トラブルシューティングガイド


6.2.4 階層化シェーパのトラブル

階層化シェーパで,次に示すトラブルが発生した場合の対処方法を説明します。

〈この項の構成〉

(1) シェーパユーザ決定が動作しない場合

シェーパユーザ決定が動作しない場合は,次の表に示す障害解析方法に従って原因を切り分けてください。

表6‒6 シェーパユーザ決定が動作しない場合の障害解析方法

項番

確認内容・コマンド

対応

1

対象NIFにシェーパユーザ決定のコンフィグレーションが設定されているか確認してください。

  • show running-config

該当するシェーパユーザ決定のコンフィグレーションに対象NIFが指定されていない場合は,動作しません。コンフィグレーションコマンドshaper flow-distributionで対象NIFを追加してください。

コンフィグレーションが設定されている場合は,項番2へ。

2

対象ポートでシェーパユーザ決定のコンフィグレーションと動作内容が一致しているか確認してください。

  • show shaper

コンフィグレーションで,ランダム振り分けまたはVLAN IDマッピングを設定していて,Flow-distributionに"-"が表示されている場合,またはコンフィグレーションと異なる場合は,動作に反映されていません。NIFを再起動して運用に反映させてください。

コンフィグレーションと動作内容が一致している場合は,項番3へ。

3

対象NIFの更新状態を確認してください。

  • show nif

NIFの更新状態にrestart requiredが表示されている場合は,NIFの再起動が必要です。NIFを再起動して運用に反映させてください。

NIFの更新状態にrestart requiredが表示されていない場合は,項番4へ。

4

振り分け先のシェーパユーザの設定について,次のどちらかで確認してください。

  • show shaper <port list> llrlq

  • show shaper <port list> user <user id list>

応答メッセージ"There is no operational user."が表示される場合は,シェーパユーザが設定されていません。シェーパユーザのコンフィグレーションが設定されているか確認してください。

シェーパユーザが表示される場合は,項番5へ。

5

ランダム振り分けを使用している場合,デフォルトユーザからフレームが送信されていないか確認してください。

  • show shaper <port list> default

ランダム振り分けのキー情報となるフレーム情報を持たないフレームは,デフォルトユーザにキューイングされます。

キー情報として使用できるフレーム情報については,「コンフィグレーションガイド」のシェーパユーザ決定を参照してください。

ランダム振り分けを使用していない場合,および対象パケットの場合は,項番6へ。

6

VLAN IDマッピングを使用している場合,デフォルトユーザからパケットが送信されていないか確認してください。

  • show shaper <port list> default

振り分け範囲外のVLAN IDを持つフレームは,デフォルトユーザにキューイングされます。

使用できるVLAN IDについては,「コンフィグレーションガイド」のシェーパユーザ決定を参照してください。

VLAN IDマッピングを使用していない場合,および対象VLAN IDの場合は,項番7へ。

7

フロー検出によるシェーパユーザ決定を使用している場合,デフォルトユーザからパケットが送信されていないか確認してください。

  • show shaper <port list> default

設定されていないシェーパユーザを指定している場合,デフォルトユーザにキューイングされます。

使用できるシェーパユーザ番号については,「コンフィグレーションガイド」のシェーパユーザ決定を参照してください。

フロー検出によるシェーパユーザ決定を使用していない場合,および対象シェーパユーザ番号の場合は,項番8へ。

8

フレームが廃棄されていないか確認してください。

確認方法と対応については,「8.1 パケット廃棄の確認」を参照してください。

(2) 優先度決定が動作しない場合

優先度決定が動作しない場合は,次の表に示す障害解析方法に従って原因を切り分けてください。なお,優先度決定をQoSフローの優先度変更で決定している場合は,「6.2.2 マーカー,優先度変更,およびQoSフロー廃棄のトラブル」を参照してください。

表6‒7 優先度決定が動作しない場合の障害解析方法

項番

確認内容・コマンド

対応

1

ユーザ優先度マッピングがコンフィグレーションに設定されているか確認してください。

  • show running-config

ユーザ優先度マッピングが設定されていない場合は,動作しません。コンフィグレーションコマンドshaper user-priority-mapを設定してください。

コンフィグレーションが設定されている場合は,項番2へ。

2

対象NIFでユーザ優先度マッピングのコンフィグレーションと動作内容が一致しているか確認してください。

  • show shaper

User-priority-mapのCurrentに"-"が表示されている場合,またはConfigurationと異なる場合は,動作に反映されていません。NIFを再起動して運用に反映させてください。

コンフィグレーションと動作内容が一致している場合は,項番3へ。

3

対象NIFの更新状態を確認してください。

  • show nif

NIFの更新状態にrestart requiredが表示されている場合は,NIFの再起動が必要です。NIFを再起動して運用に反映させてください。

NIFの更新状態にrestart requiredが表示されていない場合は,項番4へ。

4

フレームが廃棄されていないか確認してください。

確認方法と対応については,「8.1 パケット廃棄の確認」を参照してください。

(3) シェーパモード,スケジューリング,キュー数,またはキュー長が設定されない場合

シェーパモード,スケジューリング,キュー数,またはキュー長が設定されない場合は,次の表に示す障害解析方法に従って原因を切り分けてください。

表6‒8 シェーパモード,スケジューリング,キュー数,またはキュー長が設定されない場合の障害解析方法

項番

確認内容・コマンド

対応

1

対象NIFにシェーパモードのコンフィグレーションが設定されているか確認してください。

  • show running-config

該当するシェーパモードのコンフィグレーションに対象NIFが指定されていない場合は,動作しません。シェーパモードのコンフィグレーションに対象NIFを追加してください。

コンフィグレーションが設定されている場合は,項番2へ。

2

対象NIFでシェーパモードのコンフィグレーションと動作内容が一致しているか確認してください。

  • show shaper

Shaper-mode,Scheduling-mode,Max-queue,およびQueue-lengthのCurrentに"-"が表示されている場合,またはConfigurationと異なる場合は,動作に反映されていません。NIFを再起動して運用に反映させてください。

コンフィグレーションと動作内容が一致している場合は,項番3へ。

3

対象NIFの更新状態を確認してください。

  • show nif

NIFの更新状態にrestart requiredが表示されている場合は,NIFの再起動が必要です。NIFを再起動して運用に反映させてください。

NIFの更新状態にrestart requiredが表示されていない場合は,項番4へ。

4

振り分け先のシェーパユーザの設定について,次のどれかで確認してください。

  • show shaper <port list> llrlq

  • show shaper <port list> default

  • show shaper <port list> user <user id list>

応答メッセージ"There is no operational user."が表示される場合は,シェーパユーザが設定されていません。シェーパユーザのコンフィグレーションが設定されているか確認してください。

シェーパユーザが表示される場合は,項番5へ。

5

フレームが廃棄されていないか確認してください。

確認方法と対応については,「8.1 パケット廃棄の確認」を参照してください。

(4) 帯域制御が動作しない場合

帯域制御が動作しない場合は,次の表に示す障害解析方法に従って原因を切り分けてください。

表6‒9 帯域制御が動作しない場合の障害解析方法

項番

確認内容・コマンド

対応

1

対象NIFのシェーパモードのコンフィグレーションに各帯域が設定されているか確認してください。

  • show running-config

シェーパユーザワンタッチ設定機能を使用していて,該当するシェーパモードのコンフィグレーションで帯域が指定されていない場合は,LLRLQユーザ最大帯域およびデフォルトユーザ最大帯域を制限しません。コンフィグレーションコマンドshaper modeで各帯域を追加してください。

コンフィグレーションに帯域が設定されている場合は,項番2へ。

2

対象NIFで各帯域のコンフィグレーションと動作内容が一致しているか確認してください。

  • show shaper

各帯域のCurrentに"-"が表示されている場合,またはConfigurationと異なる場合は,対象の帯域が動作に反映されていません。NIFを再起動して運用に反映させてください。

コンフィグレーションと動作内容が一致している場合は,項番3へ。

3

対象NIFの更新状態を確認してください。

  • show nif

NIFの更新状態にrestart requiredが表示されている場合は,NIFの再起動が必要です。NIFを再起動して運用に反映させてください。

NIFの更新状態にrestart requiredが表示されていない場合は,項番4へ。

4

対象NIFでポート帯域制御が設定されているか確認してください。

  • show shaper

対象ポートにポート帯域制御が設定されていない場合は,ポート帯域を制限しません。コンフィグレーションを見直してください。

ポート帯域制御が設定されている場合は,項番5へ。

5

振り分け先のシェーパユーザの設定について,次のどれかで確認してください。

  • show shaper <port list> llrlq

  • show shaper <port list> default

  • show shaper <port list> user <user id list>

応答メッセージ"There is no operational user."が表示される場合は,シェーパユーザが設定されていません。シェーパユーザのコンフィグレーションが設定されているか確認してください。

シェーパユーザが表示される場合は,項番6へ。

6

シェーパユーザ決定を確認してください。

  • show shaper

シェーパユーザ決定でランダム振り分けを使用している場合は,複数のフローが同一シェーパユーザに割り当てられることがあります。ランダム振り分けのキー情報を見直すか,シェーパユーザ数を標準モードで使用している場合は拡張モードに変更すると,複数のフローによる競合が発生しにくくなります。

適切に設定されている場合は,項番7へ。

7

フレームが廃棄されていないか確認してください。

確認方法と対応については,「8.1 パケット廃棄の確認」を参照してください。