コンフィグレーションガイド Vol.1

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3.6.14 IPv4・IPv6マルチキャストルーティングプロトコル

<この項の構成>
(1) IPv4マルチキャスト
(2) IPv6マルチキャスト

(1) IPv4マルチキャスト

IPv4マルチキャストを設定できるインタフェース数およびルーティングテーブルのエントリ数を次の表に示します。

複数のVRFでIPv4マルチキャストを使用する場合,グローバルネットワークとすべてのVRFの合計を本収容条件内に収めてください。ただし,MSU-1AおよびMSU-1A1ではVRF機能をサポートしていません。

なお,PIM-DMはグローバルネットワークでだけ動作します。また,本装置では,PIM-SMとPIM-DMは同時に動作できません。

表3-320 IPv4マルチキャストの最大数

項目 最大数
MSU-1A
MSU-1A1
MSU-1B
MSU-1B1
PIM-SM/SSMまたはPIM-DMマルチキャストインタフェース数※1 127/装置 255/装置
IGMP動作インタフェース数 127/装置 255/装置
マルチキャスト送信元の数 256/グループ
3000/装置
256/グループ
3000/装置
PIM-SM/SSMマルチキャスト経路情報のエントリ((S,G)エントリ,(*,G)エントリ,およびネガティブキャッシュ)数,またはPIM-DMマルチキャスト経路情報のエントリ((S,G)エントリ)数※1
S:送信元IPアドレス
G:グループアドレス
4000/装置 8000/装置
IGMPv2/IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連携動作させる設定数(ソース,グループのペア数)※2 256/装置 256/装置
IGMPv3で1Reportにつき処理できるrecord情報※3 32record/メッセージ
32ソース/record
32record/メッセージ
32ソース/record
IGMP加入グループ数※4※5 2000/装置 3000/装置
マルチキャストルータ隣接数※1 256/装置 256/装置
ランデブーポイント数 2/グループ 2/グループ
1装置当たりランデブーポイントで設定できるグループ数※6 128/装置 128/装置
1ネットワーク(VPN)当たりランデブーポイントに設定できる延べグループ数 128/ネットワーク
128/装置
128/ネットワーク(VPN)
256/装置※7
1ネットワーク(VPN)当たりのBSR候補数 16/ネットワーク
16/装置
16/ネットワーク(VPN)
256/装置※7
静的加入グループ数※8 256/装置 256/装置
静的ランデブーポイント(RP)ルータアドレス数 16/装置 16/装置
IGMPグループ当たりのソース数 256/グループ 256/グループ
マルチキャスト中継エントリの延べ下流インタフェース数※9※10 140000/装置 280000/装置
マルチキャストを設定できるVRF数※11 249/装置
エクストラネットのマルチキャストフィルタ数※12 512/装置
エクストラネットで使用するroute-map数 256/装置
256/VRF
PIM-SM VRFゲートウェイ動作マルチキャストアドレス数※13 256/装置
256/VRF

(凡例)−:該当なし

注※1
PIM-DMを使用する場合,隣接ルータ数によって使用できるマルチキャスト経路情報のエントリ数が異なります。「表3-321 PIM-DMでの隣接ルータ数に対するマルチキャスト経路情報のエントリ数」に示す範囲内で使用してください。

注※2
マルチキャストで使用するインタフェース数および加入グループ数によって設定できる数が変わります。「表3-322 使用インタフェース数に対するIGMPv2/IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定可能数」および「表3-323 加入グループ数に対するIGMPv2/IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定可能数」に示す範囲内で使用してください。加入グループ数は,動的および静的加入グループ数の総計です。同一グループアドレスが異なるインタフェースに加入している場合,加入グループ数は一つではなく,加入したインタフェースの数になります。

注※3
一つのReportメッセージで処理できるソース数は延べ256ソースまでです。ソース情報のないrecordも1ソースとして数えます。
IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連携動作させる設定をした場合,その設定に一致したEXCLUDE recordで定義されているソース数を数えます。また,受信したReportメッセージ内にEXCLUDE recordが複数存在し,IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連携動作させる設定で追加したソース数が延べ256を超えた場合,以降のそのメッセージ内のEXCLUDE recordで,連携動作の対象となるEXCLUDE recordについてマルチキャスト中継情報は作成しません。

注※4
本装置に直接接続しているグループの数を示します。IGMPv3使用時に送信元を指定する場合のグループ数は,送信元とグループの組み合わせの数となります。次の図の例ではグループ数が3になります。
[図データ]

注※5
IPv4でのインタフェース当たりの加入可能グループ数を「表3-324 IPv4でのインタフェース当たりの加入グループ数」に示します。

注※6
グループを指定しないでランデブーポイントを設定した場合,デフォルトグループが設定されます。
グローバルネットワークおよびVRFでランデブーポイントを設定する場合,デフォルトグループも1グループとして,装置内またはネットワーク(VPN)内の総グループ数が収容条件内になるように設定してください。

注※7
本装置のグローバルネットワークとすべてのVRFに接続するネットワーク(VPN)上の総数です。

注※8
静的加入グループ数とは,各マルチキャストインタフェースで静的加入するグループアドレスの総数です。同一グループアドレスを複数の異なるインタフェースに静的加入設定した場合,静的加入グループ数は一つではなく,静的加入設定したインタフェースの数になります。
また,PIM-SM VRFゲートウェイで指定したグループアドレスの延べ数との合計になります。

注※9
構成およびリソース状況によっては最大数がMSU-1AまたはMSU-1A1搭載時は140000以下,MSU-1BまたはMSU-1B1搭載時は280000以下となることがあります。

注※10
マルチキャスト中継エントリの延べ下流インタフェース数は,IPv4マルチキャストとIPv6マルチキャストの合計です。

注※11
PIM-SM/SSM使用時だけ設定できます。

注※12
すべてのroute-mapで指定したaccess-list内のアドレスの延べ数です。

注※13
エクストラネットで指定したroute-mapを使用します。route-mapに指定したaccess-list内で,ホストアドレス(32ビットマスク)として指定したマルチキャストアドレスが対象となります。
装置当たりの上限は,すべてのVRFで指定したPIM-SM VRFゲートウェイのグループアドレスの延べ数です。
また,静的加入グループ数で指定したグループアドレス数との合計になります。

表3-321 PIM-DMでの隣接ルータ数に対するマルチキャスト経路情報のエントリ数

隣接ルータ数 マルチキャスト経路情報のエントリ数
256 1000
128 2000
64 4000
32 8000

表3-322 使用インタフェース数に対するIGMPv2/IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定可能数

使用インタフェース数 IGMPv2/IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定数
31 256
63 128
127 64
255 32

表3-323 加入グループ数に対するIGMPv2/IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定可能数

加入グループ(延べ数) IGMPv2/IGMPv3(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定数
64 256
128 128
256 64
512 32
1024 16
2048 8
4096 4
8128 2

表3-324 IPv4でのインタフェース当たりの加入グループ数

マルチキャスト動作インタフェース数 インタフェース当たりの加入可能グループ数
31 256
63 128
127 64
255 32

(a) IPv4マルチキャスト使用時の注意事項

マルチキャストデータの送信元に対して到達できるすべてのインタフェースにPIMの設定が必要です。

(b) マルチキャストデータの送信元サーバに関する注意

マルチキャストデータの送信元となるサーバの中には,マルチキャストパケットをバーストトラフィックとして送信する特性を持つものがあります。この特性を持つサーバから受信したマルチキャストデータを,マルチキャスト配信する場合には注意が必要です。マルチキャスト配信先の回線を収容するネットワークインタフェース機構(NIF)の種類によって,マルチキャスト動作可能なインタフェース数が異なります。マルチキャスト動作可能なインタフェース数を次の表に示します。

表3-325 マルチキャスト動作可能なインタフェース数

NIF略称 マルチキャスト動作可能なインタフェース数(推奨値
NH1G-16S ポート当たり16インタフェース
NH1G-24T ポート当たり16インタフェース
NH1G-24S ポート当たり16インタフェース
NH1G-48T ポート当たり16インタフェース
NH1GS-6M NIF当たり255インタフェース
NH10G-1RX ポート当たり32インタフェース
NH10G-4RX ポート当たり32インタフェース
NH10G-4RXA ポート当たり32インタフェース
NH10G-8RX ポート当たり32インタフェース
NH10G-8RXA ポート当たり32インタフェース

注※
推奨値は,送信元サーバが,マルチキャストパケットを8バーストで送信する特性(サーバで8パケット分のマルチキャストデータをいったん蓄積したあとに,ネットワークに対して連続的に送信する特性)を持っていることを想定しています。バースト数が大きくなると,パケットを一部廃棄することがあるので,マルチキャストを定義するインタフェース数を少なくする必要があります。

(2) IPv6マルチキャスト

IPv6マルチキャストを設定できるインタフェース数およびルーティングテーブルのエントリ数を次の表に示します。

複数のVRFでIPv6マルチキャストを使用する場合,グローバルネットワークとすべてのVRFの合計を本収容条件内に収めてください。ただし,MSU-1AおよびMSU-1A1ではVRF機能をサポートしていません。

表3-326 IPv6マルチキャストの最大数

項目 最大数
MSU-1A
MSU-1A1
MSU-1B
MSU-1B1
PIM-SM/SSMマルチキャストインタフェース数※1※2 127/装置 255/装置
MLD動作インタフェース数※1 127/装置 255/装置
マルチキャスト送信元の数 256/グループ 256/グループ
PIM-SM/SSMマルチキャストルーティングエントリ((S,G)エントリ, (*,G)エントリ, およびネガティブキャッシュ)数
S:送信元IPアドレス
G:グループアドレス
1000/装置 8000/装置
MLDv1/MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連携動作させる設定数(ソース,グループペア数)※3 256/装置 256/装置
MLDv2で1Reportにつき処理できるrecord情報※4 32record/メッセージ
32ソース/record
32record/メッセージ
32ソース/record
MLD加入グループ数※5※6 256/装置 256/装置
マルチキャストルータ隣接数 256/装置 256/装置
ランデブーポイント数 2/グループ 2/グループ
1装置当たりランデブーポイントで設定できるグループ数※7 128/装置 128/装置
1ネットワーク(VPN)当たりランデブーポイントに設定できる延べグループ数 128/ネットワーク
128/装置
128/ネットワーク(VPN)
256/装置※8
1ネットワーク(VPN)当たりのBSR候補数 16/ネットワーク
16/装置
16/ネットワーク(VPN)
256/装置※8
静的加入グループ数※9※10 2000/装置 4000/装置
静的ランデブーポイント(RP)ルータアドレス数 16/装置 16/装置
MLDグループ当たりのソース数 256/グループ 256/グループ
遠隔のマルチキャストサーバアドレスを直接接続サーバとして扱う設定数 256/装置
16/インタフェース
256/装置
16/インタフェース
マルチキャスト中継エントリの延べ下流インタフェース数※11※12 140000/装置 280000/装置
マルチキャストを設定できるVRF数 249/装置
エクストラネットのマルチキャストフィルタ数※13 512/装置
エクストラネットで使用するroute-map数 256/装置
256/VRF
PIM-SM VRFゲートウェイ動作マルチキャストアドレス数※14 256/装置
256/VRF

(凡例)−:該当なし

注※1
マルチホームをサポートします。

注※2
IPv6マルチキャストインタフェースとして,このほかにカプセル化用インタフェースが一つ存在します。このため,IPv6 PIM-SMマルチキャストインタフェース全体の数は,MSU-1AまたはMSU-1A1搭載時は128個,MSU-1BまたはMSU-1B1搭載時は256個になりますが,ユーザが設定できるのはそのうちMSU-1AまたはMSU-1A1搭載時は127個,MSU-1BまたはMSU-1B1搭載時は255個です。また,PIM-SMとPIM-SSMの合計でMSU-1AまたはMSU-1A1搭載時は127/装置,MSU-1BまたはMSU-1B1搭載時は255/装置となります。

注※3
マルチキャストで使用するインタフェース数および加入グループ数によって設定できる数が変わります。「表3-327 使用インタフェース数に対するMLDv1/MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定可能数」および「表3-328 加入グループ数に対するMLDv1/MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定可能数」に示す範囲内で使用してください。加入グループ数は,動的および静的加入グループ数の総計です。同一グループアドレスが異なるインタフェースに加入している場合,加入グループ数は一つでなく,加入したインタフェースの数になります。

注※4
一つのReportメッセージで処理できるソース数は延べ1024ソースまでです。ソース情報のないrecordも1ソースとして数えます。
MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連携動作させる設定をした場合,その設定に一致したEXCLUDE recordで定義されているソース数を数えます。また,受信したReportメッセージ内にEXCLUDE recordが複数存在し,MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連携動作させる設定で追加したソース数が延べ1024を超えた場合,以降のそのメッセージ内のEXCLUDE recordで,連携動作の対象となるEXCLUDE recordについてマルチキャスト中継情報は作成しません。

注※5
本装置に直接接続しているグループの数を示します。MLDv2使用時に送信元を指定する場合のグループ数は,送信元とグループの組み合わせの数となります。
次の図の例ではグループ数が3になります。
[図データ]

注※6
IPv6でのインタフェース当たりの加入可能グループ数を「表3-329 IPv6でのインタフェース当たりの加入可能グループ数」に示します。

注※7
グループを指定しないでランデブーポイントを設定した場合,デフォルトグループが設定されます。
グローバルネットワークおよびVRFでランデブーポイントを設定する場合,デフォルトグループも1グループとして,装置内またはネットワーク(VPN)内の総グループ数が収容条件内になるように設定してください。

注※8
本装置のグローバルネットワークとすべてのVRFに接続するネットワーク(VPN)上の総数です。

注※9
静的加入グループ数とは,各マルチキャストインタフェースで静的加入するグループアドレスの総数です。同一グループアドレスを複数の異なるインタフェースに静的加入設定した場合,静的加入グループ数は一つではなく,静的加入設定したインタフェースの数になります。
また,PIM-SM VRFゲートウェイで指定したグループアドレスの延べ数との合計になります。

注※10
一つのインタフェースに設定できる静的加入グループ数は256までです。

注※11
構成およびリソース状況によっては最大数がMSU-1AまたはMSU-1A1搭載時は140000以下,MSU-1BまたはMSU-1B1搭載時は280000以下となることがあります。

注※12
マルチキャスト中継エントリの延べ下流インタフェース数は,IPv4マルチキャストとIPv6マルチキャストの合計です。

注※13
すべてのroute-mapで指定したaccess-list内のアドレスの延べ数です。

注※14
エクストラネットで指定したroute-mapを使用します。route-mapに指定したaccess-list内で,ホストアドレス(128ビットマスク)として指定したマルチキャストアドレスが対象となります。
装置当たりの上限は,すべてのVRFで指定したPIM-SM VRFゲートウェイのグループアドレスの延べ数です。
また,静的加入グループ数で指定したグループアドレス数との合計になります。

表3-327 使用インタフェース数に対するMLDv1/MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定可能数

使用インタフェース数 MLDv1/MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定数
31 256
63 256
127 256
255 256

表3-328 加入グループ数に対するMLDv1/MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定可能数

加入グループ数(延べ数) MLDv1/MLDv2(EXCLUDEモード)でPIM-SSMを連動させる設定数
64 256
128 128
256 64
512 32
1024 16
2048 8
4096 4
8128 2

表3-329 IPv6でのインタフェース当たりの加入可能グループ数

マルチキャスト動作インタフェース数 インタフェース当たりの加入可能グループ数
31 256
63 128
127 64
255 32

(a) PIM-SM/SSM使用時の注意事項

マルチキャストデータの送信元に対して到達できるすべてのインタフェースにPIMの設定が必要です。

(b) マルチキャストデータの送信元サーバに関する注意

IPv6でのマルチキャストデータの送信元サーバに関する注意の内容は,IPv4と同様です。詳細は,「(1) IPv4マルチキャスト(b) マルチキャストデータの送信元サーバに関する注意」を参照してください。

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