コンフィグレーションガイド Vol.3
次の契機で,OSPFのリスタート機能が動作します。
- 系切替によって運用系BCUが交替したとき
- ユニキャストルーティングプログラムが再起動したとき
- <この項の構成>
- (1) OpaqueLSA
- (2) グレースフル・リスタートの手順
- (3) グレースフル・リスタートが失敗するケース
- (4) 注意事項
(1) OpaqueLSA
本装置は,グレースフル・リスタートの開始や終了を通知するために,Type9のOpaqueLSAを広告します。ただし,Type9のOpaqueLSAについては,OSPFのグレースフル・リスタートに使用するgrace-LSA以外の機能はサポートしていません。
(2) グレースフル・リスタートの手順
OSPFのグレースフル・リスタート手順を次の図および表に示します。
図18-7 OSPFグレースフル・リスタート手順
表18-6 OSPFグレースフル・リスタート手順
項番 項目 契機 処理内容 1 グレースフル・リスタートの開始 系切替によって運用系BCUが交替したとき。 グレースフル・リスタートを開始します。通常の接続手順と同様に,各インタフェースでOSPF情報のパケットを交換します。 ユニキャストルーティングプログラムが再起動したとき。 2 経路計算 ドメイン内の全OSPFインタフェースについて再接続が完了して,隣接ルータからすべてのLSAを学習したとき。 ドメインごとに経路計算をして,ルーティングテーブルを更新します。複数のドメインが存在する場合,経路計算は接続の終わったドメインから随時します。経路計算が全ドメインで終了したとき,OSPFの経路学習が完了します。 1インタフェースでもグレースフル・リスタートに失敗したとき。 その時点での同一ドメイン内の各インタフェースの接続状態に基づいて,経路計算をします。 3 広告開始 OSPFの経路学習が完了して,かつほかのルーティングプロトコルの経路学習が完了したとき。 AS外経路の広告を開始します。広告完了後,通常のOSPF動作に戻ります。 OSPFのグレースフル・リスタートに失敗したとき。
(3) グレースフル・リスタートが失敗するケース
OSPFのグレースフル・リスタートが失敗するケースを次に示します。
- グレースフル・リスタートの開始をヘルパールータへ通知してからリスタート時間(OSPFのコンフィグレーションコマンドgraceful-restart restart-timeの指定値)が経過してもLSA学習を完了できなかった場合
- 再接続しているインタフェースがダウンした場合
- OSPFドメイン上でLSAが変更された場合
- OSPFドメイン上の別のルータがグレースフル・リスタートした場合
- グレースフル・リスタートを開始してから経路保持時間(コンフィグレーションコマンドrouting options graceful-restart time-limitの指定値)が経過しても全プロトコルの経路学習が完了しなかった場合
- コンフィグレーションコマンドgraceful-restart modeを変更して,リスタート機能を削除した場合
(4) 注意事項
- リスタートルータとしてグレースフル・リスタートを開始しても,一部のヘルパールータがヘルパー動作を開始しない場合や途中で止めた場合,同一ドメイン内の全インタフェースでグレースフル・リスタートを止めます。
- OSPFのリスタート時間を,系切替所要時間+LSA学習時間を超えるように設定してください。これは,OSPFがLSAを学習するためには,系切替が完了してIPインタフェースのUp/Downが確認できるようになっている必要があるためです。グレースフル・リスタート開始後,リスタート時間が経過した時点でLSAの学習が終わってない場合,OSPFのグレースフル・リスタートに失敗します。
- 系切替によって運用系BCUが交替したときのルーティングエントリ保持時間を,OSPFのリスタート時間よりも長く設定してください。OSPFのリスタート時間よりもルーティングエントリ保持時間のほうが短い場合,経路学習前に系切替前のルーティングエントリが削除されることがあります。
- BGP4の内部ピアがグレースフル・リスタートを使用している場合,内部ピアのリスタート時間をOSPFのリスタート時間よりも長く設定してください。内部ピアのリスタート時間のほうが短い場合,OSPFが経路学習を完了する前に内部ピアを接続できなくなって,内部ピアのグレースフル・リスタートに失敗することがあります。
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