解説書 Vol.1
- <この項の構成>
- (1) リンクアグリゲーションの種類
- (2) 収容条件
- (3) リンクアグリゲーショングループのMACアドレス
- (4) 離脱ポート数制限機能
- (5) スタンバイリンク機能
- (6) 異速度混在モード
(1) リンクアグリゲーションの種類
リンクアグリゲーションのモードとして,LACPリンクアグリゲーションおよびスタティックリンクアグリゲーションをサポートします。
- LACPリンクアグリゲーション
IEEE802.3ad準拠のLACPを利用したリンクアグリゲーションです。LACPによるネゴシエーションが成功した場合にリンクアグリゲーショングループとしての運用を開始します。LACPの利用によって,隣接装置との整合性確認や,リンクの正常性確認・障害検知の確度を向上できます。
- スタティックリンクアグリゲーション
コンフィグレーションによるスタティックなリンクアグリゲーションです。LACPは動作させず,リンクアグリゲーショングループとして定義した回線がリンクアップした時点で運用を開始します。
(2) 収容条件
リンクアグリケーションの収容条件を次の表に示します。
表4-26 リンクアグリゲーションの収容条件
項目 サポート仕様 備考 装置当たりのリンクアグリゲーショングループ数 128 LACPリンクアグリゲーションとスタティックリンクアグリゲーションの合計値 1グループ当たりの最大ポート数 16 − 回線種別 イーサネット − 回線速度
- デフォルト時:
- 同一速度だけ
- 異速度混在モード時:
- 異なる速度を同時に使用します。
- デフォルト時:
- 遅い回線は離脱します。
- 異速度混在モード時:
- 回線速度による離脱はありません。
Duplexモード
- LACPリンクアグリゲーション
全二重だけ
- スタティックリンクアグリゲーション
全二重/半二重ともに可能。
グループ内の不一致を許容します。
− (凡例) −:該当しない
(3) リンクアグリゲーショングループのMACアドレス
リンクアグリゲーション上で上位プロトコルを運用する際に,リンクアグリゲーショングループのMACアドレスを使用します。リンクアグリゲーショングループには本装置のMACアドレスを割り当てます。
離脱ポート数制限機能は,回線障害が発生した回線を離脱して残りの回線で運用を継続する機能を抑止します。リンクアグリゲーションのどれかの回線に障害が発生するとグループ全体を障害とみなし,該当リンクアグリゲーショングループの運用を停止します。グループ内の全回線が復旧するとグループの運用を再開します。
RIP,OSPFなどのルーティングプロトコルと合わせて運用することで,リンクアグリゲーショングループの1回線の障害発生によって,グループ単位で経路を切り替えることができます。
なお,この機能はLACPリンクアグリゲーションだけで動作できます。
リンクアグリゲーショングループ内にあらかじめ待機用の回線を用意しておき,運用中の回線が障害となったときに待機用の回線と切り替えることによってグループとして運用する回線数を維持する機能です。この機能によって,障害時に帯域の減少を防ぐことができます。なお,この機能はスタティックリンクアグリゲーションだけで動作できます。
コンフィグレーションでリンクアグリゲーショングループとして運用する最大回線数を設定します。グループに属する回線数が指定された運用をする最大回線数を超えた分の回線が待機用回線となります。
待機用回線は,コンフィグレーションコマンドで設定するポート優先度,ポートのNIF番号,またはLine番号から選択されます。待機用回線は,次に示す選択優先度の高い順に決定します。
表4-27 待機用回線の選択方法
選択
優先度パラメータ 備考 高
↑
↓
低ポート優先度 コンフィグレーションコマンドport-priorityで優先度の低いポートから選択 NIF番号 ポートのNIF番号の大きい順に選択 Line番号 ポートのLine番号の大きい順に選択 スタンバイリンク機能の例を次の図に示します。この例では,グループに属する回線数を4回線,運用する最大回線数を3回線としています。
図4-12 スタンバイリンク機能の構成例
スタンバイリンク機能には,次に示す二つのモードがあります。
- リンクダウンモード
スタンバイリンクをリンクダウン状態にします。スタンバイリンク機能をサポートしていない対向装置も待機用回線にすることができます。
- 非リンクダウンモード
スタンバイリンクをリンクダウン状態にしないで,送信だけを停止します。リンクアップ状態のため,待機中の回線でも回線障害を監視できます。また,待機中の回線は送信だけを停止して,受信は行います。スタンバイリンク機能をサポートしていない対向装置は,リンクダウンが伝わらないためスタンバイリンク上で送信を継続しますが,そのような対向装置とも接続はできます。
リンクダウンモードを使用している場合,運用中の回線が一つのとき,その回線で障害が発生すると,待機用の回線に切り替わる際にリンクアグリゲーショングループがいったんダウンします。
非リンクダウンモードの場合,ダウンせずに待機用回線を使用します。
運用中の回線が一つの状態とは,次に示すどちらかの状態です。
- コンフィグレーションコマンドmax-active-portで1を設定している状態。
- 異速度混在モードを未設定で,最高速の回線が一つだけ,そのほかの回線が一つ以上ある状態。
(6) 異速度混在モード
リンクアグリゲーションで異なる速度の回線を同時に集約して運用するモードです。この機能によって,リンクアグリゲーションで利用する回線速度を変更(ネットワーク構成の変更)する際に,リンクアグリゲーションをダウンさせないで構成を変更できます。
以下に,異速度混在モードを利用したリンクアグリゲーションの速度移行について,移行手順の具体例を示します。
- 従来状態で運用(1Gbit/sの回線2ポートとします)
- 異速度混在モードを設定
- 当該リンクアグリゲーションに10Gbit/sの回線2ポートを追加
(コンフィグレーションコマンドlink-aggregationのaggregated-portサブコマンドによる追加)
異速度混在モード未設定時は,この手順でリンクアグリゲーションがいったんダウンします。
- 3で追加した10Gbit/sの回線2ポートをリンクアップ
- 従来の1Gbit/sの回線2ポートをリンクダウン
- 従来の1Gbit/sの回線2ポートのコンフィグレーションコマンドlink-aggregationのaggregated-portサブコマンドの指定を削除
- 10Gbit/sの回線2ポートに移行完了
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