解説書 Vol.1

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13.6.3 フィルタリングの運用について

フィルタリングでは,フロー検出条件モード,フロー検出条件オプション,およびフロー検出エントリ分配で運用方法を選択できます。

<この項の構成>
(1) フロー検出条件モード
(2) フロー検出条件オプション
(3) フロー検出エントリ分配【OP-F64K】

(1) フロー検出条件モード

フロー検出条件モードでは,次の表に示す三つの運用方法を選択できます。なお,選択した運用方法はQoS制御も同じ運用法となります。

表13-9 フロー検出条件モードで選択できる運用方法

項番 運用方法 フロー動作 フロー検出条件モードの指定方法
1 きめ細かいフロー検出条件を指定する MAC,IPヘッダなどを検出条件としてパケット検出が可能。 フロー検出条件モードの指定なし
2 パケット中継性能を劣化させない IPヘッダ,レイヤ4ヘッダを検出条件としてパケット検出が可能。 フロー検出条件モード1 (retrieval_mode_1)を指定
3 パケット中継性能を劣化させない,且つ指定可能なフローエントリ数を増やす 項番2より検出条件,動作指定を狭めることによって,フローエントリ数を拡張。 フロー検出条件モード2 (retrieval_mode_2)を指定

注※ 指定可能なエントリ数に関しての詳細は,「3.2 収容条件 (12) フィルタリング・QoS」を参照してください。

次の表にフロー検出条件モードと対応可能PRUの関係を示します。

表13-10 フロー検出条件モードと対応可能PRUの関係

フロー検出条件モード AX7800Rで対応可能なPRU AX7700Rで対応可能なPRUおよびPRU内蔵型高密度ポートNIF
指定なし PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2B
RE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2
フロー検出条件モード1 PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2B
RE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2
フロー検出条件モード2 PRU-C2※1
PRU-D2※1
PRU-D2B※1
PRU-D2※2

注※1 BCU-2またはBCU-3と組み合わせる必要があります。

注※2 BCU-2と組み合わせる必要があります。


(a) フロー検出条件モード1

パケット中継性能を劣化させることなく,フィルタリング機能を使用したい場合には,コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件モード1を指定します。

フロー検出条件モード1指定時,指定可能なフロー検出条件と動作指定を「表13-11 指定可能なフロー検出条件,動作指定」に示します。

なお,QoS制御もフロー検出条件モード1で動作します。フロー検出条件モード1指定時,QoS制御で指定可能なフロー検出条件と動作指定は,「解説書 Vol.2 1.3.1 フロー検出機能の運用について」を参照してください。

(b) フロー検出条件モード2【OP-F64K】

指定可能なフィルタリング・QoSのエントリ数を増やしたい場合には,コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件モード2を指定します。

フロー検出条件モード2を有効とするには,BCU-2またはBCU-3を実装し,指定PRUに「表13-10 フロー検出条件モードと対応可能PRUの関係」で示す対応可能PRUを実装してください。フロー検出条件モード2をサポートしていないPRUに対してフロー検出条件モード2を設定した場合,フローフィルタ機能,フローQoS機能は動作しません。

フロー検出条件モード2指定時,指定可能なフロー検出条件と動作指定を「表13-11 指定可能なフロー検出条件,動作指定」に示します。

なお,QoS制御もフロー検出条件モード2で動作します。フロー検出条件モード2指定時,QoS制御で指定可能なフロー検出条件と動作指定は,「解説書 Vol.2 1.3.1 フロー検出機能の運用について」を参照してください。

(c) フロー検出条件モードごとの指定可能なフロー検出条件と動作指定

コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件モード1,またはフロー検出条件モード2を指定した場合,指定できないフロー検出条件,動作指定があります。

フロー検出条件モードごとの指定可能なフロー検出条件と動作指定を次の表に示します。

表13-11 指定可能なフロー検出条件,動作指定

設定項目 フロー検出条件モードの指定内容
指定無し モード1 モード2
検出条件 MACヘッダ 送信元MACアドレス ※1 ※1
宛先MACアドレス ※1 ※1
イーサネットタイプ ※1 ※1
Tag-VLANヘッダ ユーザ優先度
Shimヘッダ※4
【OP-MPLS】
ラベル番号 ※1 ※1 ※1
EXP ※1 ※1 ※1
IPヘッダ IPユーザデータ長 ※2
上位プロトコル ※2 ※2
送信元IPv6アドレス ※2 ※2,※3
宛先IPv6アドレス ※2 ※2
DSCP
プレシデンス
TCPヘッダ 送信元ポート番号 ※2 ※2
宛先ポート番号 ※2 ※2
ACKフラグ ※2 ※2
SYNフラグ ※2 ※2
UDPヘッダ 送信元ポート番号 ※2 ※2
宛先ポート番号 ※2 ※2
ICMPv6ヘッダ ICMPv6タイプ ※2 ※2
ICMPv6コード ※2 ※2
動作指定 中継
廃棄
policy
policyグループ
Mpls-policy【OP-MPLS】 ※1 ※1 ※1

(凡例) ○:指定可 −:指定不可

注※1 MPLS(L2-VPN)機能を使用する場合,指定可です。

注※2 MPLS(L2-VPN)機能を使用する場合,指定不可です。

注※3 上位64ビットまで指定可能です。したがって,送信元IPv6アドレスを指定するときは,プレフィックス長を用いて指定し,プレフィックス長を0〜64の範囲で設定してください。own-addressを指定する場合も同様です。

注※4 Tag-VLAN連携機能を使用する場合,指定不可です。


(2) フロー検出条件オプション

フロー検出条件オプションでは,次の表に示す二つの運用方法を選択できます。なお,選択した運用方法はQoS制御も同じ運用方法となります。

表13-12 フロー検出条件オプションで選択できる運用方法

項番 運用方法 フロー動作 フロー検出条件オプションの指定方法
1 中継パケットでフロー検出する 中継パケットでだけフロー検出可能 フロー検出条件オプションの指定なし
2 中継パケットおよび本装置宛パケットでフロー検出したい 中継パケットおよび本装置宛パケットでフロー検出可能 フロー検出条件オプション1 (retrieval_option_1)を指定

注※
フロー検出条件オプション1指定時にフロー検出対象に加わる本装置宛パケットは次に示すパケットです。したがって,フロー検出条件オプション1を指定しない場合,次に示す本装置宛パケットはフロー検出対象外です。
  • 宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスであるパケット
  • 宛先MACアドレスがマルチキャストMACアドレスまたは自MACアドレスである非IPパケット
  • 送信元IPアドレスまたは宛先IPアドレスがリンクローカルアドレスであるパケット

次の表にフロー検出条件オプションと対応可能PRUの関係を示します。

表13-13 フロー検出条件オプションと対応可能PRUの関係

フロー検出条件オプション AX7800Rで対応可能なPRU AX7700Rで対応可能なPRUおよびPRU内蔵型高密度ポートNIF
指定なし PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2B
RE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2
フロー検出条件オプション1 PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2B
RE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2

(a) フロー検出条件オプション1

本装置宛パケット(表13-12 フロー検出条件オプションで選択できる運用方法の注参照)でもフロー検出機能を運用したい場合には,コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件オプション1を指定します。フロー検出条件オプション1を使用する場合は,対象PRUに「表13-13 フロー検出条件オプションと対応可能PRUの関係」で示す対応可能なPRUを実装してください。なお,QoS制御もフロー検出条件オプション1で動作します。また,フロー検出条件オプション1の指定は,フロー検出条件モードと同時に設定できます。

Tag-VLAN連携回線においてLACP,CDP,OADP,LLDPのパケットをフロー検出する場合は,untaggedのインタフェースにコンフィグレーションflow filterを設定してください。

(3) フロー検出エントリ分配【OP-F64K】

フロー検出エントリ分配では,次の表に示す二つの運用方法を選択できます。なお,選択した運用方法はQoS制御も同じ運用方法となります。

表13-14 フロー検出エントリ分配で選択できる運用方法

項番 運用方法 フロー検出エントリ分配の指定方法
1 フィルタリングとQoSのエントリ数を均等に使用したい フロー検出エントリ分配の指定なし
2 QoSよりもフィルタリングのエントリを多く使用したい フロー検出エントリ分配(retrieval_entry_partition filter)を指定

注※ 指定可能なエントリ数に関しての詳細は,「3.2.1 AX7800Rの収容条件【AX7800R】 (12) フィルタリング・QoS」または「3.2.2 AX7700Rの収容条件【AX7700R】 (11) フィルタリング・QoS」を参照してください。


次の表にフロー検出エントリ分配と対応可能PRUの関係を示します。

表13-15 フロー検出エントリ分配と対応可能PRUの関係

フロー検出エントリ分配 AX7800Rで
対応可能なPRU
AX7700Rで対応可能なPRUおよびPRU内蔵型高密度ポートNIF
指定なし PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2B
RE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2
フロー検出エントリ分配 PRU-C2※1
PRU-D2※1
PRU-D2B※1
PRU-D2※2

注※1 BCU-2またはBCU-3と組み合わせる必要があります。

注※2 BCU-2と組み合わせる必要があります。


(a) フロー検出エントリ分配

QoSよりもフィルタリングのエントリ数を多く使用したい場合には,コンフィグレーションコマンドflowでフロー検出エントリ分配を指定して,指定できるフィルタリングのエントリ数を増やします。

フロー検出エントリ分配は,次に示すすべての条件を満たしたとき有効になります。

なお,フロー検出エントリ分配をサポートしていないPRUに対してフロー検出エントリ分配を設定した場合,該当PRUでのフローフィルタ機能およびフローQoS機能は動作しません。

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