運用ガイド
回線テストでは,指定するテスト種別により,テスト用に送出するフレームまたはデータの折り返し位置が異なります。テスト種別によるフレームの折り返し位置を次の図に示します。
図9-62 回線テストのテスト種別によるフレームの折り返し位置
表9-5 フレーム折り返し位置ごとの回線テスト種別
フレームの
折り返し位置回線テスト種別 確認できる障害部位 NIF モジュール内部ループバックテスト NIF(RJ45コネクタおよびトランシーバを除く) ループコネクタ ループコネクタループバックテスト NIF(RJ45コネクタおよびトランシーバ含む) 相手装置 ループコネクタループバックテスト NIF(トランシーバ含む),接続ケーブル,相手装置 本装置のフレーム折り返し設定 ネットワークラインループバックテスト また,回線種別により,実行可能なテスト種別が異なります。回線種別と実行可能なテスト種別は,「運用コマンドレファレンス Vol.1 test interfaces(イーサネット)」を参照してください。
次にテスト種別ごとのテスト方法を説明します。
- <この項の構成>
- (1) NIF内でのフレーム折り返しを確認する
- (2) ループコネクタでのフレーム折り返しを確認する
- (3) 相手装置内でのフレームの折り返しを確認する【AX7800S】
- (4) 相手装置からのフレームの折り返し設定をする【AX7800S】
(1) NIF内でのフレーム折り返しを確認する
NIF内でのフレーム折り返しを確認する場合,モジュール内部ループバックテストを実行してください。モジュール内部ループバックテストを実行する場合は,closeコマンドで回線を閉塞してから行ってください。テストを終了するときは,freeコマンドで回線を閉塞状態から運用状態に戻してください。本テストでは,NIF障害(RJ45コネクタおよびトランシーバを除く)の有無を確認するため,テスト用フレームを本装置のNIFボード内で折り返します。本テストは全回線種別で実行できます。本テスト実行中はトランシーバの抜き差しを行わないでください。
テスト例として,NIF番号1のLine番号0で送信間隔1秒としてテストを行ったケースを示します。
運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。
> close nif 1 line 0[Enter] > test interfaces nif 1 line 0 internal[Enter] (約1分間待つ) > no test interfaces nif 1 line 0[Enter] > free nif 1 line 0[Enter]コマンド実行結果として,「図9-63 test interfaces,no test interfacesコマンド実行結果例」に示す画面を表示するので,次のことを確認してください。
”Send-NG”および”Receive-NG”が0であること。
”Send-NG”および”Receive-NG”が0の場合,回線テスト結果は正常です。
”Send-NG”および”Receive-NG”が0でない場合は,何らかの異常があるので「運用コマンドレファレンス Vol.1 no test interfaces(イーサネット)」の回線テスト実行結果の表示内容を参照してください。
10GBASE-R【AX7800S】および10GBASE-W【AX7800S】で”Send-NG”および”Receive-NG”が0でない場合は再度回線テストを実行し,”Send-NG”および”Receive-NG”が0であることを確認してください。0でない場合は何らかの異常があるので「運用コマンドレファレンス Vol.1 no test interfaces(イーサネット)」の回線テスト実行結果の表示内容を参照してください。
図9-63 test interfaces,no test interfacesコマンド実行結果例
(2) ループコネクタでのフレーム折り返しを確認する
ループコネクタでのフレーム折り返しを確認する場合,ループコネクタループバックテストを実行してください。ループコネクタループバックテストを実行する場合,およびループコネクタを接続する場合は,closeコマンドで回線を閉塞してから行ってください。テストを終了するときは,接続を戻してからfreeコマンドで回線を閉塞状態から運用状態に戻してください。本テストでは,NIF障害(RJ45コネクタおよびトランシーバ含む)を確認するため,テスト用フレームを本装置のNIFボードに接続したループコネクタ内で折り返します。本テストは全回線種別で実行できます。
回線種別ごとにテストする対象のLine番号のケーブルを抜いて各回線種別ごとのループコネクタを接続しテストを実施します。ループコネクタ未接続,またはその回線に対応するループコネクタを接続しない場合,正しくテストが実施できないので注意してください。テスト例として,NIF番号1のLine番号0で送信間隔1秒としてケーブルを抜いて各回線種別ごとのループコネクタを接続しテストを行ったケースを示します。
運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。
> close nif 1 line 0[Enter] (該当ポートにループコネクタを接続する) > test interfaces nif 1 line 0 connector[Enter] (約1分間待つ) > no test interfaces nif 1 line 0[Enter] (該当ポートのループコネクタを外し,接続を元に戻す) > free nif 1 line 0[Enter]なお,テスト実行結果の確認は「(1) NIF内でのフレーム折り返しを確認する」のテスト実行結果と同様に行ってください。
注 1000BASE-LH,1000BASE-LHB,10GBASE-ER,10GBASE-EWおよび10GBASE-ZRでループコネクタループバックテストを行う場合には光アッテネータ(光減衰器)が必要です。光の減衰については次の表を参照してください。
表9-6 光の減衰
No 回線種別 減衰値(db) 1 1000BASE-LH 5〜22 2 1000BASE-LHB 17〜36 3 10GBASE-ER【AX7800S】 5〜11 4 10GBASE-EW【AX7800S】 5〜11 5 10GBASE-ZR【AX7800S】 15〜24
(3) 相手装置内でのフレームの折り返しを確認する【AX7800S】
相手装置内でのフレーム折り返しを確認する場合,ループコネクタループバックテストを実行してください。ループコネクタループバックテストを実行する場合は,closeコマンドで回線を閉塞してから行ってください。テストを終了するときは,freeコマンドで回線を閉塞状態から運用状態に戻してください。本テストでは,NIF(トランシーバ含む),接続ケーブル,相手装置の障害を確認するためテスト用フレームを相手装置内で折り返します。本テストは10GBASE-Wだけ実行できます。
相手装置内で折り返す場合のテスト手順を以下に示します。
- 相手装置のテスト対象の回線に対し,テスト用フレームの折り返し設定をする(相手装置でネットワークラインループバックテストを実行する)。
- 本装置でループコネクタループバックテストを実行する。
テスト例として,相手装置のNIF番号1のLine番号0で送信間隔1秒で折り返し,本装置のNIF番号1のLine番号0で受信するケースを示します。
運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。
[本装置] > close nif 1 line 0[Enter] [相手装置] > test interfaces nif 1 line 0 network-line[Enter] [本装置] > test interfaces nif 1 line 0 connector[Enter] (約1分間待つ) [相手装置][本装置] > no test interfaces nif 1 line 0[Enter] [本装置] > free nif 1 line 0[Enter]なお,テスト実行結果の確認は「(1) NIF内でのフレーム折り返しを確認する」のテスト実行結果と同様に行ってください。テストの実行結果は本装置(ループコネクタループバックテストを実行した装置)で確認します。
(4) 相手装置からのフレームの折り返し設定をする【AX7800S】
フレームの折り返しを設定する場合,ネットワークラインループバックテストを実行してください。ネットワークラインループバックテストを実行する場合は,相手装置のテスト対象回線をcloseコマンドで閉塞してから行ってください。テストを終了するときは,相手装置のテスト対象回線をfreeコマンドで閉塞状態から運用状態に戻してください。本テストは受信したテスト用フレームの折り返し設定だけ行います。10GBASE-Wだけ実行できます。相手装置から受信したデータは,物理層フレームごとに折り返します。
本装置のNIFボード内で折り返す場合のテスト手順を以下に示します。
- 本装置のテスト対象の回線に対し,本装置でネットワークラインループバックテストを実行する。
- 相手装置でループコネクタループバックテストを実行する。
テスト例として,本装置のNIF番号1のLine番号0で折り返し,相手装置のNIF番号1のLine番号0で送信間隔1秒で受信するケースを示します。
運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。
[相手装置] > close nif 1 line 0[Enter] [本装置] > test interfaces nif 1 line 0 network-line[Enter] [相手装置] > test interfaces nif 1 line 0 connector[Enter] (約1分間待つ) [本装置][相手装置] > no test interfaces nif 1 line 0[Enter] [相手装置] > free nif 1 line 0[Enter]注 本テストは,受信データの折り返し設定だけを行うため,テスト結果表示はありません。テスト結果は相手装置で確認できます。このため,テスト間隔,テストパターン番号,テストデータ長は,指定不可となります。
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