事例:株式会社日立製作所様DC

社会インフラへの適応も視野に
日立クラウドソリューション Harmonious Cloudの中核をなすビジネスPaaSソリューション

日立製作所は、ITシステムの「所有」から「利用」への使用形態の変化に対応し、高信頼、高セキュリティなクラウドコンピューティング環境を実現する「Harmonious Cloud」を体系化し、7月よりサービス提供している。「クラウドコンピューティング」の現状や今後について、プラットフォームソリューション事業部所属の事業部長・高野雅弘氏、事業推進本部・本部長・土屋宏嘉氏、事業推進本部・クラウド事業推進センタ・担当部長・小川秀樹氏、事業推進本部・クラウド事業推進センタ・担当部長 並木靖氏に話を聞いた。

プラットフォームソリューション事業部 事業部長 高野雅弘氏 / 事業推進本部 本部長 土屋宏嘉氏 / 事業推進本部 クラウド事業推進センタ 担当部長 小川秀樹氏 / 事業推進本部 クラウド事業推進センタ 担当部長 並木靖氏

日立製作所の「クラウドコンピューティング」への取り組み

昨今「クラウドコンピューティング」が注目されていますが、日立製作所がどのような取り組みをしているのかについてお聞かせ下さい。

高野

「クラウドコンピューティング」の定義があいまいなので、はっきりといつから取り組んでいる、ということは申し上げにくいのですが、「クラウドコンピューティング」で重要なキーワードになっている「マルチテナント」や「仮想化」などは、10年以上前から取り組んでまいりました。例えば、当社ではTWX-21というEDI(Electronic Data Interchange)を中心とする企業間ビジネスメディアサービスを4万社ものお客様に提供しています。お客様は、このサービスを利用することで、ビジネスパートナーと柔軟な業務連携を進めることができます。サービス提供開始当時は当然「クラウド」という言葉はありませんでしたが、まさに、その「はしり」と言うべきサービスだったと思います。
また、当社ではHarmonious Computingというサービスプラットフォームコンセプトを提案しています。これは、複雑化したITインフラをシンプル化し、企業内外の情報や業務プロセスを柔軟に統合することで、情報システムを戦略資源に変化させていこうというものです。この要素技術は、「クラウドコンピューティング」にも活用されています。

土屋

「クラウドコンピューティング」は、サーバーやソフトウェアなどをIT資産として「所有」するのではなく、ネットワーク経由でサービスとして「利用」するものです。
「クラウドコンピューティング」では、IT機器を購入する必要がなく、ITシステムを運用する工数もかからないため、導入・運用コストの削減効果が注目されています。
さらに、必要なときに必要なだけリソースを確保できる「導入スピード」、「柔軟性」という部分も注目されています。昨今、ビジネス環境は、不安定な経済基盤や先行き不透明な市場のみならず、自然災害やパンデミックなど、事業継続性を阻害する要因が増えていることもあり、変化が激しくなっています。これらの変化に素早く対応するには、「クラウドコンピューティング」のような仕組みが必要とされているのです。
このように、「クラウドコンピューティング」は「所有」から「利用」という部分で市場の関心を集めていますが、市場としては今ひとつ伸びていないのが実情です。その主な要因は、「信頼性」や「セキュリティ」、「環境配慮」といった不安をまだ払拭し切れていないためだと考えています。

ユーザーには不安があるから、まだ広がっていないのですね。そのような課題をぬぐい去るための施策を教えてください。

小川

当社では、2009年7月より高信頼、高セキュリティな「クラウドコンピューティング」環境を実現するソリューションを、新たにHarmonious Cloudとして体系化しました。Harmonious Cloudでは、「ビジネスPaaS(※1)ソリューション」、「ビジネスSaaS(※2)ソリューション」、「プライベートクラウドソリューション」という3つのソリューションを提供し、ビジネスPaaSソリューションの中には、CPUやメモリなどのプラットフォームリソースを占有して利用できる「リソースキャパシティ保証サービス」や、バックアップやクラスタ構成などで可用性を高める「可用性強化サービス」などのメニューがあり、非常に注目されています。
「セキュリティ」という観点でみると、例えばメインフレーム時代から培ってきたハードウェアによるサーバー仮想化機構「Virtage(バタージュ)」を利用し、ハードウェアレベルでのユーザー間の独立性を確保しています。これらの施策で、ミッションクリティカルなコア業務でも「クラウドコンピューティング」を採用する企業が増えていくと考えています。

  • *1 PaaS(Platform as a Service)
    ユーザーが情報システムを構築、稼動させるのに必要なプラットフォーム一式をサービスとして提供するビジネス形態
  • *2 SaaS(Software as a Service)
    ユーザーが必要とするアプリケーション機能をサービスとして提供するビジネス形態

日立製作所が目指すクラウド

アラクサラ製品選定の理由

ビジネスPaaSソリューションのネットワーク機器に、アラクサラ製品を選定した理由についてお聞かせ下さい。

並木

ネットワーク機器でアラクサラを選定したのは、Harmonious Cloudで必要とする要素が盛り込まれていたためです。「クラウド」の場合、ユーザーごとに利用している時間帯が異なるため、24時間365日稼働する必要があります。故障はもちろん、メンテナンスによるシステムのダウンタイムも極小化したいと考えました。今回採用したアラクサラ製品の場合、フォールト・トレラント・スイッチ・アーキテクチャ(※3)を採用しています。高可用性を実現しており、システムを稼働させながらファームウェアアップデートすることはもちろん、増設や設定変更なども可能です。「高信頼」という部分を非常に満足する機能が網羅されていました。

  • *3 フォールト・トレラント・スイッチ・アーキテクチャ
    装置内部の各部品ごとに二重化を行い、障害時に短時間で切り替えを実施することで「止まらないシステム」を実現するアーキテクチャ

小川

「セキュリティ」という観点からもアラクサラは優れています。ビジネスPaaSソリューションでは、ネットワークにおいても、ユーザーの独立性を確保したいと考えていました。アラクサラ製品では、ネットワークパーティション機能(※4)により、ユーザー間の独立性を確保し、ユーザーが安心してサービスを利用できるようになります。

  • *4 ネットワークパーティション機能
    ネットワークを仮想的に分割し、分割した各部分間のセキュリティや独立性を保ちながら、ネットワークの設備投資最適化を実現する機能

並木

また、異なるユーザー間で通信帯域の侵食が起きると、お客様の業務に影響が出てしまうので、それらを避ける目的で階層化シェーパ(※5)も活用しています。この機能により、ユーザーごとに帯域を確保できるようになります。アラクサラ製品は、本当にきめ細かい制御ができます。

  • *5 階層化シェーパ
    回線上の送受信するパケットの量を制御し、ユーザー/アプリケーションごとに通信帯域を確保するシェーパ機能を多段階で適用することで、高精度の通信量制御を実現する技術

小川

更に、環境配慮という部分でも、アラクサラ製品はクリアしています。アラクサラは設立当初から、省エネに力を入れていると聞いていましたし、機器に対しても非常に満足しています。それに加え、さらなる省エネを実現するダイナミック省電力(※6)が付加されています。この機能を使えば、待機しているリソースの電力消費を最小限に抑えることができるので、将来的にこの機能を使うことも考えています。これからの時代、「環境配慮」は重要なキーワードになると考えています。

  • *6 ダイナミック省電力
    利用していないポートの給電をオフにすることや、省電力モードへの切り替え、トラフィックが減少する時間帯にはスイッチの性能を落とすなどにより、更なる省エネ効果を実現する技術

土屋

公共系のお客様などは調達の際、環境配慮が条件となるケースがよくみられますが、現時点では、自社所有する製品に関する環境配慮が重視されているように思います。将来的には利用するサービスの環境配慮まで考えていく必要がでてくるでしょう。
そのため、環境配慮型データセンターなども、これまで以上に需要が増えていくと思います。そのような状況になれば、「クラウド」などのサービスを利用する際にも、どれだけの電力を消費しているのか、という指標はより重視されていくはずです。「高信頼」「高セキュリティ」「環境配慮」などの付加価値が、Harmonious Cloudの強みになると確信しています。そのHarmonious Cloudに、アラクサラは、非常にマッチしていると感じています。

構成図

最後に、今後の予定などを教えてください。

高野

当社は、以前から電力・交通・金融システムなど、いわゆる社会インフラを担当しています。ビジネスPaaSソリューションについても、社会インフラシステムの要求に応えるソリューションを展開していきたいと考えています。社会インフラとなれば、障害時にこれまで以上に迅速に対応することが求められます。そのサポート力という部分にもアラクサラには期待しています。
今後について、ビジネスPaaSのみならず、日立製作所はHarmonious Cloudで、「クラウドコンピューティング」を牽引していきたいと考えています。

ありがとうございました。

株式会社日立製作所

1910年に創業した日立製作所。従業員数は4万人(連結従業員数は40万人)を超える。
同社のプラットフォームソリューション事業部は、サーバーやストレージなどプラットフォーム関連の事業部を集約し、2009年2月に発足した。
同事業部では、高信頼・高セキュリティなクラウドコンピューティング環境を実現するソリューションを体系化し、提供している。