30.1.3 BFDセッション
BFD連携をサポートする機能にBFD連携を指定すると,各機能が監視対象を決定した時点で,本装置と監視対象で指定された対向装置の間にBFDセッションを生成します。ここでの監視対象とは,次の組み合わせによって一意に決定される接続対象を指します。
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シングルホップ・マルチホップの種別
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宛先IPアドレス
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BFDパケットの送信インタフェース(シングルホップの場合だけ)
BFDセッションを確立するには,本装置と対向装置とで双方向の設定が必要です。本装置にBFDが設定されていない場合は,対向装置からのBFDパケットを受信しても応答しないため,BFDセッションは確立しません。
- 〈この項の構成〉
(1) 基本動作
本装置のBFDは,連携する機能からの要求に基づいて動作します。BFDを監視方法とするトラックをコンフィグレーションで設定し,さらにBFDと連携する機能に監視用のトラックをコンフィグレーションで設定します。こうすると,監視対象が決定した時点で,新しいBFDセッションの生成と確立を開始します。監視対象の決定方法はプロトコルに依存します。コンフィグレーションが変更されると,動作に反映します。また,コンフィグレーションが削除されると,BFDセッションも削除します。
BFDの基本動作を次の図に示します。
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装置Aでは,装置Cと装置DをBFD監視対象として設定します。装置Cでは装置Aを,装置Dでも装置AをBFD監視対象として設定します。このとき,装置Aと装置C,装置Aと装置Dの間に,それぞれBFDセッションが生成されます。
(2) BFDセッションの状態
生成されたBFDセッションは,状態に従って監視を開始します。BFDセッションの状態を次の表に示します。
状態 |
内容 |
説明 |
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Down |
ダウン |
生成されたBFDセッションの初期状態,または対向装置を認識していない状態です。 |
Init |
応答中 |
対向装置からDown状態のBFDパケットを受信して,自装置だけが監視対象を認識した過渡状態です。Init状態を経由しないで,直接Up状態になることもあります。 |
Up |
確立 |
InitまたはUp状態のBFDパケットを受信して,互いに監視対象を認識した状態です。セッションが確立されて,BFD監視が有効になります。 |
AdminDown |
管理的ダウン |
ユーザまたはシステムによって,意図的にBFDセッションをダウンさせた状態です。BFDセッションの確立は抑止されていて,対向装置からAdminDown状態を通知されるとBFDセッションがダウンします。 |
BFDパケットには,送信側の装置の状態が含まれています。BFDパケット上の状態と受信側の装置の状態によって,BFDセッションの状態が決定します。
装置Aと装置C間のBFDセッションでの,状態遷移の例を次の図に示します。
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装置AおよびCはコンフィグレーションに従ってBFDセッションをDown状態で作成して,それぞれの対向装置へBFDパケット(Down)を一定の周期で送信します。
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BFDパケット(Down)を受信した装置Cは,装置Aを認識したためInit状態へ遷移して,BFDパケット(Init)を一定の周期で送信します。BFDパケット(Init)を受信した装置Aは,Up状態へ遷移します。
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装置AはBFDパケット(Up)を一定の周期で送信します。BFDパケット(Up)を受信したInit状態の装置Cは,Up状態へ遷移します。
このように,両装置がUp状態となることでBFDセッションが確立したと見なされて,BFD監視が有効になります。
確立しているセッションでどちらかの装置がDown状態またはAdminDown状態になると,BFDパケットの受信によって対向装置もDown状態となって,BFDセッションはダウンします。
(3) BFDセッションの共有
一つの監視対象に対して,生成されるBFDセッションは最大で一つです。同じ監視対象に対して複数のBFD監視が設定された場合,一つのBFDセッションを共有して監視します。
BFDセッションを共有する場合,監視間隔は次のように算出します。
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最小送信間隔は最も短いものを選択します。
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最小受信間隔は最も短いものを選択します。
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検出乗数は最も小さいものを選択します。
なお,監視対象が同じ対向装置でも,宛先IPアドレスや送信インタフェースが一致しないときは共有しません。