コンフィグレーションガイド Vol.3


29.1.3 マルチキャストエクストラネット

〈この項の構成〉

(1) VRF間経路フィルタリング

VRF間で導入する経路をフィルタできます。フィルタした結果,導入しないことになった経路はマルチキャスト経路情報を生成しません。

(a) フィルタの適用方法

上流側VRFに設定します。中継先VRFからの経路通知に対して,許可するグループアドレスをコンフィグレーションコマンドの設定に従ってフィルタします。フィルタした結果がpermitである場合,経路をマルチキャスト経路情報に導入します。適用するフィルタがない場合,経路を導入しません。

マルチキャストVRF間経路フィルタリングに使うコンフィグレーションコマンドを次の表に示します。

表29‒2 マルチキャストVRF間経路フィルタリングのコンフィグレーションコマンド

コマンド名

フィルタ対象経路

import multicast inter-vrf

route-mapに指定されたVRFからの中継要求がフィルタリング対象になります。

ipv6 import multicast inter-vrf

route-mapに指定されたVRFからの中継要求がフィルタリング対象になります。

マルチキャストエクストラネットでのroute-mapのフィルタ条件を次の表に示します。これ以外の条件は無視します。

表29‒3 マルチキャストエクストラネットでのroute-mapのフィルタ条件

条件となる経路属性

説明

コンフィグレーションコマンド

グループアドレス

指定したアクセスリストを条件として,指定したフィルタでグループアドレスをフィルタします。

フィルタの動作がpermitの場合,一致したと見なします。

本条件を設定しない場合,すべてのグループアドレスが許可対象になります。

match ip address

ip access-list standard

match ipv6 address

ipv6 access-list

VRF ID

VRF IDを条件として指定して,経路のVRF IDと比較します。これで指定したVRFからの中継要求を許可します。

本コマンドを設定したVRFと同じIDを指定した場合,そのIDだけ無視します。これによって,複数のVRFをグループ化して共通のroute-mapを使用できます。

本条件を設定しない場合,すべてのVRFからの中継要求を許可します。

match vrf

(b) VRF間経路の設定

VRF間経路フィルタを指定します。フィルタ条件に従って,他VRFまたはグローバルネットワークから中継要求のあった経路を自VRFのマルチキャスト経路情報に導入します。導入した経路は導入先マルチキャスト経路情報の中継先インタフェースに追加されます。マルチキャストVRF間経路フィルタにコンフィグレーションコマンドmatch vrfを指定した場合,中継要求元のVRF IDと条件比較します。match vrfコマンドを指定しない場合,他VRFまたはグローバルネットワークすべてでフィルタ条件は同じになります。

(c) プロトコルでのVRF間経路の広告

VRFに経路フィルタを設定すると,他VRFまたはグローバルネットワークからの中継要求を許可できます。他VRFまたはグローバルネットワークから中継要求を受けてフィルタした結果許可された場合,マルチキャスト経路情報を生成して,上流ルータがあれば上流ルータに中継要求を送信します。

他VRFまたはグローバルネットワークが自VRFに中継要求を送信するためには,ユニキャストエクストラネットで,中継要求元となるVRFに送信元アドレスへの経路を自VRFとなるように設定します。