事例:国立大学法人 九州大学様文教

次世代学術情報ネットワークの100Gbps対応を見据え
業界最高密度の回線収容力を誇る「AX8600Rシリーズ」を導入

福岡県福岡市に本部を置く国立大学法人 九州大学。同大学は、東日本大震災を契機に、ネットワークの運用基盤を外部のデータセンターに移転。併せて、次世代学術情報ネットワーク(SIN ET)の100G bps対応を見据え、外部接続ルータとしてアラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)のハイエンドルータ「AX8600Rシリーズ」を導入した。高速ネットワークに対応した環境が整ったことで、学内で稼働中のスーパーコンピュータが出力するテラバイト級のデータをより高速かつ短時間で交換できるようになるほか、学外のネットワークとのより快適な通信も実現。さらには運用効率の向上も期待されている。

国立大学法人 九州大学 情報基盤研究開発センター 教授 博士(工学) 岡村 耕二 氏
国立大学法人 九州大学 情報システム部 情報基盤課 情報基盤グループ(情報ネットワーク担当) 専門職員 浦川 伸治 氏
国立大学法人 九州大学 情報システム部 情報基盤課 情報基盤グループ(情報ネットワーク担当) 主任 平尾 賢一 氏

SINETの100Gbps対応を先取りし外部接続ルータをリプレース

情報基盤研究開発センターについてお聞かせください。

岡村

九州大学の研究機関として、先端ネットワーク、学際計算科学、学習環境デザインなど情報科学に関する研究開発を行っています。同時にキャンパスネットワーク(九州大学総合情報伝達システム)の高度な運用、将来計画などを専門的な立場で行なうとともに、スーパーコンピュータなどの大規模計算機システムを、九州エリアおよび全国の大学や研究機関に提供する共同利用施設としての役割も担っています。

さらには、学内の情報システム全体を管理する情報統括本部としての顔も持ち、情報システム部と連携しながら、キャンパスネットワーク、電子メール環境、教育情報システム、入試システム、各種ホスティングサービスなどを学内に提供しています。

キャンパスネットワークの外部接続ルータをAX8600Rにリプレースしたきっかけは何ですか?

岡村

第一に、ネットワーク拠点の移設が挙げられます。現在は、福岡市の東側にある箱崎キャンパス(情報基盤研究開発センター)が、約3万人の学生や教職員が利用するネットワークの中核拠点となり、外部接続ルータ、コアスイッチ、全学ファイアウォールなどを運用していますが、将来的にはこれらの施設や環境を福岡市の西側に位置する伊都キャンパスへ移設する予定です。これに合わせ、ネットワーク拠点を箱崎キャンパスから外部のデータセンターに移すことが決まりました。

そして第二の理由が、将来を見据えた学外ネットワークの100Gbps対応です。当学では現在、国立情報学研究所が全国の大学や研究機関と連携して構築している学術情報ネットワーク「SINET4」を利用し、外部の研究機関などと接続しています。しかし、既存の外部接続ルータは、6年前の2008年頃に導入したもので、この機種は最大10Gbpsまでしか対応していません。

欧米の学術ネットワークがすでに40Gbps、100Gbpsへの対応を済ませ、次期SINETもさらに高速化していく流れが見えている中、当学としてもこれに対応できる環境を整えたいと思っていました。そこで、データセンターへの移行のタイミングに合わせて最新かつ最高性能のルータに切り替えることにしたのです。

100Gbpsに対応することで、どのようなメリットがあるのですか?

岡村

メリットの1つがスーパーコンピュータを使った研究です。情報基盤研究開発センターでは2012年7月に日本最速級の「京(ケイ)」と互換性のあるスーパーコンピュータを導入したのに加え、2013年12月には高い計算性能と優れた省電力機能を兼ね備えた「高性能アプリケーションサーバシステム」を導入し、多くの研究者に共同利用サービスとして提供しています。スーパーコンピュータの利用においては、何人もの研究者が一斉に計算結果をダウンロードしたり、何テラバイトもの大容量のデータを送受信したりすることになりますが、高速にデータをやり取りするためには、ネットワークを最新化し高速対応できる準備を進めておかなければなりません。

当学でも、箱崎キャンパスでは高エネルギーを研究するチーム、病院キャンパスではゲノム研究をしているチーム、筑紫キャンパスでは核融合研究や共同型顕微鏡を利用するチームなどが、学外と大量のデータを交換しており、こうした研究を支えていくためにも高速ネットワークは非常に重要なのです。

そのほか、新しいルータに求めていた仕様はありますか?

岡村

インターネット上の全経路(フルルート)を収容できるメモリ容量を備えていることです。当学では、ルーティングプロトコルにBGP(Border Gateway Protocol)(※1)を用いて、学外とフルルートで接続しています。近年、インターネット上の経路情報は膨れ上がるばかりで、今後もどうなるかは予測がつきません。それだけに、BGPにおけるネットワークの全経路を収容しても十分余裕のあるメモリ容量が必要です。

また、急激に増えているDDoS攻撃(※2)に対処するために、ACL(Access Control List)(※3)を使用して不正なトラフィックをフィルタリングした場合でも、高いパフォーマンスを発揮できることも要件として挙げました。

導入スケジュールについてお聞かせください。

浦川

2012年から検討を開始し、入札によってアラクサラの最新型ハイエンドルータAX8600Rの採用を決めました。その後、2013年末からシステム構築を開始し、2014年1月からAX8600Rを使ったネットワーク運用に切り替えています。システム構築の面では、NTT西日本の支援を受けて、スムーズに新しいネットワーク環境へ移行することができました。

国産メーカーならではの柔軟な対応力とスピーディーなサポート体制を評価

新しいネットワークの構成についてお聞かせください。

岡村

外部接続ルータのAX8600Rは、福岡市内にあるデータセンターに設置し、SINET4と10Gbpsで接続しています。次期SINETが100Gbpsに対応した時点で、AX8600Rに対応モジュールを差し込み、100Gbpsにアップグレードさせる予定です。AX8600Rは必要に応じてスイッチング容量を柔軟に確保できるので、10Gbpsや100Gbpsなど複数の環境を1つの筐体に効率よく収容できるのがありがたいですね。

また、学内のネットワークについては、データセンターと各キャンパス間を10Gbpsの高速ネットワークで接続。各キャンパスに設置したコアスイッチ(AX6700S)の階層下には、さらにコアスイッチ(AX6700S)やエッジスイッチ(AX2400Sシリーズなど)を接続してキャンパスネットワークを構成しています。将来的にはAX8600Rを箱崎、伊都、筑紫、大橋、九大病院の5キャンパスに置かれたコアスイッチAX6700Sとつなぎ、スター型トポロジー(※4)を構成する予定です。

アラクサラのスイッチに対する評価をお聞かせください。

平尾

国内メーカーならではの安心感が一番です。海外メーカーの場合、故障対応に長い時間がかかったり、修理に対応してもらえなかったりといった不便さを感じることがあります。その点、アラクサラでしたら環境に合ったネットワークを構築したいという要望にも柔軟に応えていただけますし、ハードウェアの故障時・ソフトウェアの改修時も素早く対応していただけるので、安心して使い続けることができます。

また、これまで多くのアラクサラ製品を使ってきましたが、その故障率の低さは特筆すべきものがあると思います。また、もし故障が発生した場合でも、福岡市内にある保守拠点から、キャンパスや研究拠点へ予備の部品をスピーディーに配送・設置していただけるなど、充実したサポート体制も魅力ですね。

将来のネットワーク構成イメージ
画像を拡大する

運用負荷の軽減と消費電力の削減に期待

新しいネットワークを構築したことで得られた効果は何ですか?

岡村

導入して間もないため、定量的な効果を測定するまでには至っていませんが、AX8600R のアクティブな省電力化機能にはこれからかなり期待しています。

浦川

今後は運用負荷の軽減に期待しています。また、必要なときに必要な電力を供給し、不要な部分は削減する「ダイナミック省電力」(※5)をさらに進化させた「フレックス省電力」(※6)を搭載したAX8600Rが、今後の節電に貢献していくことになればうれしく思います。

将来の展望をお聞かせください。

岡村

箱崎キャンパスの完全移転に向けて、運用と並行しながら現在のネットワーク環境を適宜伊都キャンパスに集約していく予定です。

私たちの使命は、学内と学外両方の利用者がネットワークを安心して使えるようにすることです。そのためにも、ネットワークの安全性を確保しながら、パフォーマンスが落ちないよう環境を強化していきます。

ありがとうございました。

*1
BGP(Border Gateway Protocol):インターネットに接続する際、ネットワーク機器がお互いの経路情報をやり取りするために使われる経路制御プロトコルのひとつ。
*2
DDoS攻撃(Distributed Denial of Service Attack):ネットワークに分散する複数のコンピュータが特定のサーバなどに対して大量のパケットを送り付け、サービス停止などに追い込む攻撃。
*3
ACL(Access Control List):通信アクセスを制御するためのリスト。利用者、グループ、アプリケーションなどに対して、通過を許可・拒否するパケットを設定する。
*4
スター型トポロジー:ネットワークの接続形態のひとつ。1つのスイッチやハブを中心に複数のノードを接続する構成。
*5
ダイナミック省電力:ネットワークを使っていない時間は、ネットワーク機器を必要最低限の部分稼働状態にして電力の消費を抑えるアラクサラ独自の省電力機能。
*6
フレックス省電:通信トラフィック量に応じて、動作周波数を下げたり、不必要な部分を休止させたりすることできめ細かに電力を調整するアラクサラ独自の省電力機能。
社名/商品名は、各社の商標または登録商標です。

国立大学法人 九州大学

秋田公立美術大学

九州大学は、国立7大学の一角を占める歴史ある大学で、2011年には総合大学として100周年を迎えた。現在は次なる100年に向けて、「九大百年、躍進百大」をモットーに、あらゆる分野で世界トップ100大学に躍進することを目標に掲げている。2005年に開設された伊都キャンパスをはじめ、理系・文系の主要キャンパスである箱崎キャンパスなど、福岡市および春日市に合計5つのキャンパスがあり、約8,000人の教職員と、学部と大学院を合わせて約1万9,000人の学生が在籍している。

関連リンク