コンフィグレーションガイド Vol.3
- <この項の構成>
- (1) ノンストップルーティングとグレースフル・リスタートの同時使用時の注意事項
- (2) ノンストップルーティング使用時の注意事項
- (3) グレースフル・リスタート使用時の注意事項
(1) ノンストップルーティングとグレースフル・リスタートの同時使用時の注意事項
ノンストップルーティングとグレースフル・リスタートのリスタート機能は排他で動作します。各ルーティングプロトコルの設定単位内で同時に設定が有効な場合,ノンストップルーティングだけが動作して,リスタート機能は無効になります。異なる設定単位間では,ノンストップルーティングとリスタート機能を使い分けられます。
(2) ノンストップルーティング使用時の注意事項
- ノンストップルーティング使用時,ルーティングプロトコルの状態の同期が完了していない場合,運用コマンドredundancy force-switchoverによる系切替はできません。運用系BCUの障害による系切替など,運用コマンド以外の契機で系切替が発生すると,ノンストップルーティングに失敗することがあります。
ルーティングプロトコルの状態の同期状況は,運用コマンドshow nsr unicastで確認してください。
- ノンストップルーティング使用時,隣接装置との接続関係が変化した場合,運用コマンドredundancy force-switchoverによる系切替は1分以上時間を空けることを推奨します。1分以内に系切替が発生すると,新運用系BCUで隣接装置との接続関係が変化したことを再度検知することがあります。
(3) グレースフル・リスタート使用時の注意事項
- グレースフル・リスタート中はコンフィグレーションを変更しないでください。グレースフル・リスタート中にコンフィグレーションを変更するとグレースフル・リスタートに失敗することがあります。
- グレースフル・リスタート中は,グレースフル・リスタートの補助機能が動作しません。
- グレースフル・リスタート中に隣接ルータで障害が発生した場合,グレースフル・リスタートに失敗することがあります。
- グレースフル・リスタート手順が成功しても,隣接装置で本装置から学習した経路情報を保持できなかった場合,通信が停止することがあります。
- 障害による系切替の場合,系切替が完了しグレースフル・リスタートによる再学習を始めるよりも前に,隣接装置が切断を検出することがあります。各プロトコルの切断検出時間は,系切替所要時間よりも長くなるようにしてください。デフォルト値で運用したときのプロトコル別の切断検出までの最短時間の目安値を次に示します。
- OSPFおよびOSPFv3:25秒
- BGP4およびBGP4+:100秒
- 系切替所要時間はインタフェース数に依存します。系切替所要時間の目安値を次の表に示します。
表13-13 系切替所要時間の目安値
インタフェース数※ 系切替所要時間(秒) 2000 25 4000 30 注※ 同一インタフェースそれぞれにIPv4アドレスとIPv6アドレスを設定した場合。
なお,この目安値は,VRRP,NTP,マルチキャストルーティングプロトコルなど,ほかのレイヤ3機能が同時動作していない場合のものです。これらの機能が同時に動作する場合は,系切替所要時間が長くなることがあります。
- 運用コマンドによる系切替でグレースフル・リスタートを使用する場合,各プロトコルのリスタート時間を,系切替所要時間よりも長くなるように指定してください。
- OSPFおよびOSPFv3のリスタート時間を,系切替所要時間と経路学習時間の合計よりも長くしてください。これは,経路情報を同期するためには,系切替を完了してIPインタフェースのUp/Down状態が確認できるようになる必要があるためです。
- BGP4およびBGP4+のリスタート時間を,系切替所要時間とコネクション確立に掛かる時間の合計よりも長くしてください。これは,ピアのコネクションを確立するには,系切替を完了してIPインタフェースの状態を確認できるようになる必要があるためです。さらに,BGP4およびBGP4+で直接接続されていない内部ピア接続によってピアアドレス宛ての経路情報をIGPで交換している場合,BGP4およびBGP4+のリスタート時間を,OSPFおよびOSPFv3のリスタート時間とピアのコネクション確立に掛かる時間の合計よりも長くしてください。これは,ピアのコネクションを確立するには,ピアアドレスを解決するIGPがグレースフル・リスタートによって経路を学習しておく必要があるためです。
- グレースフル・リスタート時の経路保留時間(コンフィグレーションコマンドrouting options graceful-restart time-limitの指定値)を,各プロトコルのリスタート時間よりも長く設定してください。OSPFおよびOSPFv3では,リスタート時間が,経路計算の実施を待つ時間の上限となります。したがって,経路保留時間がリスタート時間以下の場合,経路計算によってフォワーディングテーブルを更新するより先に,保留経路(更新されていないフォワーディングテーブル)が削除されるため,通信が停止します。また,BGP4およびBGP4+では,リスタート時間がコネクションの再確立を待つ時間の上限となるため,再確立が最も遅い場合は,リスタート時間後にピアからの経路学習を開始します。経路学習およびフォワーディングテーブルを更新する時間のため,BGP4およびBGP4+のリスタート時間は経路保留時間より60秒程度短い値を設定してください。なお,目安の設定値は経路数および隣接するピア数に依存します。
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