解説書 Vol.1
経路集約は一つまたは複数の経路情報から,該当する経路情報を包含するネットワークマスクのより短い経路情報を生成します。これは複数の経路情報から該当する経路情報を包含する一つの経路情報を生成し,隣接ルータなどに集約経路を通知して,ネットワーク上の経路情報の数を少なくする方法です。例えば,172.16.178.0/24の経路情報や172.16.179.0/24の経路情報を学習した場合に,172.16.0.0/16の集約された経路情報を生成するなどです。
経路集約の指定は,IS-ISの広告経路集約コマンド,またはコンフィグレーションコマンドaggregate(経路集約)で明示的に指定する必要があります。IS-ISの広告経路集約コマンドは,IS-ISへの経路再配布専用であり,集約した経路は,IS-IS以外のプロトコルでの経路広告や学習には影響しません。
- <この節の構成>
- (1) IS-ISの広告経路集約コマンド
- (2) aggregate(経路集約)コマンド
(1) IS-ISの広告経路集約コマンド
IS-ISへ再配布する経路を集約することができます。レベル間広告経路およびほかのプロトコルで学習した経路を集約して広告します。集約経路の詳細は,「10.2.6 IS-IS詳細 (4) 広告経路集約 (サマリー)」を参照ください。なお,集約元の経路情報は,エキスポート・フィルタで指定した学習元のフィルタ条件によって特定されます。
(2) aggregate(経路集約)コマンド
集約元の経路情報はフィルタリング条件によって特定できます。コンフィグレーションコマンドaggregateで指定できるフィルタリング条件を次の表に示します。
表10-14 集約元経路情報のフィルタリング条件
学習元プロトコル フィルタリング条件(送出経路情報) 備考 RIP/RIPng
- 経路情報のタグ値
- 経路情報の宛先ネットワーク
RIP/RIPngで学習された経路情報 OSPF/OSPF6
- 経路情報の宛先ネットワーク
OSPF/OSPFv3で学習された経路情報 OSPFASE/OSPF6ASE
- 経路情報のタグ値
- 経路情報の宛先ネットワーク
OSPF/OSPFv3のAS外経路情報 BGP4/BGP4+
- 送信元AS番号
- 経路情報のAS_PATH属性
- 経路情報のORIGIN属性
- 経路情報の宛先ネットワーク
BGP4/BGP4+で学習された経路情報 IS-IS
- 学習元レベル
- 経路情報の経路種別
- 経路情報のメトリック種別
- 経路情報の宛先ネットワーク
IS-ISで学習された経路情報 DIRECT
- 経路情報の宛先ネットワーク
直結インタフェースの経路情報 STATIC
- 経路情報の宛先ネットワーク
スタティックの経路情報 AGGREGATE
- 経路情報の宛先ネットワーク
経路集約によって生成された経路情報 また,集約元経路情報にはフィルタリング条件ごとにその経路情報のプリファレンス値を指定できます。プリファレンス値を指定していない場合は,集約経路のデフォルトのプリファレンス値(130)が使用されます。なお,集約元の経路情報が学習されていない場合には集約経路情報は生成されません。
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