コンフィグレーションガイド Vol.2
GSRPスイッチで切り替えを行う際,フレームに対するフォワーディングおよびブロッキングの切り替え制御を行うだけでは,エンド−エンド間の通信を即時に再開できません。これは,周囲のスイッチのMACアドレステーブルにおいて,MACアドレスエントリが切り替え前にマスタ状態であったGSRPスイッチ向けに登録されたままであるためです。通信を即時に再開するためには,GSRPスイッチの切り替えと同時に,周囲のスイッチのMACアドレステーブルエントリをクリアする必要があります。
GSRPでは,周囲のスイッチのMACアドレステーブルエントリをクリアする方法として下記をサポートしています。
- <この項の構成>
- (1) GSRP Flush requestフレームの送信
- (2) ポートリセット機能
(1) GSRP Flush requestフレームの送信
GSRPでは切り替えを行うとき,周囲のスイッチに対してMACアドレステーブルエントリのクリアを要求するためGSRP Flush requestフレームと呼ぶ制御フレームを送信します。このGSRP Flush requestフレームを受信して,自装置内のMACアドレステーブルをクリアできるスイッチをGSRP awareと呼びます。本装置は特にコンフィグレーションの設定がないと,常にGSRP awareとして動作します。GSRP awareはGSRP Flush requestフレームをフラッディングします。一方,GSRP Flush Requestフレームに対する機能をサポートしていないスイッチをGSRP unawareと呼びます。周囲のスイッチがGSRP unawareである場合は,「(2) ポートリセット機能」を使用する必要があります。GSRP Flush requestフレームによる切り替え制御の概要を次の図に示します。
図21-3 GSRP Flush requestフレームによる切り替え制御の概要
- 本装置Aと本装置Bとの間で切り替えが行われ,本装置BはGSRP Flush requestフレームを本装置Cへ向けて送信します。
- 本装置CはGSRP Flush requestフレームを受けて,自装置内のMACアドレステーブルをクリアします。
- この結果,本装置C上はPCの送信するフレームに対して,MACアドレス学習が行われるまでフラッディングを行います。
当該フレームは,マスタ状態である本装置Bを経由して宛先へフォワーディングされます。
- 応答としてPC宛のフレームが戻ってくると,本装置CはMACアドレス学習を行います。
以後,本装置CはPCからのフレームを本装置Bへ向けてだけフォワーディングするようになります。
(2) ポートリセット機能
ポートリセット機能は,GSRPスイッチにおいて周囲のスイッチと接続するリンクを一時的に切断する機能です。周囲のスイッチがGSRP unawareである場合に利用します。リンクの切断を検出したスイッチが,該当ポート上で学習したMACアドレスエントリをMACアドレステーブルからクリアする仕組みを利用します。
ポートリセット機能による切り替え制御の概要を次の図に示します。
図21-4 ポートリセット機能による切り替え制御の概要
- 本装置Aと本装置Bとの間で切り替えが行われ,本装置Aはポートリセット機能によってリンクを切断します。
- GSRP unawareであるLANスイッチ(以下,本説明内では単にGSRP unawareと表記します)はリンクダウンにより該当ポートのMACアドレステーブルをクリアします。
- この結果,GSRP unawareはPCの送信するフレームに対して,MACアドレス学習が行われるまでフラッディングを行います。
当該フレームは,マスタ状態である本装置Bを経由して宛先へフォワーディングされます。
- 応答としてPC宛のフレームが戻ってくると,GSRP unawareはMACアドレス学習を行います。
以後,GSRP unawareはPCからのフレームを本装置Bへ向けてだけフォワーディングするようになります。
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