コンフィグレーションガイド Vol.3
マルチキャストパケットの中継にはハードウェアの中継処理およびソフトウェアの中継処理があります。
- <この項の構成>
- (1) ハードウェアによるマルチキャストパケット中継処理
- (2) ソフトウェアによるマルチキャストパケット中継処理
- (3) マルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリの検索
- (4) ネガティブキャッシュエントリ
- (5) VRF機能
ハードウェアによるマルチキャストパケットの中継処理には次の機能があります。
- マルチキャスト中継エントリの検索
マルチキャストグループ宛てのマルチキャストパケットを受信した場合,ハードウェアのマルチキャスト中継エントリから該当するマルチキャスト中継エントリを検索します。
- マルチキャストパケットを受信したインタフェースの正常性チェック
マルチキャスト中継エントリの検索でマルチキャスト中継エントリが存在した場合,そのマルチキャストパケットが正しいインタフェースから受信されているかどうかをチェックします。
- マルチキャストパケットのフィルタリング
コンフィグレーションで設定されたフィルタエントリを参照して中継可否を判断します。
- TTL値に基づいた中継判断と減算
マルチキャストパケット中のTTL値を減算して,TTL値が0より大きい場合は中継します。
ソフトウェアによるマルチキャストパケット中継処理は次に示す場合ごとに処理が異なります。
- ハードウェアのマルチキャスト中継エントリに登録されていない場合
最初に受信したマルチキャストパケットをソフトウェアで処理することで,マルチキャスト経路情報からマルチキャスト中継エントリを生成します。生成したマルチキャスト中継エントリをハードウェアに登録するとともに,ソフトウェア処理で使用したマルチキャストパケットを中継します。
- IPカプセル化処理をする場合
PIM-SMで一時的にランデブーポイント宛てにIPカプセル化して中継します。ランデブーポイントでは各中継先にIPデカプセル化して中継します。
(3) マルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリの検索
受信したマルチキャストパケットのDA(宛先グループアドレス)とSA(送信元アドレス)に該当するエントリをマルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリから検索します。マルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリの検索方法を次の図に示します。
図24-6 マルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリの検索方法
ネガティブキャッシュエントリは,中継できないマルチキャストパケットをハードウェアによって廃棄する機能です。
ネガティブキャッシュエントリは中継先インタフェースの存在しないマルチキャスト中継エントリです。ネガティブキャッシュエントリは,中継できないマルチキャストパケットを受信するとハードウェアに登録します。その後,登録したマルチキャストパケットと同じアドレスのマルチキャストパケットを受信すると,そのマルチキャストパケットをハードウェアによって廃棄します。これによって,大量の中継できないマルチキャストパケットを受信しても,それを原因とする負荷上昇を抑えられます。
(5) VRF機能
複数のVRFでマルチキャストを動作させた場合,マルチキャスト中継エントリはVRFごとに独立して設定できます。異なるVRFでは,同じIPv4アドレスのマルチキャスト中継エントリを作成できます。また,マルチキャストエクストラネットによって,異なるVRF間でマルチキャスト通信ができます。
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