コンフィグレーションガイド Vol.3
- <この項の構成>
- (1) ルータID,ネットワークアドレスに関する注意事項
- (2) 経路の再配布フィルタと学習フィルタの注意事項
- (3) マルチバックボーン機能使用時の注意事項
(1) ルータID,ネットワークアドレスに関する注意事項
OSPFでは,ネットワークのトポロジを構築するときに,ルータの識別にルータIDを使用します。
ネットワークの設計時に次に示すような不正がある場合,正確なトポロジを構築できません。
- 同一ドメイン内の複数のルータに同じ値のルータIDを設定した場合
- 異なるネットワークに同一ネットワークアドレスを割り当てた場合
これらの不正がある場合,不正確なトポロジに基づいてネットワーク設計するため,正確な経路選択ができなくなります。ルータIDの決定方法として,次の方法をお勧めします。
- ルータIDの決定方法
- 該当ルータでOSPFが動作しているインタフェースに割り当ててあるIPアドレスから一つ選択して,これをルータIDとして使用してください(ルータIDは基本的に任意の32ビットの数値です)。この方法を使用すると,OSPFネットワーク設計時のミスなどによるルータIDの重複を防げます。
なお,1台のルータが複数のOSPFドメインに接続している場合,すべてのドメインで同一のルータIDを使用しても問題ありません。
(2) 経路の再配布フィルタと学習フィルタの注意事項
OSPFでは,隣接ルータから学習したすべてのLSAをほかの隣接ルータへ広告します。再配布フィルタによって,OSPFで学習した経路の同一ドメイン内での広告を抑止できません。また,経路集約機能(ip summary-addressコマンド)を使用してOSPF経路を集約する場合,集約元経路の広告を抑止する設定をしても,同一ドメイン内でのLSA広告は抑止されません。
distribute-list inコマンドでは,フィルタ条件に一致するAS外経路の学習を抑止できます。ただし,LSAの学習,広告を制御できません。そのため,学習しなかった経路もOSPFで広告されます。
(3) マルチバックボーン機能使用時の注意事項
(a) マルチバックボーン使用についての注意
ネットワークを複数のOSPFドメインに分割して運用した場合,ルーティングループの抑止やコストに基づいた経路選択などのOSPFの特長が,OSPFドメイン間の経路の選択や配布によって失われます。新規ネットワーク構築時など,ネットワークを複数のOSPFドメインに分割して運用する必要がない場合は,単一のOSPFネットワークとして構築することをお勧めします。
(b) 複数ドメインの設定についての注意
ループバックインタフェースに設定したアドレスを複数のOSPFドメインに広告する必要がある場合は,OSPF AS外経路として広告してください。コンフィグレーションで,一つのインタフェースを同時に複数のOSPFドメインに設定できません。
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