠点Tokyoのサーバと拠点Yokohamaのクライアントとの間のトラフィックを中継します。この際,Department1のクライアントとサーバ間のトラフィックをVPI/VCI=0/32に,Department2のクライアントとサーバ間のトラフィックをVPI/VCI=1/32に通します。本装置はNIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
- サーバとDepartment1間のトラフィック用のVC名:TokyoYokohama1,VPI/VCI:0/32
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=40Mbit/s
- サーバとDepartment2間のトラフィック用のVC名:TokyoYokohama2,VPI/VCI:1/32
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=60Mbit/s
- <本装置Bの環境>
- 本装置Bは拠点YokohamaのネットワークとキャリアのATMネットワークの間に位置するエッジルータで,拠点Tokyoのサーバと拠点Yokohamaのクライアントとの間のトラフィックを中継します。この際,Department1のクライアントとサーバ間のトラフィックをVPI/VCI=0/32に,Department2のクライアントとサーバ間のトラフィックをVPI/VCI=1/32に通します。本装置はNIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
- サーバとDepartment1間のトラフィック用のVC名:YokohamaTokyo1,VPI/VCI:0/32
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=40Mbit/s
- サーバとDepartment2間のトラフィック用のVC名:YokohamaTokyo2,VPI/VCI:1/32
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=60Mbit/s
(3) 構成定義情報例
- [コマンドによる設定]
- <本装置A>
1 (config)# traffic CBR40M cbr pcr 40000 2 (config)# traffic CBR60M cbr pcr 60000 3 (config)# line Tokyo oc3atm 0/0 [line Tokyo] 4 (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 2 [line Tokyo] 5 (config)# vp 0 pcr 40000 [vp 0] 6 (config)# vc TokyoYokohama1 32 traffic CBR40M [vc TokyoYokohama1] 7 (config)# exit [vp 0] 8 (config)# exit [line Tokyo] 9 (config)# vp 1 pcr 60000 [vp 1] 10 (config)# vc TokyoYokohama2 32 traffic CBR60M [vc TokyoYokohama2] 11 (config)# exit [vp 1] 12 (config)# exit [line Tokyo] 13 (config)# exit 14 (config)# group CentralNet TokyoYokohama1 TokyoYokohama2 [group CentralNet] 15 (config)# ip 192.168.10.1/24 [group CentralNet] 16 (config)# exit 17 (config)# vc-group TokyoYokohamaG index 0 vc TokyoYokohama1 18 (config)# vc-group TokyoYokohamaG index 1 vc TokyoYokohama2 19 (config)# flow yes 20 (config)# flow filter CentralNet out [flow filter CentralNet out] 21 (config)# list 1 ip 192.168.100.1 192.168.50.1-192.168.50.255 action index 0 [flow filter CentralNet out] 22 (config)# list 2 ip 192.168.100.1 192.168.60.1-192.168.60.255 action index 1 [flow filter CentralNet out] 23 (config)# exit表5-62 本装置Aの構成定義情報解説
解説番号 解説 1 サービスカテゴリCBR,ピークセルレート40Mbit/sのトラフィッククラスをトラフィック名CBR40Mで定義します。 2 サービスカテゴリCBR,ピークセルレート60Mbit/sのトラフィッククラスをトラフィック名CBR60Mで定義します。 3 NIF番号0,Line番号0に回線名TokyoのATM回線を定義します。 4 回線名Tokyoの回線のプロトコルをATMに指定します。 5 VPI値=0およびピークセルレート40Mbit/sを定義します。 6〜8 サーバとDepartment1のクライアントとのトラフィック用の40MのVCを定義します。VCI=32,VC名はTokyoYokohama1です。 9 VPI値=1およびピークセルレート60Mbit/sを定義します。 10〜13 サーバとDepartment2のクライアントとのトラフィック用の60MのVCを定義します。VCI=32,VC名はTokyoYokohama2です。 14 VCをグループ化し,インタフェース名CentralNetを定義します。 15,16 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。 17 TokyoYokohama1のVCにインデックス0を割り当て,VCグループTokyoYokohamaGにグルーピングします。 18 TokyoYokohama2のVCにインデックス1を割り当て,VCグループTokyoYokohamaGにグルーピングします。 19 フロー制御を使用可能にします。 20,21 サーバとDepartment1のクライアントとのトラフィックをインデックス0に割り当てます。 22,23 サーバとDepartment2のクライアントとのトラフィックをインデックス1に割り当てます。
- <本装置B>
1 (config)# traffic CBR40M cbr pcr 40000 2 (config)# traffic CBR60M cbr pcr 60000 3 (config)# line Yokohama oc3atm 0/0 [line Yokohama] 4 (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 2 [line Yokohama] 5 (config)# vp 0 pcr 40000 [vp 0] 6 (config)# vc YokohamaTokyo1 32 traffic CBR40M [vc YokohamaTokyo1] 7 (config)# exit [vp 0] 8 (config)# exit [line Yokohama] 9 (config)# vp 1 pcr 60000 [vp 1] 10 (config)# vc YokohamaTokyo2 32 traffic CBR60M [vc YokohamaTokyo2] 11 (config)# exit [vp 1] 12 (config)# exit [line Yokohama] 13 (config)# exit 14 (config)# group CentralNet YokohamaTokyo1 YokohamaTokyo2 [group CentralNet] 15 (config)# ip 192.168.10.2/24 [group CentralNet] 16 (config)# exit 17 (config)# vc-group YokohamaTokyoG index 0 vc YokohamaTokyo1 18 (config)# vc-group YokohamaTokyoG index 1 vc YokohamaTokyo2 19 (config)# flow yes 20 (config)# flow filter CentralNet out [flow filter CentralNet out] 21 (config)# list 1 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.100.1 action index 0 [flow filter CentralNet out] 22 (config)# list 2 ip 192.168.60.1-192.168.60.255 192.168.100.1 action index 1 [flow filter CentralNet out] 23 (config)# exit表5-63 本装置Bの構成定義情報解説
解説番号 解説 1,2 <本装置A>の解説番号1,2と同じ 3 NIF番号0,Line番号0に回線名YokohamaのATM回線を定義します。 4 回線名Yokohamaの回線のプロトコルをATMに指定します。 5 VPI値=0およびピークセルレート40Mbit/sを定義します。 6〜8 サーバとDepartment1のクライアントとのトラフィック用の40MのVCを定義します。VCI=32,VC名はYokohamaTokyo1です。 9 VPI値=1およびピークセルレート60Mbit/sを定義します。 10〜13 サーバとDepartment2のクライアントとのトラフィック用の60MのVCを定義します。VCI=32,VC名はYokohamaTokyo2です。 14 VCをグループ化し,インタフェース名CentralNetを定義します。 15,16 CentralNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。 17 YokohamaTokyo1のVCにインデックス0を割り当て,VCグループYokohamaTokyoGにグルーピングします。 18 YokohamaTokyo2のVCにインデックス1を割り当て,VCグループYokohamaTokyoGにグルーピングします。 19〜23 <本装置A>の解説番号19〜23に同じ
- [構成定義情報の表示]
- <本装置A>
traffic CBR40M cbr pcr 40000 traffic CBR60M cbr pcr 60000 ! line Tokyo oc3atm 0/0 atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 2 vp 0 pcr 40000 vc TokyoYokohama1 32 traffic CBR40M vp 1 pcr 60000 vc TokyoYokohama2 32 traffic CBR60M ! vc-group TokyoYokohamaG index 0 vc TokyoYokohama1 vc-group TokyoYokohamaG index 1 vc TokyoYokohama2 ! group CentralNet TokyoYokohama1 TokyoYokohama2 ip 192.168.10.1/24 ! flow yes flow filter CentralNet out list 1 ip 192.168.100.1 192.168.50.1-192.168.50.255 action index 0 list 2 ip 192.168.100.1 192.168.60.1-192.168.60.255 action index 1
- <本装置B>
traffic CBR40M cbr pcr 40000 traffic CBR60M cbr pcr 60000 ! line Yokohama oc3atm 0/0 atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 2 vp 0 pcr 40000 vc YokohamaTokyo1 32 traffic CBR40M vp 1 pcr 60000 vc YokohamaTokyo2 32 traffic CBR60M ! vc-group YokohamaTokyoG index 0 vc YokohamaTokyo1 vc-group YokohamaTokyoG index 1 vc YokohamaTokyo2 ! group CentralNet YokohamaTokyo1 YokohamaTokyo2 ip 192.168.10.2/24 ! flow yes flow filter CentralNet out list 1 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.100.1 action index 0 list 2 ip 192.168.60.1-192.168.60.255 192.168.100.1 action index 1
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