コンフィグレーションガイド Vol.3
ポリシーベースルーティングのトラッキング機能では,コンフィグレーションでトラックの動作を停止したり,停止中のトラックのトラック状態を指定したりできます。これによって,トラックのコンフィグレーションを追加または変更する間,連携するポリシーベースルーティンググループの経路選択に影響が少ないようにトラック状態を固定したり,経路選択に影響が少ないタイミングでトラックの動作を開始したりできます。
- <この項の構成>
- (1) デフォルトトラック状態
- (2) コンフィグレーションによるトラックの停止
- (3) コンフィグレーションが完了していないトラック
- (4) 装置起動時のトラックの動作
- (5) 系切替時のトラックの動作
- (6) 系切替時の通信無停止についての注意事項
(1) デフォルトトラック状態
デフォルトトラック状態とは,系切替時を除いて,トラックが停止しているときに適用されるトラック状態です。コンフィグレーションコマンドdefault-stateで,トラックごとに指定できます。コンフィグレーションコマンドで指定していないトラックのデフォルトトラック状態はDownです。
停止中のトラックやコンフィグレーションが完了していないトラックでも,デフォルトトラック状態のコンフィグレーションは有効です。このため,トラックのコンフィグレーションを変更する前にデフォルトトラック状態を指定すると,設定済みの連携するポリシーベースルーティンググループの経路選択に影響を与えないでトラックのコンフィグレーションを変更できます。
(2) コンフィグレーションによるトラックの停止
コンフィグレーションコマンドdisableを指定すると,トラックごとに動作を停止できます。停止中のトラックのトラック状態は,デフォルトトラック状態です。
(3) コンフィグレーションが完了していないトラック
コンフィグレーションが完了していないトラックとは,トラック種別を指定していないトラックです。コンフィグレーションコマンドtrack-objectや,コンフィグレーションコマンドtype icmpを設定していないトラックが該当します。
コンフィグレーションが完了していないトラックでも,ポリシーベースルーティンググループと連携できます。コンフィグレーションが完了していないトラックをポリシーベースルーティンググループと連携させた場合,該当するトラックのデフォルトトラック状態をトラッキング機能のポーリング監視結果として,経路の中継可否を決定します。
(4) 装置起動時のトラックの動作
ポーリング監視トラックは,本装置の起動時や再起動時に一定時間動作を停止します。これは,次に示す理由などで装置の起動直後はポーリングによる監視ができないためです。
- インタフェースがUpしていない
- 経路が安定していない
本装置が起動および再起動してからポーリング監視トラックが動作を始めるまでのトラック動作状態を起動中といいます。起動中のトラック状態はデフォルトトラック状態です。
本装置の起動および再起動後,ポーリング監視トラックが動作を始めるまでの時間は,装置単位にコンフィグレーションコマンドtrack-object default-init-intervalで変更できます。本装置が起動または再起動したあとの,ポーリング監視トラックが使用する通信が安定するまでに掛かる時間を指定してください。デフォルトは180秒です。
(5) 系切替時のトラックの動作
本装置のBCU,CSUまたはMSUを冗長化している場合,ポーリング監視トラックは系切替時に一定時間動作を停止します。これは,系切替したあと現在の装置の状態や経路情報を収集し終わるまで,系切替時の通信無停止を利用していてもポーリングによる監視が安定しないためです。
本装置が系切替してからポーリング監視トラックが動作を始めるまでのトラック動作状態を切替中といいます。切替中のトラック状態は,系切替前のトラック状態を引き継ぎます。このため,連携するポリシーベースルーティンググループでは,系切替前と同じトラック状態を基にして経路を制御できるため,系切替時に通信無停止ができます。
本装置が系切替したあとポーリング監視トラックが動作を始めるまでの時間は,装置単位にコンフィグレーションコマンドtrack-object default-aging-intervalで変更できます。系切替したあとパケットの送受信が安定するまでに掛かる時間を指定してください。デフォルトは180秒です。
なお,系切替については「コンフィグレーションガイド Vol.2 17. BCU/CSU/MSUの冗長化」を参照してください。また,系切替時の通信無停止機能については「コンフィグレーションガイド Vol.2 17.1.5 系切替時の通信無停止対応機能一覧」を参照してください。
(6) 系切替時の通信無停止についての注意事項
本装置で系切替が発生すると,次に示す理由で他装置が本装置を監視するポーリングで失敗することがあります。その結果,本装置が障害と判断されて,ネットワーク全体として本装置の系切替による通信無停止が実現できないおそれがあります。
本装置では,通信無停止機能を使用することで,系切替しても本装置を経由する通信を維持します。しかし,本装置が起点または終点となる通信は,系切替すると一時的に停止します。
本装置のポーリング監視トラックは,系切替前のトラック状態を引き継ぐことで状態を維持します。しかし,本装置が系切替すると,一時的に本装置が他装置からのポーリングに応答しません。
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