コンフィグレーションガイド Vol.3
マルチキャストはサーバ(送信者)から各グループ(受信者)にデータを配信する1(送信者):N(受信者)の片方向通信に適します。IPv4マルチキャストの適応ネットワーク構成,注意事項を次に示します。
- <この項の構成>
- (1) PIM-SMおよびPIM-SSM共通
- (2) PIM-SM
- (3) PIM-SSM
- (4) PIM-SM VRFゲートウェイ【OP-NPAR】
- (5) PIM-DM
(1) PIM-SMおよびPIM-SSM共通
(a) 注意が必要な構成
次に示す構成でPIM-SMまたはPIM-SSMを使用する場合,注意が必要です。
- 次の図に示す構成のようにホストと直接接続するルータが同一ネットワーク上に複数存在するインタフェースでは,必ずPIM-SMを動作させてください。
同一ネットワーク上に複数のルータが存在するインタフェースでPIM-SMを動作させないでIGMPだけを動作させた場合,マルチキャストデータが二重に中継されることがあります。
- 次の図に示す構成のように本装置Cが本装置Aと本装置BにVRRPを設定した仮想インタフェースをゲートウェイとするスタティックルートを設定した環境では,PIMプロトコルが上流ルータを検出できず,マルチキャスト通信ができません。
この構成でマルチキャスト通信する場合は,本装置CにランデブーポイントアドレスとBSRアドレスとマルチキャストデータ送信元アドレスへのゲートウェイアドレスを本装置Aまたは本装置Bの実アドレスとするスタティックルートを設定する必要があります。
(2) PIM-SM
(a) 推奨構成
PIM-SMによるネットワークの構成に当たっては,ツリー型ネットワーク構成および冗長経路が存在するネットワーク構成を推奨します。ただし,ランデブーポイントの配置には十分注意してください。PIM-SM推奨ネットワーク構成を次の図に示します。
図14-36 PIM-SM推奨ネットワーク構成
(b) 注意が必要な構成
次に示す構成は注意が必要です。
- 次の図に示すように送信者と直接接続するルータが同一ネットワーク上に2台以上存在する構成で,どれかをランデブーポイントとする場合は,ランデブーポイントがDRになるようにしてください。
ランデブーポイント以外をDRにした場合,DRからランデブーポイントに対しPIM-Registerメッセージを送信するため,本装置A,Bに負荷が掛かります。また,PIM-Registerメッセージ中のマルチキャストパケットを中継するときに,ランデブーポイントでパケットロスが発生するおそれがあります。なお,ランデブーポイントをDRにした場合は,PIM-Registerメッセージによるカプセル化は行いません。
(c) 不適応な構成
次に示す構成でPIM-SMは使用しないでください。
- 送信者とランデブーポイントの間に受信者が存在する構成
次に示す構成でサーバからグループ1のマルチキャスト通信を行う場合,ランデブーポイント経由の中継が効率よく行えません。
(3) PIM-SSM
(a) 注意が必要な構成
次に示す構成は注意が必要です。
- マルチキャストグループ(受信者)と同一回線上に複数のPIM-SSMルータが動作する構成
次に示す構成で,IGMPv2またはIGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを動作させる場合は,同一回線上の全ルータのコンフィグレーションコマンドip pim ssmおよびip igmp ssm-map staticを設定してください。
(4) PIM-SM VRFゲートウェイ【OP-NPAR】
(a) 注意が必要な構成
次に示す構成は注意が必要です。
- PIM-SM VRFゲートウェイを使用したIPv4マルチキャストエクストラネットで,2台以上のVRF境界ルータで冗長構成を構築する場合,VRF境界ルータのどれかをランデブーポイントに設定してください。
VRF境界ルータ以外をランデブーポイントにした場合,最短パス配送ツリーが形成されるまでの間,IPv4マルチキャストパケットが境界ルータの数だけ多重中継になります。
(5) PIM-DM
(a) 注意が必要な構成
次に示す構成は注意が必要です。
- 冗長構成が存在する構成
次に示す構成で冗長構成が存在する場合,冗長経路にマルチキャストデータパケットが周期的(約3分)に流れます。
また,グループ(受信者)の有無とは関係なく,マルチキャストデータパケットの転送量とマルチキャスト経路情報数によって,冗長経路にマルチキャストデータパケットが流れ続けることがあります。この場合,本装置Bおよび本装置CでIPv4マルチキャストソフト処理パケット制御機能を使用すると抑止できます。コンフィグレーションコマンドip pim rate-limit wrong-incoming-interfaceで,受信要因がwrong-incoming-interfaceとなるパケットの受信数を変更してください。
(b) 不適応な構成
次に示す構成でPIM-DMは使用しないでください。
- 同一VLAN上に冗長経路が存在するネットワーク構成
同一VLAN上に冗長経路が存在するネットワーク構成では,周期的にすべての経路でマルチキャスト通信を行います。ネットワーク全体に負荷が掛かるので,PIM-DMではなくPIM-SMを使用してください。
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