コンフィグレーションガイド Vol.3

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12.1.6 VRRPのサポート規格

本装置では複数のVRRPの規格をサポートしているため,既存システムで採用されている規格に合わせて,柔軟に仮想ルータを設定できます。VRRPの規格を仮想ルータに適用するには,コンフィグレーションコマンドvrrp modeでVRRP動作モードに対応するパラメータを設定します。

サポートしているVRRPの規格と対応するvrrp modeコマンドのパラメータを次の表に示します。

表12-2 VRRPの規格と対応するvrrp modeコマンドのパラメータ

規格 パラメータ
IPv4 RFC3768 rfc3768
RFC5798 rfc5798(デフォルト動作)
draft-ietf-vrrp-unified-spec-02 ietf-unified-spec-02
IPv6 RFC5798 rfc5798(デフォルト動作)
draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-02 ietf-ipv6-spec-02
draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07 ietf-ipv6-spec-07
draft-ietf-vrrp-unified-spec-02 ietf-unified-spec-02

ADVERTISEMENTパケットのフォーマットやフィールドの意味は規格ごとに異なります。そのため,仮想ルータを構成する装置間で異なる設定にすると,ADVERTISEMENTパケットを不正パケットと判断して破棄してしまい,お互いがマスタ状態になることがあります。したがって,仮想ルータを構成する装置間では同じ規格に従うようにコンフィグレーションを設定してください。

<この項の構成>
(1) RFC3768に従った動作の概要
(2) RFC5798に従った動作の概要(デフォルト動作)
(3) draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-02に従った動作の概要
(4) draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07に従った動作の概要
(5) draft-ietf-vrrp-unified-spec-02に従った動作の概要
(6) 障害検出時間について

(1) RFC3768に従った動作の概要

IPv4仮想ルータでサポートしています。

VRRPパケットVer.2(RFC3768で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行い,ADVERTISEMENTパケットの認証機能が利用できます。

本装置に設定されたADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

(2) RFC5798に従った動作の概要(デフォルト動作)

IPv4/IPv6仮想ルータでサポートしていて,IPv4/IPv6仮想ルータでのデフォルト動作です。

VRRPパケットVer.3(RFC5798で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行います。

マスタ装置からのADVERTISEMENTパケットの受信によって得られるマスタ装置のADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

ADVERTISEMENTパケットの認証機能は利用できません。

(3) draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-02に従った動作の概要

IPv6仮想ルータでサポートしています。

VRRPパケットVer.3(draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-02で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行い,ADVERTISEMENTパケットの認証機能が利用できます。

本装置に設定されたADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

(4) draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07に従った動作の概要

IPv6仮想ルータでサポートしています。

VRRPパケットVer.3(draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行います。

本装置に設定されたADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

ADVERTISEMENTパケットの認証機能は利用できません。

(5) draft-ietf-vrrp-unified-spec-02に従った動作の概要

IPv4/IPv6仮想ルータでサポートしています。

VRRPパケットVer.3(draft-ietf-vrrp-unified-spec-02で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行います。

マスタ装置からのADVERTISEMENTパケットの受信によって得られるマスタ装置のADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

ADVERTISEMENTパケットの認証機能は利用できません。

(6) 障害検出時間について

本装置では,仮想ルータが次に示す規格に従って動作している場合,ADVERTISEMENTパケットの送信間隔をミリ秒単位で指定すると,すばやく障害を検出して,仮想ルータを切り替えられます。

すばやくVRRPを切り替えるためには,障害検出時間を短くする必要があります。障害検出時間は,ADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,次の式で算出されます。

 障害検出時間=ADVERTISEMENTパケット送信間隔×3+Skew_Time

なお,Skew_Timeの算出方法はVRRPの規格ごとに異なります。VRRPの規格とSkew_Timeの算出方法を次の表に示します。

表12-3 VRRPの規格とSkew_Time算出方法

VRRPの規格 ADVERTISEMENTパケット送信間隔の指定単位 Skew_Time
RFC3768 (256 - Priority※1) / 256
(単位:秒)
RFC5798 1/100秒 ((256 - priority※1) * Master_Adver_Interval※2) /256
(単位:Master_Adver_Interval※2と同じ)
draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-02 (256 - Priority※1) / 256
(単位:秒)
draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07 1/100秒 ((256 - priority※1) * Advertisement_Interval※3) / 256
(単位:Advertisement_Interval※3と同じ)
draft-ietf-vrrp-unified-spec-02 1/100秒 ((256 - priority※1) * Master_Adver_Interval※2) /256
(単位:Master_Adver_Interval※2と同じ)

注※1 仮想ルータの優先度

注※2 マスタ装置のADVERTISEMENTパケット送信間隔

注※3 自装置に設定されたADVERTISEMENTパケット送信間隔


本装置では,仮想ルータがRFC5798,draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07,またはdraft-ietf-vrrp-unified-spec-02で動作している場合,ADVERTISEMENTパケットの送信間隔に250ミリ秒以下を指定すると,障害検出時間を1秒以内に設定できます。

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