18.1.3 シェーパユーザ決定
シェーパユーザ決定は,トラフィックを処理するシェーパユーザを決定する機能です。シェーパユーザ決定には,次の三つの方法があります。
- 
               
ランダム振り分け
フレーム内情報に基づく自動計算によってシェーパユーザをランダムに決定します。
 - 
               
VLAN IDマッピング
フレームに付いたVLAN TagのVLAN IDからシェーパユーザを一意に決定します。
 - 
               
フロー検出によるシェーパユーザ決定
QoSフローで検出したフローに対してシェーパユーザを指定することで,シェーパユーザを一意に決定します。
 
ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングについては,NIF単位に異なるシェーパユーザ決定方法を指定できます。指定しないNIFでは,すべての中継フレームがデフォルトユーザで処理されます。
フロー検出によるシェーパユーザ決定については,QoSフロー単位に指定できます。指定しないQoSフローは,すべての中継フレームがデフォルトユーザで処理されます。また,フロー検出によるシェーパユーザ決定は,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングと併用できます。併用した場合は,フロー検出で決定したシェーパユーザが優先されます。
なお,本装置が自発送信する制御フレームは,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングによる振り分けの対象外となり,常にLLRLQユーザに割り当てられます。フロー検出によるシェーパユーザ決定では,本装置が自発送信する制御フレームもシェーパユーザを決定できます。
(1) ランダム振り分け
ランダム振り分けでは,指定したフレーム内の情報をキー情報として,通常ユーザをランダムに決定します。不特定多数のフローに対してマイクロバーストを抑止したい場合などに使用できます。
ランダム振り分けのキー情報として使用できるフレーム情報を次の表に示します。キー情報には,複数のフレーム情報を選択できます。
| 
                         フレーム情報  | 
                     
                         キー情報  | 
                  
|---|---|
| 
                         MACヘッダ  | 
                     
                         宛先MACアドレス  | 
                  
| 
                         送信元MACアドレス  | 
                  |
| 
                         VLAN Tag※  | 
                     
                         1段目のVLAN ID  | 
                  
| 
                         2段目のVLAN ID  | 
                  |
| 
                         IPヘッダ  | 
                     
                         宛先IPアドレス  | 
                  
| 
                         送信元IPアドレス  | 
                  |
| 
                         上位プロトコル  | 
                  |
| 
                         TCP/UDPヘッダ  | 
                     
                         宛先ポート番号  | 
                  
| 
                         送信元ポート番号  | 
                  
- 注※
 - 
                     
Tag変換やVLANトンネリングをする場合は,回線に送信するVLAN Tagが対象となります。
 
ランダム振り分けの対象となる通常ユーザの範囲は,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。シェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数とランダム振り分けするシェーパユーザ番号の対応を次の表に示します。
| 
                         シェーパモード  | 
                     
                         ユーザキュー数  | 
                     
                         対象のシェーパユーザ番号の範囲  | 
                  |
|---|---|---|---|
| 
                         標準モード  | 
                     
                         拡張モード【OP-SHPE】  | 
                  ||
| 
                         RGQ  | 
                     
                         8キュー  | 
                     
                         1〜128  | 
                     
                         1〜256  | 
                  
| 
                         4キュー  | 
                     
                         1〜256  | 
                     
                         1〜2048  | 
                  |
| 
                         LLPQ4  | 
                     
                         8キュー  | 
                     
                         1〜128  | 
                     
                         1〜256  | 
                  
| 
                         LLPQ1  | 
                     
                         4キュー  | 
                     
                         1〜256  | 
                     
                         1〜2048  | 
                  
この表に示すとおり,拡張モードでシェーパユーザ数を拡張した場合,標準モードに比べてフローを同一シェーパユーザに割り当てる可能性を低くできます。【OP-SHPE】
(2) VLAN IDマッピング
VLAN IDマッピングでは,フレームに付いたVLAN TagのVLAN IDと同じシェーパユーザ番号の通常ユーザをマッピングします。ランダム振り分けでVLAN IDをキー情報として使った場合に比べて,一つのVLANに一つの通常ユーザを割り当てやすい方式です。
VLAN IDマッピングに使用するVLAN IDとして,1段目のVLAN IDまたは2段目のVLAN IDのどちらかを選択できます。Tag変換やVLANトンネリングをする場合は,回線に送信するVLAN Tagが対象となります。該当するVLAN Tagの付いていないフレームや,シェーパユーザ番号の範囲外のVLAN IDを持つフレームは,デフォルトユーザに割り当てられます。
VLAN IDマッピングの対象となる通常ユーザの範囲は,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。シェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数とVLAN IDマッピングするシェーパユーザ番号の対応を次の表に示します。
| 
                         シェーパモード  | 
                     
                         ユーザキュー数  | 
                     
                         対象のシェーパユーザ番号の範囲  | 
                  |
|---|---|---|---|
| 
                         標準モード  | 
                     
                         拡張モード【OP-SHPE】  | 
                  ||
| 
                         RGQ  | 
                     
                         8キュー  | 
                     
                         1〜128  | 
                     
                         1〜382  | 
                  
| 
                         4キュー  | 
                     
                         1〜256  | 
                     
                         1〜3056  | 
                  |
| 
                         LLPQ4  | 
                     
                         8キュー  | 
                     
                         1〜128  | 
                     
                         1〜382  | 
                  
| 
                         LLPQ1  | 
                     
                         4キュー  | 
                     
                         1〜256  | 
                     
                         1〜3056  | 
                  
(3) フロー検出によるシェーパユーザ決定
フロー検出によるシェーパユーザ決定では,QoSフローでフロー検出したフレームの送信先シェーパユーザを指定することで,シェーパユーザを決定します。QoSフローでのフロー検出については,「12 QoSフロー」を参照してください。
フロー検出によるシェーパユーザ決定は,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングとは異なり,通常ユーザに加えて,LLRLQユーザおよびデフォルトユーザを明示的に指定することで,該当するシェーパユーザから送信できます。指定できるシェーパユーザ番号は,ほかのシェーパユーザ決定方法と同様に,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。フロー検出によるシェーパユーザ決定で指定できるシェーパユーザ番号は,VLAN IDマッピングの場合と同じです。なお,指定したシェーパユーザ番号のシェーパユーザが未設定の場合,デフォルトユーザで送信されます。