解説書 Vol.1

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16.6.3 適応ネットワーク構成

IPv6マルチキャストはサーバ(送信者)から各グループ(受信者)にデータを配信する1(送信者):N(受信者)の片方向通信に適します。IPv6マルチキャストの推奨ネットワーク構成,注意事項を次に示します。

<この項の構成>
(1) IPv6 PIM-SMおよびIPv6 PIM-SSM共通
(2) IPv6 PIM-SM
(3) IPv6 PIM-SSM

(1) IPv6 PIM-SMおよびIPv6 PIM-SSM共通

(a) 適用構成

IPv6 PIM-SMまたはIPv6 PIM-SSM(以下,PIMと略す)では送信者から受信者に至る経路上のすべてのルータでPIMの設定が必要となります。このため,途中でPIMを設定していないルータがあると,マルチキャストパケットの中継が行えません。隣接ルータがPIMを設定していない場合には,上流ポートの指定を行うとパケットの中継ができるようになります。

図16-22 IPv6上流ポートを指定する場合の適応例」は上流ポートを指定する場合の適用例です。ルータAと本装置は異なるマルチキャストドメインに属しているため,これらの間にはPIMが設定されていません。一方,ドメインXにいる送信元からドメインYにいる受信者にマルチキャストデータを送信したいという要求があります。ルータAと本装置の間でPIMが動作していないので,送信者Sから送られたマルチキャストデータは本装置にて廃棄されます。ここで本装置のポートαに送信者Sへの上流ポートを指定すると,ドメインY内へのマルチキャストパケットの転送が行われるようになります。

図16-22 IPv6上流ポートを指定する場合の適応例

[図データ]

上流ポートの指定は上図のような構成に適用されますので,これ以外の構成ではマルチキャストパケットの中継ができなくなる可能性があります。

(b) 注意が必要な構成

次に示す構成でIPv6 PIM-SMまたはIPv6 PIM-SSMを使用する場合,注意が必要です。

(2) IPv6 PIM-SM

(a) 推奨構成

IPv6 PIM-SMによるネットワーク構成に当たっては,ツリー型ネットワーク構成および冗長経路が存在するネットワーク構成を推奨します。ただし,ランデブーポイントの配置には十分注意してください。ランデブーポイント経由のIPv6マルチキャスト通信でのカプセル化処理および最短パス確立後のカプセル化抑止パケットの処理は,各ルータに負荷がかかるため,ランデブーポイントは送信者の直近に置くことをお勧めします。

IPv6 PIM-SM推奨ネットワーク構成を次の図に示します。

図16-23 IPv6 PIM-SM推奨ネットワーク構成

[図データ]

(b) 不適応な構成

次に示す構成でIPv6 PIM-SMは使用しないでください。

(3) IPv6 PIM-SSM

(a) 注意が必要な構成

次に示す構成でIPv6 PIM-SSMを使用する場合注意が必要です。

(b) 端末側に複数のアドレスを設定したときの注意事項

SSM通信時,データ送信を行う端末に複数のIPv6アドレスを付与して運用する場合,送信されるデータの送信元アドレスが本装置に設定したssm-joinの送信元アドレス情報と一致するようにしてください。特に,RAなどのアドレス自動設定機能を使用した場合は,端末側が自動設定されたアドレスを使用して通信を行う場合があります。

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