解説書 Vol.1

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15.3.16 BGP4+使用時の注意事項

BGP4+を使用したネットワークを構成する場合には次の制限事項に留意してください。

<この項の構成>
(1) BGP4+の制限事項
(2) 直接接続されたインタフェース上でピアリングする場合の注意事項

(1) BGP4+の制限事項

本装置はRFC1771(BGPバージョン4仕様),RFC2796(ルート・リフレクション仕様),RFC1965(コンフィデレーション仕様),RFC2842(サポート機能の広告仕様),RFC2858(BGP4マルチプロトコル拡張仕様),RFC2918(ルート・リフレッシュ仕様),RFC2545(RFC2858のIPv6適用方法の仕様),RFC1997(コミュニティ仕様)に準拠していますが,ソフトウェアの機能制限から一部RFCとの差分があります。RFCとの差分を次の表に示します。

表15-14 RFCとの差分

RFC番号 RFC 本装置
RFC1771 メッセージヘッダ形式 メッセージタイプがOPENメッセージで認証を持つ場合,Markerの値は認証メカニズムで規定される計算で予測できます。 本装置では認証機能はサポートしていません。
パス属性:NEXT_HOP BGPスピーカが,同一AS内のBGPスピーカへ経路を広告するとき,広告するスピーカは,その経路についてのNEXT_HOP属性を修正すべきではありません。 BGP4+では対象外です(NEXT_HOP属性はダミーパラメータ)。
パス属性:ATOMIC_AGGREGATE BGPスピーカで,そのピアの一つから重複経路のセットが与えられ,より個別な (specific) 経路を選択しないで,より個別でない経路を選択する場合,ローカルシステムは,そのほかのBGPスピーカへ経路を伝えるとき,経路にATOMIC_AGGREGATE属性を付加すべきです。 本装置ではピアの一つから重複経路を受信し個別でない経路だけをインストールし,それをそのほかのBGPスピーカへ伝えるとき,経路にATOMIC_AGGREGATE属性を付加しません。
コネクション衝突の発見 OPENメッセージを受信したとき,ローカルシステムはOpenConfirm状態にあるすべてのコネクションを検査する必要があります。また,プロトコル以外の手段によってピアのBGP識別子を確認できれば,OpenSent状態のコネクションも検査します。 OPENメッセージを受信したとき,OpenSent状態またはConnect状態のすべてのコネクションを検査します。
バージョンネゴシエーション BGPスピーカは,それぞれがサポートする最高のバージョンから始め,BGPコネクションのオープンを複数回試みることで,プロトコルのバージョンを取り決められます。 本装置はBGP4+(バージョン4)だけサポートします。
BGP FSM:IDLE状態 エラーのためにIdle状態へ遷移したピアについて,続くStartまでの間の時間は(Startイベントが自動的に生成されるなら),指数的に増大するべきです。その最初のタイマ値は60秒です。時間はリトライごとに2倍にされるべきです。 本装置ではIdle状態からstartまでの間の最初のタイマは16〜36秒になります。
BGP FSM:Active状態 トランスポート・プロトコル・コネクションが成功した場合,ローカルシステムはConnectRetryタイマをクリアし,初期設定を完了し,そのピアへOPENメッセージを送信し,そのHoldタイマをセットし,状態をOpenSentへ変えます。Holdタイマの値は4分が提案されています。 本装置ではHoldタイマはデフォルトで180秒(3分),コンフィグレーションで指定されている場合はコンフィグレーションの値を使用します。
経路広告の頻度 MinRouteAdvertisementIntervalは,単一のBGPスピーカからの特定の宛先への経路広告の間隔の最小時間を決めます。このレート制限処理は,宛先ごとにされます。しかし,MinRouteAdvertisementIntervalの値は,BGPピアごとに設定されます。 本装置ではMinRouteAdvertisementIntervalはサポートしていません。
MinASOriginationIntervalは,広告するBGPスピーカ自身のAS中の変化を報告するための連続したUPDATEメッセージ広告の間に経過しなければならない最小時間を決めます。 本装置ではMinASOriginationIntervalはサポートしていません。
ジッタ あるBGPスピーカによるBGPメッセージの配布がピークを含む可能性を最小にするために,MinASOriginationInterval,Keepalive,MinRouteAdvertisementIntervalに関係したタイマにジッタを適用すべきです。 本装置ではジッタを適用していません。
BGPタイマ ConnectRetryタイマの提案されている値は120秒です。 本装置ではConnectRetry回数により変化する可変値(16〜148秒)になります。
Hold Timeの提案されている値は90秒です。 デフォルトのHold Timeは180秒です。コンフィグレーションにHold Timeが設定されている場合は,その値を使用します。
KeepAliveタイマの提案されている値は30秒です。 本装置ではHold Timeの1/3になります。
BGPの実装は,これらのタイマがコンフィグレーションで定義可能でなければなりません。 本装置ではHold Timeだけがコンフィグレーションで定義できます。
RFC2545 通知するネクストホップと通知先のピアとが同じネットワーク上にある場合に限り,リンクローカルネクストホップも通知します。 本装置では外部ピアが直結ネットワークで接続されている場合だけRFCと同じ処理を行います。
トランスポート・プロトコル BGP4+セッションに使用するTCPコネクションはIPv4またはIPv6です。 本装置ではIPv6 TCPによるIPv6経路情報通知だけサポートします。
ピアリングアドレス種別 BGP4+ピアリングにIPv4またはIPv6アドレスを使用します。 本装置ではIPv6アドレスだけサポートします。インターナルピアおよびルーティングピアではIPv6リンクローカルアドレスでのBGP4+接続はサポートしていません。
RFC2858 MP_REACH_NLRI属性 MP_REACH_NLRI属性は経路,経路のネクストホップ,およびSNPA(SubNetwork Points of Attachment)を通知するために使用します。 本装置ではSubNetwork Points of Attachmentはサポートしていません。
内部BGPピア広告時はNEXT_HOP属性(BGP4+ではMP_REACH_NLRI属性のNetwork Address of Next Hopフィールドに対応)を書き換えてはなりません(RFC1771)。 同一AS内のBGPスピーカへ経路を広告するときMP_REACH_NLRI属性のNetwork Address of Next HopフィールドにそのBGPスピーカとのピアリングに使用している自側のIPv6アドレスを設定します。
マルチプロトコル拡張 Capability BGP Capability広告によってBGPスピーカがどのアドレスファミリをサポートするかを通知します。 本装置ではIPv6ユニキャストアドレスだけサポートします。
RFC1965 メンバーAS間ピアに経路情報を広告する場合,AS_PATH属性にタイプAS_CONFED_SEQUENCEで自メンバーAS番号を追加します。 本装置ではAS_PATH属性にタイプAS_CONFED_SETで自メンバーAS番号を追加します。

(2) 直接接続されたインタフェース上でピアリングする場合の注意事項

直接接続されたインタフェース上のBGPスピーカ間で,本装置がインターナルピアまたはエキスターナルピアを使用し,かつ同一インタフェース上で本装置がOSPFv3仮想リンクの通過エリアとなる構成の場合,ピアとコネクションが確立しません。この場合,コンフィグレーションコマンドのbgp4+のmultihopサブコマンドを設定することによって,コネクションが確立します。

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