コンフィグレーションガイド Vol.1

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23.6 Ring Protocol使用時の注意事項

<この節の構成>
(1) 運用中のコンフィグレーション変更について
(2) 他機能との共存
(3) 制御VLANに使用するVLANについて
(4) トランジットノードのリングVLAN状態について
(5) 共有リンクありのマルチリングでのVLAN構成について
(6) Ring Protocol使用時のネットワーク構築について
(7) ヘルスチェックフレームの送信間隔と障害監視時間について
(8) 相互運用
(9) リングを構成する装置について
(10) マスタノード障害時について
(11) ネットワーク内の多重障害時について
(12) リングポートに指定したリンクアグリゲーションのダウンについて
(13) VLANのダウンを伴う障害発生時の経路の切り替えについて
(14) ネットワーク負荷の高い環境での運用について
(15) リングポートに対する回線テストの実行について
(16) VLANのダウンを伴うコンフィグレーションコマンドの設定について
(17) マスタノードの装置起動時のフラッシュ制御フレーム送受信について
(18) 経路切り戻し抑止機能適用時のフラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間の設定について
(19) Ring ProtocolとVRF機能の併用について【OP-NPAR】

(1) 運用中のコンフィグレーション変更について

運用中に,Ring Protocolの次に示すコンフィグレーションを変更する場合は,ループ構成にならないように注意が必要です。

これらのコンフィグレーションは,次の手順で変更することを推奨します。

  1. コンフィグレーションを変更する装置のリングポート,またはマスタノードのセカンダリポートをshutdownコマンドなどでダウン状態にします。
  2. コンフィグレーションを変更する装置のRing Protocol機能を停止(disableコマンド)します。
  3. コンフィグレーションを変更します。
  4. Ring Protocol機能の停止を解除(no disableコマンド)します。
  5. 事前にダウン状態としたリングポートをアップ(shutdownコマンドなどの解除)します。

(2) 他機能との共存

18.3 レイヤ2スイッチ機能と他機能の共存について」を参照してください。

(3) 制御VLANに使用するVLANについて

(4) トランジットノードのリングVLAN状態について

トランジットノードでは,装置またはリングポートが障害となり,その障害が復旧した際,ループの発生を防ぐために,リングポートのリングVLAN状態はブロッキング状態となります。このブロッキング状態解除の契機の一つとして,フラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間(forwarding-shift-time)のタイムアウトがあります。このとき,フラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間(forwarding-shift-time)がマスタノードのヘルスチェック送信間隔(health-check interval)よりも短い場合,マスタノードがリング障害の復旧を検出して,セカンダリポートをブロッキング状態に変更するよりも先に,トランジットノードのリングポートがフォワーディング状態となることがあり,ループが発生するおそれがあります。したがって,フラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間(forwarding-shift-time)はヘルスチェック送信間隔(health-check interval)より大きい値を設定してください。

(5) 共有リンクありのマルチリングでのVLAN構成について

複数のリングで共通に使用する共有リンクでは,それぞれのリングで同じVLANを使用する必要があります。共有リンク間でのVLANのポートのフォワーディング/ブロッキング制御は共有リンク監視リングで行います。このため,共有リンク監視/非監視リングで異なるVLANを使用すると,共有リンク非監視リングで使用しているVLANはブロッキングのままとなり,通信ができなくなります。

(6) Ring Protocol使用時のネットワーク構築について

(a) リングネットワークを構築してから,Ring Protocolを動作させる場合

Ring Protocolを利用するネットワークはループ構成となります。ネットワークの構築時は,次に示すような対応を行いループを防止してください。

(b) Ring Protocolが動作している装置を順次接続して,リングネットワークを構築する場合

リングネットワークの構築が完了していない状態でマスタノードのセカンダリポートを他装置と接続した場合,セカンダリポートがリンクアップしてもブロッキング状態を維持するため,該当ポートを使用した通信はできません。このため,次に示すどれかの方法でリングネットワークを構築してください。

(7) ヘルスチェックフレームの送信間隔と障害監視時間について

障害監視時間(health-check holdtime)は送信間隔(health-check interval)より大きな値を設定してください。送信間隔よりも小さな値を設定すると,受信タイムアウトとなり障害を誤検出します。また,障害監視時間と送信間隔はネットワーク構成などを十分に考慮した値を設定してください。障害監視時間は送信間隔の2倍以上を目安として設定することを推奨します。2倍未満に設定すると,ヘルスチェックフレームの受信が1回失敗した状態で障害を検出することがあるため,ネットワークの負荷などによって遅延が発生した場合に障害を誤検出するおそれがあります。

(8) 相互運用

Ring Protocolは,本装置独自仕様の機能です。他社スイッチとは相互運用できません。

(9) リングを構成する装置について

Ring Protocolを用いたネットワーク内で,本装置間にRing Protocolをサポートしていない他社スイッチや伝送装置などを設置した場合,本装置のマスタノードが送信するフラッシュ制御フレームを解釈できないため,即時にMACアドレステーブルエントリがクリアされません。その結果,通信経路の切り替え(もしくは切り戻し)前の情報に従ってデータフレームの転送が行われるため,正しくデータが届かないおそれがあります。

(10) マスタノード障害時について

マスタノードが装置障害などによって通信できない状態になると,リングネットワークの障害監視が行われなくなります。このため,迂回経路への切り替えは行われずに,マスタノード以外のトランジットノード間の通信はそのまま継続されます。また,マスタノードが装置障害から復旧する際には,フラッシュ制御フレームをリング内のトランジットノードに向けて送信します。このため,一時的に通信が停止するおそれがあります。

(11) ネットワーク内の多重障害時について

同一リング内の異なるノード間で2個所以上の障害が起きた場合(多重障害),マスタノードは既に1個所目の障害で障害検出を行っているため,2個所目以降の障害を検出しません。また,多重障害での復旧検出についても,最後の障害が復旧するまでマスタノードが送信しているヘルスチェックフレームを受信できないため,復旧を検出できません。その結果,多重障害のうち,一部の障害が復旧した(リングとして障害が残っている状態)ときには一時的に通信できないことがあります。

(12) リングポートに指定したリンクアグリゲーションのダウンについて

リングネットワークを構成するノード間をリンクアグリゲーション(スタティックモードまたはLACPモード)で接続していた場合,リンクアグリゲーションの該当チャネルグループをshutdownコマンドでダウン状態にするときは,あらかじめチャネルグループに属するすべての物理ポートをshutdownコマンドでダウン状態に設定してください。

なお,該当チャネルグループをno shutdownコマンドでアップ状態にするときは,あらかじめチャネルグループに属するすべての物理ポートをshutdownコマンドでダウン状態に設定してください。

(13) VLANのダウンを伴う障害発生時の経路の切り替えについて

マスタノードのプライマリポートでリンクダウンなどの障害が発生すると,データ転送用のVLANグループに設定されているVLANが一時的にダウンする場合があります。このような場合,経路の切り替えによる通信の復旧に時間がかかることがあります。

なお,VLAN debounce機能を使用することでVLANのダウンを回避できる場合があります。VLAN debounce機能の詳細については,「21.7 VLAN debounce機能の解説」を参照してください。

(14) ネットワーク負荷の高い環境での運用について

トランジットノードで,定常的またはバースト的に,リングポートに高負荷のトラフィックが流れると,Ring Protocolの制御フレームの破棄または遅延が発生し,マスタノードで障害を誤検出するおそれがあります。上記の環境に当てはまる場合には,次の対応を行ってください。

(15) リングポートに対する回線テストの実行について

リングポートに対して回線テスト(運用コマンドtest interfaces)を実行する場合は,次の手順で実施してください。この手順で実施しない場合,回線テスト終了後に一時的にループが発生するおそれがあります。

  1. 運用コマンドinactivateでテスト対象のリングポートをinactive状態にします。
    マスタノードはリング障害を検出し,通信経路を切り替えます。
  2. 該当ポートに対して,回線テストを実行します。
  3. 回線テスト終了後,運用コマンドactivateでリングポートを復旧させます。
    マスタノードはリング障害の復旧を検出し,通信経路を切り戻します。

(16) VLANのダウンを伴うコンフィグレーションコマンドの設定について

Ring Protocolに関するコンフィグレーションコマンドが設定されていない状態で,一つ目のRing Protocolに関するコンフィグレーションコマンド(次に示すどれかのコマンド)を設定した場合に,すべてのVLANが一時的にダウンします。そのため,Ring Protocolを用いたリングネットワークを構築する場合には,あらかじめ次に示すコンフィグレーションコマンドを設定しておくことを推奨します。

なお,VLANマッピング(axrp vlan-mappingコマンド)については,新たに追加設定した場合でも,そのVLANマッピングに関連づけられるVLANが一時的にダウンします。すでに設定されているVLANマッピング,およびそのVLANマッピングに関連づけられているその他のVLANには影響ありません。

(17) マスタノードの装置起動時のフラッシュ制御フレーム送受信について

マスタノードの装置起動時に,トランジットノードがマスタノードと接続されているリングポートのリンクアップをマスタノードよりも遅く検出すると,マスタノードが初期動作時に送信するフラッシュ制御フレームを受信できない場合があります。このとき,フラッシュ制御フレームを受信できなかったトランジットノードのリングポートはブロッキング状態となります。該当するリングポートはフラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間(forwarding-shift-time)が経過するとフォワーディング状態となり,通信が復旧します。

隣接するトランジットノードでフラッシュ制御フレームが受信できない場合には,マスタノードのフラッシュ制御フレームの送信回数を調節すると,受信できることがあります。また,フラッシュ制御フレーム未受信による通信断の時間を短縮したい場合は,トランジットノードのフラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間(初期値:10秒)を短くしてください。

なお,次の場合も同様です。

(18) 経路切り戻し抑止機能適用時のフラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間の設定について

経路切り戻し抑止機能を動作させる場合,トランジットノードでのフラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間(forwarding-shift-time)にはinfinityを指定するか,または経路切り戻し抑止時間(preempt-delay)よりも大きな値を指定してください。経路切り戻し抑止中,トランジットノードでのフラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間がタイムアウトして該当リングポートの論理ブロックを解除してしまうと,マスタノードはセカンダリポートの論理ブロック状態を解除しているため,ループが発生するおそれがあります。

(19) Ring ProtocolとVRF機能の併用について【OP-NPAR】

Ring ProtocolとVRF機能を併用する(コンフィグレーションコマンドvrf modeのaxrp-enableパラメータ,またはaxrp-enable-ipv4-ipv6パラメータを設定している)場合,次の点に注意してください。

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