コンフィグレーションガイド Vol.2


19.1.3 シェーパユーザ決定

シェーパユーザ決定は,トラフィックを処理するシェーパユーザを決定する機能です。シェーパユーザ決定には,次の三つの方法があります。

ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングについては,NIF単位に異なるシェーパユーザ決定方法を指定できます。指定しないNIFでは,すべての中継フレームがデフォルトユーザで処理されます。

フロー検出によるシェーパユーザ決定については,QoSフロー単位に指定できます。指定しないQoSフローは,すべての中継フレームがデフォルトユーザで処理されます。また,フロー検出によるシェーパユーザ決定は,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングと併用できます。併用した場合は,フロー検出で決定したシェーパユーザが優先されます。

なお,本装置が自発送信する制御フレームは,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングによる振り分けの対象外となり,常にLLRLQユーザに割り当てられます。フロー検出によるシェーパユーザ決定では,本装置が自発送信する制御フレームもシェーパユーザを決定できます。

〈この項の構成〉

(1) ランダム振り分け

ランダム振り分けでは,指定したフレーム内の情報をキー情報として,通常ユーザをランダムに決定します。不特定多数のフローに対してマイクロバーストを抑止したい場合などに使用できます。

ランダム振り分けのキー情報として使用できるフレーム情報を次の表に示します。キー情報には,複数のフレーム情報を選択できます。

表19‒2 ランダム振り分けのキー情報として使用できるフレーム情報

フレーム情報

キー情報

MACヘッダ

宛先MACアドレス

送信元MACアドレス

VLAN Tag

1段目のVLAN ID

2段目のVLAN ID

IPヘッダ

宛先IPアドレス

送信元IPアドレス

上位プロトコル

TCP/UDPヘッダ

宛先ポート番号

送信元ポート番号

注※

Tag変換やVLANトンネリングをする場合は,回線に送信するVLAN Tagが対象となります。

ランダム振り分けの対象となる通常ユーザの範囲は,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。シェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数とランダム振り分けするシェーパユーザ番号の対応を次の表に示します。

表19‒3 ランダム振り分け対象のシェーパユーザ番号

シェーパモード

ユーザキュー数

対象のシェーパユーザ番号の範囲

標準モード

拡張モード【OP-SHPE】

RGQ

8キュー

1〜128

1〜256

4キュー

1〜256

1〜2048

LLPQ4

8キュー

1〜128

1〜256

LLPQ1

4キュー

1〜256

1〜2048

この表に示すとおり,拡張モードでシェーパユーザ数を拡張した場合,標準モードに比べてフローを同一シェーパユーザに割り当てる可能性を低くできます。【OP-SHPE】

(2) VLAN IDマッピング

VLAN IDマッピングでは,フレームに付いたVLAN TagのVLAN IDと同じシェーパユーザ番号の通常ユーザをマッピングします。ランダム振り分けでVLAN IDをキー情報として使った場合に比べて,一つのVLANに一つの通常ユーザを割り当てやすい方式です。

VLAN IDマッピングに使用するVLAN IDとして,1段目のVLAN IDまたは2段目のVLAN IDのどちらかを選択できます。Tag変換やVLANトンネリングをする場合は,回線に送信するVLAN Tagが対象となります。該当するVLAN Tagの付いていないフレームや,シェーパユーザ番号の範囲外のVLAN IDを持つフレームは,デフォルトユーザに割り当てられます。

VLAN IDマッピングの対象となる通常ユーザの範囲は,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。シェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数とVLAN IDマッピングするシェーパユーザ番号の対応を次の表に示します。

表19‒4 VLAN IDマッピング対象のシェーパユーザ番号

シェーパモード

ユーザキュー数

対象のシェーパユーザ番号の範囲

標準モード

拡張モード【OP-SHPE】

RGQ

8キュー

1〜128

1〜382

4キュー

1〜256

1〜3056

LLPQ4

8キュー

1〜128

1〜382

LLPQ1

4キュー

1〜256

1〜3056

(3) フロー検出によるシェーパユーザ決定

フロー検出によるシェーパユーザ決定では,QoSフローでフロー検出したフレームの送信先シェーパユーザを指定することで,シェーパユーザを決定します。QoSフローでのフロー検出については,「13 QoSフロー」を参照してください。

フロー検出によるシェーパユーザ決定は,ランダム振り分けおよびVLAN IDマッピングとは異なり,通常ユーザに加えて,LLRLQユーザおよびデフォルトユーザを明示的に指定することで,該当するシェーパユーザから送信できます。指定できるシェーパユーザ番号は,ほかのシェーパユーザ決定方法と同様に,使用するシェーパモードおよびシェーパユーザ当たりのキュー数によって異なります。フロー検出によるシェーパユーザ決定で指定できるシェーパユーザ番号は,VLAN IDマッピングの場合と同じです。なお,指定したシェーパユーザ番号のシェーパユーザが未設定の場合,デフォルトユーザで送信されます。