解説書 Vol.1
- <この項の構成>
- (1) プリファレンス値
- (2) エキスポート機能
(1) プリファレンス値
複数のルーティング種別が同時動作するとき,それぞれは独立した経路選択手順に従い,ある宛先アドレスへの経路情報から一つの最適の経路を選択します。その結果,ルータ内ではある宛先アドレスへの経路情報が複数存在することになります。このような場合,それぞれの経路情報のプリファレンス値が比較されて優先度の高い経路情報が有効になります。
本装置では,スタティック経路ごとおよびダイナミックルーティングのルーティングプロトコル(例えばBGP4)ごとに生成する経路情報のデフォルトのプリファレンス(優先度)値をコンフィグレーションで設定できます。なお,プリファレンスは値の小さい方の優先度が高くなります。各プロトコルのプリファレンスのデフォルト値を次の表に示します。
経路 デフォルトプリファレンス値 直結経路 0(固定値) OSPFのAS内経路 10 IS-ISの内部経路 15 BGP4のデフォルト経路 20 スタティック経路 60 RIP経路 100 集約経路 130 OSPFのAS外経路 150 IS-ISの外部経路 160 BGP4経路 170
(2) エキスポート機能
本装置では,学習した経路情報をBGP4で広告したい場合や,特定の経路情報の広告をフィルタリングしたい場合にはエキスポート機能によって実現できます。
エキスポート機能では,コンフィグレーションで学習元プロトコルと配布先プロトコル(BGP4)を指定することによって,特定ルーティングプロトコルで学習した経路をBGP4で広告することができます。
(a) BGP4で学習した経路の広告
BGP4経路のエキスポート設定をしていない場合,同一ルーティングプロトコルで学習した経路情報であっても広告されません。あるASから学習したBGP4経路を他のASに広告するためにはエキスポートの定義が必要です。
エキスポートの設定によって広告される経路情報はBGP4で選択された最適の経路です。
(b) BGP4以外で学習した経路の広告
複数のルーティングプロトコルが同時動作するとき,BGP4以外のルーティングプロトコルで学習した経路情報はエキスポートの定義をすることで広告されます。
エキスポートの設定によって広告される経路情報はプリファレンス値によって選択された最も優先度の高い経路です。
(c) 同一宛先経路の広告
BGP4で学習した経路情報と他のルーティングプロトコルで学習した経路情報が同一宛先である場合,エキスポートの設定により広告される経路情報が異なります。同一宛先経路の広告条件を次の表に示します。
学習元プロトコルの
エキスポート許可指定広告条件 BGP4 BGP4以外※ 未指定 未指定 広告しません。 指定
- 指定した学習元プロトコルで学習した経路情報の内,プリファレンス値によって選択された最も優先度の高い経路情報を広告します。
- 学習した経路情報の優先度が低い場合はエキスポートを設定しても広告しません。
指定 未指定
- BGP4で学習した経路情報のうち,最適の経路を広告します。
- BGP4以外で学習した経路情報がBGP4の経路情報より優先度の高い場合でも,BGP4経路を広告します。
指定
- 指定した学習元プロトコルで学習した経路情報のうち,プリファレンス値によって選択された最も優先度の高い経路情報を広告します。
- BGP4以外で学習した経路情報の方が優先度が高い場合,その経路情報がエキスポート対象でなければ最適のBGP4経路を広告します。
注※ RIP,OSPF,OSPFASE,DIRECT,STATIC,DEFAULT,AGGREGATEのどれかを示します。
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