コンフィグレーションガイド Vol.3
スタティックルーティングおよびダイナミックルーティングの各プロトコルは同時に動作できます。
- <この項の構成>
- (1) 学習経路の優先度選択
- (2) 広告経路
(1) 学習経路の優先度選択
複数のルーティングプロトコルが同時動作するとき,それぞれは独立した経路選択手順に従って,ある宛先アドレスへの経路情報から一つの最良の経路を選択します。直結経路や集約経路もルーティングプロトコルで学習した経路と同じように一つのプロトコル経路として扱います。その結果,本装置内ではある宛先アドレスへの経路情報が複数存在することになります。このような場合,それぞれの経路情報のディスタンス値が比較されて優先度の高い経路がアクティブ経路になります。
本装置では,スタティック経路ごとおよびダイナミックルーティングのルーティングプロトコル(例えば,RIP)ごとに生成する経路情報のデフォルトのディスタンス(優先度)値をコンフィグレーションで設定できます。なお,ディスタンスは値の小さい方が優先度が高くなります。各プロトコルのディスタンスのデフォルト値を次の表に示します。
表13-5 ディスタンスのデフォルト値
経路 デフォルトディスタンス値 直結経路 0(固定値) スタティック経路 2 BGP4またはBGP4+の外部ピア学習経路 20 OSPFまたはOSPFv3のAS内経路 110 OSPFまたはOSPFv3のAS外経路 110 RIPまたはRIPng経路 120 集約経路 130 BGP4またはBGP4+の内部ピア学習経路 200 BGP4またはBGP4+メンバーAS間ピア学習経路 200 他VRFまたはグローバルネットワークからインポートした経路 210 内部生成経路 256
(2) 広告経路
複数のルーティングプロトコルが同時動作するとき,各ルーティングプロトコルで広告する経路情報は同一のルーティングプロトコルで学習した経路情報に限られます。異なるルーティングプロトコルから学習した経路情報は広告されません。
本装置では,あるルーティングプロトコルの経路情報をほかのルーティングプロトコルで広告したい場合や,特定の経路情報の広告をフィルタリングしたい場合には経路フィルタリングによって実現できます。なお,非アクティブ経路の経路情報はほかのルーティングプロトコルで広告できません。
経路フィルタリングについては,「23. 経路フィルタリング」を参照してください。
(a) RIPまたはRIPngでの経路広告
RIP-1とRIP-2は同一のルーティングプロトコルです。RIP-1とRIP-2はお互いが学習した経路情報を広告します。
RIPngは一つのルーティングプロトコルとして動作します。
(b) OSPFまたはOSPFv3での経路広告
OSPFまたはOSPFv3の各ドメインは,互いに異なるルーティングプロトコルとして動作します。そのため,一つの宛先アドレスに異なるドメインに由来する複数のAS内経路,またはAS外経路が存在することがあります。OSPFまたはOSPFv3の経路間でディスタンス値が同じ場合には,ドメイン番号の小さい経路を優先します。AS外経路およびAS内経路(エリア内経路,エリア間経路)は,ドメインごとにディスタンスのデフォルト値を変更できます。
経路フィルタリングを使用しない場合,本装置内の複数のドメイン間で互いに経路を広告しません。AS内経路やAS外経路をほかのドメインにAS外経路として広告したい場合は,経路フィルタリングを設定してください。
(c) BGP4またはBGP4+での経路広告【OP-BGP】
経路フィルタリングを設定していない場合,あるASから学習した経路はほかのASに広告されます。この場合,BGP4またはBGP4+以外のルーティングプロトコルでBGP4またはBGP4+経路と同じ宛先の経路が存在しても,BGP4またはBGP4+で選択された最適なBGP4またはBGP4+経路が広告されます。
経路フィルタリングを設定している場合,広告される経路情報はディスタンス値によって選択された最も優先度の高い経路が対象となります。
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