解説書 Vol.1
- <この項の構成>
- (1) レベルとエリア
- (2) エリア分割時の経路決定
- (3) ドメイン全体への経路配布(ドメインワイド)
- (4) レベル間再配布時の経路属性
(1) レベルとエリア
IS-ISでは,IS-ISドメインをさらに複数のエリアに分割することができます。IS-ISでは,エリア分割を扱うために,レベルという概念を使用します。レベルには,レベル1とレベル2があります。
レベル1は,分割された各エリアのネットワークです。各エリアにはエリア識別子があります。ルータのエリア識別子がエリアのエリア識別子と同じである場合,該当ルータはそのエリアに所属しています。
各エリアのレベル1ネットワークを,レベル1ドメインと呼びます。各エリアのレベル1ドメインは,そのエリアに所属するルータと,そのルータがIS-ISインタフェースにより接続している回線から成り立っています。
IS-ISドメイン中のレベル2ネットワークを,レベル2ドメインと呼びます。レベル2ドメインは,レベル2で動作するルータと,該当ルータにおいてレベル2で動作するIS-ISインタフェースにより接続している回線から成り立っています。
レベル2ドメインは,分割された各エリア間のルーティングをするためのネットワークです。
IS-ISルータには,レベル1ルータ,レベル2ルータ,およびレベル1-2ルータがあります。レベル1ルータはレベル1でだけ動作するルータです。レベル2ルータはレベル2でだけ動作するルータです。レベル1-2ルータはレベル1でもレベル2でも動作するルータです。本装置は,デフォルトではレベル1-2ルータとして動作します。
IS-ISインタフェースには,レベル1インタフェース,レベル2インタフェース,およびレベル1-2インタフェースがあります。レベル1インタフェースはレベル1でだけ動作するIS-ISインタフェースです。レベル2インタフェースはレベル2でだけ動作するIS-ISインタフェースです。レベル1-2インタフェースはレベル1でもレベル2でも動作するインタフェースです。本装置のデフォルトでは,IS-ISインタフェースの動作レベルはIS-ISルータとしての動作レベルに従います。
- 【注意事項】
- IS-ISネットワーク上で,レベル2ドメインが二つ以上にならないようにネットワークを構成してください。すべてのレベル2で動作しているルータは,レベル2で動作しているルータ・インタフェース・回線を経由して接続している必要があります。
レベル2ドメインが二つ以上に分断している場合,経路ができなかったり,誤った経路を導入したりすることがあります。
- IS-ISネットワーク上のどのエリアについても,レベル1ドメインが二つ以上にならないようにネットワークを構成してください。エリア識別子が同じであるルータは,同一エリアのレベル1で動作しているルータ・インタフェース・回線を経由して相互に接続している必要があります。
同じエリア識別子のルータからなるネットワークが二つ以上に分断している場合,経路ができなかったり,誤った経路を導入したりすることがあります。
(2) エリア分割時の経路決定
IS-ISでは,レベル1とレベル2とで別個に経路計算を行います。レベル1から学習した経路をレベル1経路,レベル2から学習した経路をレベル2経路といいます。
レベル1-2ルータでは,レベル1経路をレベル2へ再配布します。すると,レベル2ドメインには,レベル1-2ルータを通して接続している全エリア (レベル1ドメイン) の経路も再配布されます。結果として,レベル2ドメインには,IS-ISドメイン全体の経路が存在します。
レベル1-2ルータでは,デフォルトでは,レベル2に存在する経路をレベル1へは再配布しません。その代わり,エリア分割している場合に限り,レベル1-2ルータはレベル1ネットワークへデフォルト経路を広告します。結果として,各エリアのレベル1ドメインには,該当エリア内の経路と,レベル1-2ルータへのデフォルト経路だけが存在します。
ただし,学習ルータがレベル1-2ルータである場合,ほかのレベル1-2ルータの広告したデフォルト経路を学習しません。エリア分割時のデフォルト経路を学習するのは,レベル1ルータだけとなります。
エリア分割をしない場合のネットワーク構成例を次に示します。
図10-2 エリア分割をしない場合のレベル別動作例
エリア分割の例とその場合の経路モデルを次に示します。
図10-3 エリア分割時のレベル別動作例
(3) ドメイン全体への経路配布(ドメインワイド)
本装置では,レベル2ネットワーク上の経路をレベル1へ再配布する拡張機能をサポートしています。この機能により,レベル1ネットワーク上でのIS-ISドメイン全体の経路を生成することができます。
ドメインワイド適用例を次に示します。
この機能は,エキスポート・フィルタ(経路再配布定義)により,IS-ISレベル2経路をIS-ISレベル1へ再配布するよう定義することにより,有効になります。レベル2経路を基に再配布されたレベル1経路のことを,ダウン経路といいます。
図10-4 ドメインワイド適用時の経路モデル
(4) レベル間再配布時の経路属性
レベル1-2ルータでは,デフォルトでレベル1学習経路をレベル2へ再配布します。また,ドメインワイド設定をした場合には,レベル2学習経路をレベル1へ再配布します。レベル間経路の再配布に当たり,特に設定をしない限り,経路の属性 (メトリック,メトリック種別,経路種別) を引き継いで広告します。
レベル1学習経路をレベル1へ再配布することはできません。また,レベル2学習経路をレベル2へ再配布することはできません。
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