コンフィグレーションガイド Vol.3


24.5.4 ネットワーク構成での注意事項

マルチキャストは送信者から各グループメンバ(受信者)にマルチキャストパケットを配信する1(送信者):N(受信者)の片方向通信に適します。マルチキャストの適応ネットワーク構成,注意事項を次に示します。

〈この項の構成〉

(1) IPv4 PIM-SM/PIM-SSM共通

(a) 注意が必要な構成

次に示す構成でPIM-SMまたはPIM-SSMを使用する場合,注意が必要です。

  • 次の図に示す構成のように,受信者と直接接続するルータが同一ネットワーク上に複数存在するインタフェースでは,必ずPIM-SMを動作させてください。

    同一ネットワーク上に複数のルータが存在するインタフェースでPIM-SMを動作させないでIGMPだけを動作させた場合,マルチキャストパケットが二重に中継されることがあります。

    図24‒25 PIM-SM/PIM-SSMで注意が必要な構成(複数ルータと受信者の接続)

    [図データ]

  • 次の図に示す構成のように,本装置Cが本装置Aと本装置BにVRRPを設定した仮想インタフェースをゲートウェイとするスタティック経路を設定した環境では,PIM-SMおよびPIM-SSMが上流ルータを検出できないため,マルチキャスト通信ができません。

    この構成でマルチキャスト通信をする場合は,本装置Cにランデブーポイントアドレス,ブートストラップルータアドレス,およびマルチキャスト送信者アドレスへのゲートウェイアドレスを本装置Aまたは本装置Bの実アドレスとするスタティック経路を設定する必要があります。

    図24‒26 PIM-SM/PIM-SSMで注意が必要な構成(VRRPを設定した場合)

    [図データ]

(2) IPv4 PIM-SM

(a) 推奨構成

PIM-SMでは,ツリー型ネットワーク構成および冗長経路が存在するネットワーク構成を推奨します。ただし,ランデブーポイントの配置には十分注意してください。PIM-SM推奨ネットワーク構成を次の図に示します。

図24‒27 PIM-SM推奨ネットワーク構成

[図データ]

[図データ]

(b) 注意が必要な構成

送信者と直接接続するルータが同一ネットワーク上に2台以上存在する構成でPIM-SMを使用する場合は注意が必要です。次の図に示す構成でどれかをランデブーポイントとする場合は,ランデブーポイントがDR(Designated Router)になるようにしてください。

ランデブーポイント以外をDRにした場合,DRからランデブーポイントに対してPIM Registerメッセージを送信するため,本装置A,Bに負荷が掛かります。また,PIM Registerメッセージ中のマルチキャストパケットを中継するときに,ランデブーポイントでパケットロスが発生するおそれがあります。なお,ランデブーポイントをDRにした場合は,PIM RegisterメッセージによるIPカプセル化は行いません。

図24‒28 PIM-SMで注意が必要な構成(複数ルータと送信者の接続)

[図データ]

(c) 不適応な構成

送信者とランデブーポイントの間に受信者が存在する構成でPIM-SMは使用しないでください。次の図に示す構成で送信者からマルチキャストグループ1へのマルチキャスト通信をする場合,ランデブーポイント経由の中継が効率良く行えません。

図24‒29 PIM-SMで不適応な構成(送信者とランデブーポイントの間に受信者が存在する場合)

[図データ]

(3) IPv4 PIM-SSM

(a) 注意が必要な構成

マルチキャスト受信者と同一回線上に複数のPIM-SSMルータが動作する構成でPIM-SSMを使用する場合は注意が必要です。次の図に示す構成でIGMP PIM-SSM連携機能を動作させる場合は,同一回線上のすべてのルータにコンフィグレーションコマンドip pim ssmおよびip igmp ssm-map staticを設定してください。

図24‒30 PIM-SSMで注意が必要な構成(複数ルータと受信者の接続)

[図データ]