解説書 Vol.1

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7.10.4 ネットワーク構成例

DHCP/BOOTPリレーエージェント機能を使用したネットワーク構成例を示します。

<この項の構成>
(1) DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが1台ある構成例
(2) DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが複数台ある構成例(DHCP/BOOTPサーバのIPアドレスが既知の場合)
(3) DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが複数台ある構成例(DHCP/BOOTPサーバのIPアドレスが不明の場合)
(4) DHCP/BOOTPクライアント接続インタフェースにマルチホーム設定がある構成例
(5) リレーエージェント情報オプション(Option82)を有効にする構成例

(1) DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが1台ある構成例

DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが1台ある場合の構成例を次の図に示します。

図7-34 構成例1(DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが1台ある場合)

[図データ]

この図のリレーエージェント設定項目を次の表に示します。

表7-26 リレーエージェント設定項目(構成例1)

設定項目 設定値
DHCP/BOOTPクライアント
接続側のインタフェース
BOOTP REQUEST HOPS 1(経由するリレーエージェント最大数)
Relay Address DHCP/BOOTPサーバのIPアドレス
DHCP/BOOTPサーバ側
インタフェース
なし

(凡例) −:該当しない


(2) DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが複数台ある構成例(DHCP/BOOTPサーバのIPアドレスが既知の場合)

DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが複数台ある場合の構成例を次の図に示します。DHCP/BOOTPクライアント側ネットワークで,DHCP/BOOTPサーバのIPアドレスが既知の場合に有効です。

図7-35 構成例2(DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが複数台ある場合)

[図データ]

この図の本装置A,B,Cの各リレーエージェント設定項目を次の表に示します。

表7-27 リレーエージェント設定項目(構成例2)

装置 設定項目 設定値
本装置A DHCP/BOOTPクライアント
接続側のインタフェース
BOOTP REQUEST HOPS 1(経由するリレーエージェントの最大数)
Relay Address
  • DHCP/BOOTPサーバ1のIPアドレス
  • DHCP/BOOTPサーバ2のIPアドレス
本装置Bとのインタフェース なし
本装置B 本装置Aとのインタフェース なし
本装置Cとのインタフェース なし
本装置C 本装置Bとのインタフェース なし
DHCP/BOOTPサーバ
接続側のインタフェース
なし

(凡例) −:該当しない


(3) DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが複数台ある構成例(DHCP/BOOTPサーバのIPアドレスが不明の場合)

DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが複数台ある場合の構成例を次の図に示します。DHCP/BOOTPクライアント側ネットワークで,DHCP/BOOTPサーバのIPアドレスが不明な場合に有効です。

図7-36 構成例3(DHCP/BOOTPサーバとDHCP/BOOTPクライアント間にリレーエージェントが複数台ある場合)

[図データ]

この図に示す本装置A,B,Cの各リレーエージェント設定項目を次の表に示します。

表7-28 リレーエージェント設定項目(構成例3)

装置 設定項目 設定値
本装置A DHCP/BOOTPクライアント
接続側のインタフェース
BOOTP REQUEST HOPS 1(経由するリレーエージェントの最大数)
Relay Address 本装置Bの本装置AとのインタフェースIPアドレス
本装置Bとのインタフェース なし
本装置B 本装置Aとのインタフェース BOOTP HOPS 2
Relay Address 本装置Cの本装置BとのインタフェースIPアドレス
本装置Cとのインタフェース なし
本装置C 本装置Bとのインタフェース BOOTP HOPS 3
Relay Address
  • DHCP/BOOTPサーバ1のIPアドレス
  • DHCP/BOOTPサーバ2のIPアドレス
DHCP/BOOTPサーバ
接続側のインタフェース
なし

(凡例) −:該当しない


(4) DHCP/BOOTPクライアント接続インタフェースにマルチホーム設定がある構成例

DHCP/BOOTPリレーエージェント機能では,クライアントからのIPアドレス貸し出し要求パケット(DHCP/BOOTP REQUESTパケット)を受信したとき,受信インタフェースのIPアドレスをリレーエージェントアドレスとしてパケットに設定し,サーバへ中継します。ただし,本装置でクライアント接続インタフェースにマルチホームの設定がある場合,コンフィグレーションコマンドrelay-interfaceのrelay_agent_addressパラメータを省略するとインタフェースに最後にIP定義したIPアドレスをパケットに設定しています。DHCP/BOOTPクライアント接続インタフェースにマルチホーム設定がある場合の構成例を次の図に示します。

図7-37 構成例4

[図データ]

この図のリレーエージェント設定項目を次の表に示します。

表7-29 リレーエージェント設定項目(構成例4)

設定項目 設定値
DHCP/BOOTPクライアント側インタフェース IPアドレス ネットワークB,ネットワークCと本装置とのインタフェースIPアドレス
ネットワークAと本装置とのインタフェースIPアドレス
BOOTP REQUEST HOPS 1(経由するリレーエージェント最大数)
Relay Address DHCP/BOOTPサーバのIPアドレス
DHCP/BOOTPサーバ側インタフェース なし

(凡例) −:該当しない

注※ コンフィグレーションコマンドrelay-interfaceのrelay_agent_addressパラメータを省略すると最後に設定する必要があります。設定方法の詳細については「コンフィグレーションガイド 8.4.4 DHCP/BOOTPクライアントへの接続をマルチホームインタフェースとする」を参照してください。


(5) リレーエージェント情報オプション(Option82)を有効にする構成例

DHCPリレーエージェント情報オプション(Option82)は,DHCP/BOOTPリレーエージェントで要求パケットを中継する際に,リレーエージェント固有の情報を追加してから転送するためのオプションです。追加する情報はリレーエージェント情報オプション(オプションコード:82)としてDHCPオプションの最後に追加されます。また,次に示す形式でサーキットIDとリモートIDの二つのサブオプションを含みます。

なお,応答パケットを転送する場合は,リレーエージェント情報オプションを削除してからクライアントに転送します。

(a) サーキットID

装置ごとの要求元の回線を識別するためのIDです。クライアントが接続されている回線の情報(VLAN ID,およびNIF番号/LINE番号またはリンクアグリゲーショングループID)が設定されます。

[図データ]

(b) リモートID(port_unique指定時)

要求元を識別するためのIDです。装置を識別するためのMACアドレス(装置MACアドレス)とクライアントが接続されている回線の情報を組み合わせているため,ネットワーク上で一意の値になります。

[図データ]

(c) リモートID(mac_address指定時)

装置を識別するためのIDです。本装置の装置MACアドレスが設定されます。クライアントごとの制御を行う場合はDHCPサーバ側でサーキットIDと組み合わせる必要があります。

[図データ]

(d) リモートID(user_define指定時)

装置を識別するためのIDです。装置MACアドレスの代わりに,コンフィグレーションで設定した任意のバイナリデータを使用します。

[図データ]

注意
リモートIDはコンフィグレーションによって,(b)〜(d)の3種類の中から選択します

DHCPサーバはこのサブオプションの内容によって動作を決定します。具体的には,リモートIDごとにIPアドレスを固定で割り振ることでMACアドレスに依存しない固定IPアドレス割り当てなどを可能にします。

本機能は転送時に情報を追加するだけで,追加されたデータの利用方法はDHCPサーバに依存します。また,DHCPサーバ側がリレーエージェント情報オプションに対応していない場合,DHCPサーバは本オプションを無視します。

DHCP/BOOTPリレーエージェント情報オプション(Option82)を有効に設定する構成例を次の図に示します。

図7-38 構成例5

[図データ]

この図のリレーエージェント設定項目を次の表に示します。

表7-30 リレーエージェント設定項目(構成例5)

設定項目 設定値
DHCP/BOOTPクライアント側インタフェース BOOTP REQUEST HOPS 1(経由するリレーエージェント最大数)
Relay Address DHCP/BOOTPサーバのIPアドレス
リレーエージェント情報ポリシー 生成するリモートIDの形式
DHCP/BOOTPサーバ側インタフェース なし

(凡例) −:該当しない


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