コンフィグレーションガイド Vol.1
LACPモニター機能は,LACPDU(リンクアグリゲーション制御フレーム)の受信を監視することで,本装置と接続装置間とのリンクの正常性を確認する機能です。この機能は,スタティックリンクアグリゲーションだけで使用できます。LACPリンクアグリゲーションとは異なり,LACPDUを送信しません。
- <この項の構成>
- (1) LACPモニター機能の適用例
- (2) 監視時間
- (3) 監視方法
- (4) 通知方法
- (5) 注意事項
(1) LACPモニター機能の適用例
LACPモニター機能の適用例を次の図に示します。
図17-4 LACPモニター機能の適用例
装置A−B間をLACPリンクアグリゲーションで接続し,スプリッタなどを使用して,装置A−B間の通信およびLACPDUを本装置へ分岐送信する構成で,本装置でLACPモニター機能を設定します。チャネルグループごとに受信を監視して,チャネルグループ内のどれかのポートでLACPDUを受信すると,到達状態を確認済と見なします。到達状態が変わると,SNMP通知を送信および運用メッセージを出力します。
(2) 監視時間
LACPDUの受信監視時間は,コンフィグレーションで設定するLACPDU送信間隔によって決定します。監視時間の決定方法を次の表に示します。なお,表中の時間は監視時間であり,SNMP通知の送信や運用メッセージの出力までには,若干の時間が掛かります。
表17-9 監視時間の決定方法
LACPDU送信間隔の設定 監視時間 long(デフォルト) 90秒 short 3秒
(3) 監視方法
LACPDU受信の監視方法を次の表に示します。
表17-10 監視方法
項目 内容 監視対象 チャネルグループ スタティックリンクアグリゲーションかつLACPモニター機能を設定したチャネルグループ ポート 監視対象チャネルグループ内のすべてのポート 監視設定 設定方法 コンフィグレーションで,スタティックリンクアグリゲーションかつLACPモニター機能を設定 運用への反映契機 設定後すぐに運用に反映 到達状態の種類 確認済 到達確認ができている状態 未確認 初期状態および到達確認ができていない状態 到達状態の遷移契機 未確認から確認済への遷移 チャネルグループ内で一つLACPDUを受信したとき 確認済から未確認への遷移 次の場合に遷移。2.以降は,監視時間を待たないで遷移
- 監視時間内にチャネルグループ内で一つもLACPDUを受信していないとき
- コンフィグレーションでチャネルグループにshutdownを設定したとき(ただし,LACPDU受信およびLACP統計情報更新はする)
- チャネルグループ内のすべてのポートがリンクダウンしたとき
- コンフィグレーションでLACPモニター機能の設定を削除したとき
- チャネルグループ内のポートのduplexが,すべて半二重モードとなったとき
到達状態の確認方法 運用コマンド表示 監視を設定して運用しているときだけ,次の情報を表示
- リンクアグリゲーション情報および詳細情報で,到達状態を表示
- リンクアグリゲーションのLACPDU送受信統計情報で,LACPDU統計情報を表示
MIB interfacesグループのifOperStatusの状態は,到達状態に従う
- 確認済:up
- 未確認:down
dot3adAggPortグループでのLACP統計情報は収集できない
(4) 通知方法
到達状態が遷移すると通知します。通知方法を次の表に示します。通常,これらはチャネルグループ状態が変化した場合に通知されますが,本機能を使用しているときだけ,その契機では通知しません。
表17-11 通知方法
項目 内容 SNMP通知
- 確認済:linkUp
- 未確認:linkDown
運用メッセージ
- 確認済:チャネルグループUp(メッセージ識別子20120002)
- 未確認:チャネルグループDown(メッセージ識別子20120003)
(5) 注意事項
- 本機能は,通常のスタティックリンクアグリゲーションやLACPリンクアグリゲーションとは動作が異なり,LACPDUの到達状態だけを監視します。このため,チャネルグループの通信状態を保証するものではありません。
- 本機能では,受信したLACPDU内のプロトコル状態は確認しません。
- 通常の運用から継続して本機能を使用したとき,または本機能の使用を停止したとき,通知が重複することがあります。このため,本機能の設定を変更する場合は,いったんコンフィグレーションコマンドshutdownでチャネルグループを停止状態(Disable)にすることをお勧めします。
- 本機能を設定したチャネルグループでは,次に示す機能を使用しないでください。
MAC VLAN,スパニングツリー,Ring Protocol,IGMP snooping,MLD snooping,IEEE802.1X,Web認証,MAC認証,認証VLAN,DHCP snooping,GSRP,VRRP,IEEE802.3ah/UDLD,L2ループ検知
なお,スパニングツリーおよびGSRPは装置全体で動作する機能であるため,対象のチャネルグループに対して次に示す設定をすることで,本機能との併用を回避してください。
- スパニングツリー:PortFast,BPDUフィルタの設定
- GSRP:GSRP制御対象外ポートの設定
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