コンフィグレーションガイド Vol.2
シェーパユーザ決定は,トラフィックを処理するシェーパユーザを決定する機能です。シェーパユーザ決定には,次の三つの方法があります。
- ランダム振り分け
フレーム内情報に基づく自動計算によってシェーパユーザをランダムに決定します。
- VLAN IDマッピング
フレームに付いたVLAN TagのVLAN IDからシェーパユーザを一意に決定します。
- フロー検出によるシェーパユーザ決定
QoSフローで検出したフローに対してシェーパユーザを指定することで,シェーパユーザを一意に決定します。
ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングについては,NIF単位に異なるシェーパユーザ決定方法を指定できます。指定しないNIFでは,すべての中継フレームがデフォルトユーザで処理されます。
フロー検出によるシェーパユーザ決定については,QoSフロー単位に指定できます。指定しないQoSフローは,すべての中継フレームがデフォルトユーザで処理されます。また,フロー検出によるシェーパユーザ決定は,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングと併用できます。併用した場合は,フロー検出で決定したシェーパユーザが優先されます。
なお,本装置が自発送信する制御フレームは,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングによる振り分けの対象外となり,常にLLRLQユーザに割り当てられます。フロー検出によるシェーパユーザ決定では,本装置が自発送信する制御フレームもシェーパユーザを決定できます。
- <この項の構成>
- (1) ランダム振り分け
- (2) VLAN IDマッピング
- (3) フロー検出によるシェーパユーザ決定
(1) ランダム振り分け
ランダム振り分けでは,指定したフレーム内の情報をキー情報として,通常ユーザをランダムに決定します。不特定多数のフローに対してマイクロバーストを抑止したい場合などに使用できます。
ランダム振り分けのキー情報として使用できるフレーム情報を次の表に示します。キー情報には,複数のフレーム情報を選択できます。
表19-2 ランダム振り分けのキー情報として使用できるフレーム情報
フレーム情報 キー情報 MACヘッダ 宛先MACアドレス 送信元MACアドレス VLAN Tag※ 1段目のVLAN ID 2段目のVLAN ID IPヘッダ 宛先IPアドレス 送信元IPアドレス 上位プロトコル TCP/UDPヘッダ 宛先ポート番号 送信元ポート番号
- 注※
- Tag変換やVLANトンネリングをする場合は,回線に送信するVLAN Tagが対象となります。
ランダム振り分けの対象となる通常ユーザの範囲は,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。シェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数とランダム振り分けするシェーパユーザ番号の対応を次の表に示します。
表19-3 ランダム振り分け対象のシェーパユーザ番号
シェーパモード ユーザキュー数 対象のシェーパユーザ番号の範囲 標準モード 拡張モード【OP-SHPE】 RGQ 8キュー 1〜128 1〜256 4キュー 1〜256 1〜2048 LLPQ4 8キュー 1〜128 1〜256 LLPQ1 4キュー 1〜256 1〜2048 この表に示すとおり,拡張モードでシェーパユーザ数を拡張した場合,標準モードに比べてフローを同一シェーパユーザに割り当てる可能性を低くできます。【OP-SHPE】
(2) VLAN IDマッピング
VLAN IDマッピングでは,フレームに付いたVLAN TagのVLAN IDと同じシェーパユーザ番号の通常ユーザをマッピングします。ランダム振り分けでVLAN IDをキー情報として使った場合に比べて,一つのVLANに一つの通常ユーザを割り当てやすい方式です。
VLAN IDマッピングに使用するVLAN IDとして,1段目のVLAN IDまたは2段目のVLAN IDのどちらかを選択できます。Tag変換やVLANトンネリングをする場合は,回線に送信するVLAN Tagが対象となります。該当するVLAN Tagの付いていないフレームや,シェーパユーザ番号の範囲外のVLAN IDを持つフレームは,デフォルトユーザに割り当てられます。
VLAN IDマッピングの対象となる通常ユーザの範囲は,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。シェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数とVLAN IDマッピングするシェーパユーザ番号の対応を次の表に示します。
表19-4 VLAN IDマッピング対象のシェーパユーザ番号
シェーパモード ユーザキュー数 対象のシェーパユーザ番号の範囲 標準モード 拡張モード【OP-SHPE】 RGQ 8キュー 1〜128 1〜382 4キュー 1〜256 1〜3056 LLPQ4 8キュー 1〜128 1〜382 LLPQ1 4キュー 1〜256 1〜3056
(3) フロー検出によるシェーパユーザ決定
フロー検出によるシェーパユーザ決定では,QoSフローでフロー検出したフレームの送信先シェーパユーザを指定することで,シェーパユーザを決定します。ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングに比べて,フローごとに木目細かくシェーパユーザを決定できます。QoSフローでのフロー検出については,「13. QoSフロー」を参照してください。
フロー検出によるシェーパユーザ決定は,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングとは異なり,通常ユーザに加えて,LLRLQユーザおよびデフォルトユーザを明示的に指定することで,該当するシェーパユーザから送信できます。指定できるシェーパユーザ番号は,ほかのシェーパユーザ決定方法と同様に,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。フロー検出によるシェーパユーザ決定で指定できるシェーパユーザ番号は,VLAN IDマッピングの場合と同じです。なお,指定したシェーパユーザ番号のシェーパユーザが未設定の場合,デフォルトユーザで送信されます。
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