コンフィグレーションコマンドレファレンス Vol.1

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bgp【OP-BGP】

本コマンドはルーティングプロトコルBGP4に関する動作情報を設定します。本コマンドを入力後,bgpモードに移行します。本コマンドはIPv4専用コマンドです。

[入力モード]

グローバルコンフィグモード

[入力形式]

情報の設定・変更
bgp [{ yes | no }]
 >>移行モード:bgp

情報の削除
delete bgp

情報の表示
show bgp

[サブコマンド入力形式]

BGPグローバル情報の設定・変更
preference <Preference>
ibgp-preference <Preference>
ebgp-preference <Preference>
default-localpref <Localpref>
defaultmetric <Metric>
clusterid <Host Address>
memberas <As>
compare-aspath { yes | no }
compare-med { same-as | all-as }
multipath
multipath-option { same-as | all-as }
resolve-nexthop { igp | all }
no-change-nexthop
med
holdtime <Time>
keep none
ipv4-uni
{ refresh | refresh-128 }
4-byte-as
authmd5 <MD5>
graceful-restart [mode {restart | receive | both}] [restart-time <Time>] [stale-routes-retain-time <Time> ]
maximum-prefix <Maximum> [threshold <Threshold>] [{warning-only | restart-time <Minutes>}]
no-fast-fallover
route-stability-time <Time>
fast-reroute gen-secondary-route
network <Id>
externalpeeras <As>
 >>移行モード:bgp externalpeeras
internalpeeras <As> [policygroup <No>] [reflector-client [no-client-reflect]]
 >>移行モード:bgp internalpeeras
routingpeeras <As> [policygroup <No>] [reflector-client [no-client-reflect]]
 >>移行モード:bgp routingpeeras

BGPグローバル情報の削除
delete preference
delete ibgp-preference
delete ebgp-preference
delete default-localpref
delete defaultmetric
delete clusterid
delete memberas
delete compare-aspath
delete compare-med
delete multipath
delete multipath-option
delete resolve-nexthop
delete no-change-nexthop
delete med
delete holdtime
delete keep
delete ipv4-uni
delete { refresh | refresh-128 }
delete 4-byte-as
delete authmd5
delete graceful-restart [mode] [restart-time] [stale-routes-retain-time]
delete maximum-prefix [<Maximum> {threshold | warning-only | restart-time}]
delete no-fast-fallover
delete route-stability-time
delete fast-reroute gen-secondary-route
delete network <Id>
delete externalpeeras <As>
delete internalpeeras <As> [policygroup <No>] [reflector-client [no-client-reflect]]
delete routingpeeras <As> [policygroup <No>] [reflector-client [no-client-reflect]]

[モード階層]

bgp
 ├─ bgp externalpeeras
 │    └─ bgp externalpeeras peer
 ├─ bgp internalpeeras
 │    └─ bgp internalpeeras peer
 └─ bgp routingpeeras
       └─ bgp routingpeeras peer

[パラメータ]

{ yes | no }
BGP4を使用するかしないかを指定します。
  1. 本パラメータ省略時の初期値
    yes(ただし,bgpコマンドを入力しない場合の初期値はnoです)
  2. 値の設定範囲
    yesまたはno

[サブコマンド]

preference <Preference>
BGP4で学習した経路情報のプレファレンス値を指定します。ibgp-preference,ebgp-preference,ピア情報,importコマンドで指定するプレファレンス値が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は170です。
  2. 値の設定範囲
    <Preference>に2〜255(10進数)を指定します。2は最高の優先度,255は最低の優先度を示します。

ibgp-preference <Preference>
BGP4の内部ピアから学習した経路情報のプレファレンス値を指定します。ピア情報,importコマンドで指定するプレファレンス値が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は170です。
  2. 値の設定範囲
    <Preference>に2〜255(10進数)を指定します。2は最高の優先度,255は最低の優先度を示します。

ebgp-preference <Preference>
BGP4の外部ピアから学習した経路情報のプレファレンス値を指定します。ピア情報,importコマンドで指定するプレファレンス値が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は170です。
  2. 値の設定範囲
    <Preference>に2〜255(10進数)を指定します。2は最高の優先度,255は最低の優先度を示します。

default-localpref <Localpref>
内部ピアおよびメンバーAS間ピアに広告するLOCAL_PREF属性のデフォルト値を指定します。exportコマンドで設定したLOCAL_PREF値が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は100です。
  2. 値の設定範囲
    <Localpref>に0〜65535(10進数)を指定します。

defaultmetric <Metric>
広告するメトリック(MED属性)のデフォルト値を指定します。外部ピアへ広告する場合,メトリック(MED属性)の無いBGP経路情報をメンバーAS間ピアへ広告する場合,または他のプロトコルで学習した経路情報をBGP4で広告する場合に本サブコマンド値を適用します。exportコマンドで設定したメトリック値が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    メトリックを広告しません。
  2. 値の設定範囲
    <Metric>に0〜4294967295(10進数)を指定します。

clusterid <Host Address>
ルートリフレクションで使用するクラスタIDを指定します。一つのクラスタ中に複数のルートリフレクタが存在する場合に設定する必要があります。本サブコマンドはルートリフレクタとして動作するルータで指定し,同一クラスタ内の各ルートリフレクタは同じクラスタIDを指定しなければなりません。なお,クライアントには本サブコマンドを指定しないでください。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    ルータIDをクラスタIDとして使用する。
  2. 値の設定範囲
    <Host Address>にクラスタID(ドット記法,またはホスト名称)を指定します。

memberas <As>
コンフィデレーション構成で,自ルータが属するメンバーASのAS番号を指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    コンフィデレーション構成時は省略不可
  2. 値の設定範囲
    <As>に1〜4294967295(10進数)を指定します。

compare-aspath { yes | no }
ASパス長による経路選択を行うかどうかを指定します。yes指定時はASパス長による経路選択を行います。no指定時はASパス長による経路選択を行いません。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    yes(ASパス長による経路選択を行います)
  2. 値の設定範囲
    yesまたはno

compare-med { same-as | all-as }
MED属性値による経路選択の比較対象を指定します。same-as指定時は同一の隣接ASから受信したBGP経路を比較対象とします。all-as指定時は異なるASから学習したBGP経路も比較対象とします。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    同一の隣接ASから学習したBGP経路を比較対象とします。
  2. 値の設定範囲
    same-asまたはall-as

multipath
ある宛先に対する複数のBGP経路がタイブレーク状態である場合に,生成するBGP経路をマルチパス化することを指定します。最大パス数はオプション情報(optionsコマンド)のmax-pathsに従います。なお,マルチパス化の対象は同一の隣接ASから学習したBGP経路となります。異なるASから学習したBGP経路をマルチパス化の対象とする場合は,multipath-option all-asサブコマンドを指定してください。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    最も優先度の高い一つのBGP経路を有効とします。
  2. 値の設定範囲
    なし

multipath-option { same-as | all-as }
BGP経路のマルチパス化の対象を指定します。same-as指定時は同一の隣接ASから受信したBGP経路をマルチパス化の対象とします。all-as指定時は異なるASから学習したBGP経路もマルチパス化の対象とします。なお,all-asを指定する場合,compare-med all-asを合わせて指定する必要があります。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    同一の隣接ASから学習したBGP経路をマルチパスの対象とします。
  2. 値の設定範囲
    same-asまたはall-as

resolve-nexthop { igp | all }
BGP経路のNextHop解決に使用する経路情報を指定します。igp指定時はIGP経路(direct経路,Static経路,RIP経路,OSPF経路,OSPFASE経路,およびIS-IS経路)に基づきNextHop解決を行います。all指定時はIGP経路およびBGP経路に基づきNextHop解決を行います。本サブコマンドは,ルーティング・ピアによって学習した経路,またはmultihopサブコマンドを指定した外部ピア(メンバーAS間ピアを含む),インターナル・ピアによって学習した経路に対してだけ有効です。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    igp(IGP経路に基づきNextHop解決を行います)
  2. 値の設定範囲
    igpまたはall

no-change-nexthop
外部ピアから受信したBGP経路を内部ピアへ広告する際,送出する経路のNextHop属性を内部ピアとのピアリングに使用している自側のIPアドレスに書き換えずに,外部ピアから受信したNextHop属性を送出することを指定します。nexthopselfサブコマンドが指定されている場合はnexthopselfサブコマンドが優先されます。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    送出する経路のNextHop属性をピアリングに使用している自側のIPアドレスに書き換えます。
  2. 値の設定範囲
    なし

med
定義されているすべての外部ピアについて,ピアから受信した経路情報のMED属性を取り込むかどうかを指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    外部ピアで経路情報を受信したときにMED属性を取り込みません。
  2. 値の設定範囲
    なし

holdtime <Time>
定義されているすべてのピアについて,ピアとのホールドタイムを指定します。
ピア情報で指定されたホールドタイム値がピアグループ情報の定義より優先し,ピアグループ情報で指定されたホールドタイム値が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は180秒です。
  2. 値の設定範囲
    <Time>に0,3〜65535(10進数:秒)を指定します。
    0を指定した場合は,ピアとのホールドタイムを監視しません。

keep none
定義されているすべてのピアについて,インポート・フィルタまたはプロトコルの検査により抑止された経路を保持しないことを指定します。抑止対象にしていた経路を,インポート・フィルタやピアの変更により抑止解除した場合,当該経路の再学習にはピアコネクションをいったん切断するか,経路情報をピアから再広告させる必要があります。なお,ピアコネクションの切断および経路の再広告はclear ip bgpコマンドを使用してください。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    インポート・フィルタまたはプロトコルの検査(ASループ,ASPATH属性の隣接AS番号検査,およびNextHop属性の未解決)により抑止された経路を保持します。
  2. 値の設定範囲
    なし

ipv4-uni
定義されているすべてのピアについて,IPv4ユニキャスト経路を取り扱うことを指定します。本サブコマンドはすべてのピアで使用できます。Capability関連のパラメータ(refresh)を指定しているピアで本サブコマンドを省略した場合は,IPv4ユニキャスト経路を取り扱いません。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    ほかにCapability関連パラメータが設定されていない場合はIPv4ユニキャスト経路を取り扱います。ほかにCapability関連パラメータが設定されている場合はIPv4ユニキャスト経路を取り扱いません。
  2. 値の設定範囲
    なし

refresh
定義されているすべてのピアについて,ルート・リフレッシュ機能を取り扱うことを指定します。本サブコマンドとrefresh-128サブコマンドの併用はできません。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    ルート・リフレッシュ機能を当該ピアで取り扱いません。
  2. 値の設定範囲
    なし

refresh-128
定義されているすべてのピアについて,Capability Codeに128を使用するルート・リフレッシュ機能を取り扱うことを指定します。本サブコマンドとrefreshサブコマンドの併用はできません。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    Capability Codeに128を使用するルート・リフレッシュ機能を当該ピアで取り扱いません。
  2. 値の設定範囲
    なし

4-byte-as
4バイトAS番号を取り扱うことを全ピアに通知することを指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    4バイトAS番号を取り扱うことを該当ピアに通知しません。
  2. 値の設定範囲
    なし

authmd5 <MD5>
定義されているすべてのピアについて,TCP-MD5認証情報(メッセージダイジェスト生成のための認証キー)を設定します。本サブコマンドを適用する場合は,ピア間でTCP-MD5認証情報を一致させてください。一致していない場合,ピアとのBGP4コネクションが確立しません。
ピア情報で指定されたTCP-MD5認証情報がピアグループ情報の定義より優先し,ピアグループ情報で指定されたTCP-MD5認証情報が本サブコマンドより優先します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    省略時は認証なしです。
  2. 値の設定範囲
    <MD5>に1〜80文字の任意の文字列を「”(ダブルクォート)」で囲んで指定してください。入力可能な文字は,英数字と特殊文字です。詳細は,「パラメータに指定できる値」を参照してください。ただし,以下の文字は使用できませんので注意願います。
    エクスクラメーション(!),ダブルクォート(”),シャープ(#),ドル($),シングルクォート(’),セミコロン(;),逆シングルクォート(`),大カッコ始め({),大カッコ終わり(})

graceful-restart
グレースフル・リスタート機能を使用するかどうかを指定します。本サブコマンドの指定がある場合にピアに対してグレースフル・リスタート機能のネゴシエーションを行います。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    グレースフル・リスタート機能を取り扱いません。
  2. 値の設定範囲
    なし

mode {restart | receive | both}
restartを指定した場合,リスタートルータ機能を有効にし,レシーブルータ機能を無効にします。receiveを指定した場合,レシーブルータ機能を有効にし,リスタートルータ機能を無効にします。bothを指定した場合,リスタートルータ機能・レシーブルータ機能共に有効にします。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    AX7800Sの場合
     リスタートルータ機能およびレシーブルータ機能を有効にします。
    AX5400Sの場合
     レシーブルータ機能を有効にします。
  2. 値の設定範囲
    AX7800Sの場合
     restart,receive,bothのどれかを指定します。
    AX5400Sの場合
     receiveだけ指定できます。

restart-time <Time>
隣接ルータがグレースフル・リスタートを開始してからピアが再接続するまでの最大時間(秒)を指定します。最大時間内にピアと再接続できなかった場合,レシーブルータでは該当ピアから受信した経路を削除します。また,リスタートルータでは当該ピアからのEnd-of-RIBの受信監視を中止します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は120です。
  2. 値の設定範囲
    <Time>に1〜3600(10進数)を指定します。

stale-routes-retain-time <Time>
レシーブルータ用のサブコマンドです。隣接ルータがグレースフル・リスタートを開始してから古い経路を保持する最大時間(秒)を指定します。最大時間内にピアから経路を再度受信できなかった場合,該当経路を削除します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は300です。
  2. 値の設定範囲
    <Time>に1〜3600(10進数)を指定します。

maximum-prefix <Maximum>
ピアから学習する経路数の上限値を指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    ピアから学習する経路数を制限しません。
  2. 値の設定範囲
    <Maximum>に1〜4294967295(10進数)を指定します。

threshold <Threshold>
ピアから学習する経路数について,警告の運用メッセージを出力する上限値に対する閾値を指定します。なお,100%を指定した場合は運用メッセージを出力しません。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    初期値は75%です。
  2. 値の設定範囲
    <Threshold>に1〜100(10進数:%)を指定します。1%単位に設定できます。

warning-only
ピアから学習した経路数が上限値を超えても,ピアを切断しないことを指定します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    ピアから学習した経路数が上限値を超えた場合,ピアを切断します。
  2. 値の設定範囲
    なし

restart-time <Minutes>
ピアから学習した経路数が上限値を超えてピアを切断したあと,再接続するまでの時間を指定します。なお,運用コマンドclear ip bgpを入力することで,任意にピアを再接続できます。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    ピアから学習した経路数が上限値を超えてピアを切断したあと,運用コマンドclear ip bgpを入力するまでピアを再接続しません。
  2. 値の設定範囲
    <Minutes>に1〜65535(10進数:分)を指定します。

no-fast-fallover
物理的に直接接続されたピアとのインタフェースダウン時,即時にBGPセッションを切断しないことを指定します。本サブコマンドは,物理的に直接接続された外部ピア,および物理的に直接接続されたインターナルピアに対して有効となります(multihop接続された外部ピア,multihop接続されたインターナルピア,およびルーティングピアは本サブコマンドにかかわらず,インタフェースダウンによって即時にBGPセッションを切断しません)。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    インタフェースダウン時,即時にBGPセッションを切断します。
  2. 値の設定範囲
    なし

route-stability-time <Time>
インタフェースダウンやIGP経路の削除によってBGP経路宛の通信が不可能になってからフォワーディングテーブルへの反映を開始するまでの時間(秒),インタフェースアップやIGP経路の復旧によってBGP経路宛の通信が可能になってからフォワーディングテーブルへの反映を開始するまでの時間(秒),およびIGP経路の変更によってBGP経路宛の通信が変化してからフォワーディングテーブルへの反映を開始するまでの時間(秒)を指定します。
なお,本指定時間よりも前にホールドタイムのタイムアウトによってBGPコネクションが切断された場合は,BGP経路を削除します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    インタフェースダウンやIGP経路が削除された時点,インタフェースアップやIGP経路が復旧した時点,およびIGP経路が変化した時点で,BGP経路のフォワーディングテーブルへの反映を開始します。
  2. 値の設定範囲
    <Time>に1〜65535(10進数:秒)を指定します。

fast-reroute gen-secondary-route
高速経路切替機能で使用する第2優先経路をルーティングテーブルに登録します。
optionsコマンドのfast-rerouteパラメータが設定されていない場合は,第2優先経路の登録は行いません。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    第2優先経路情報をルーティングテーブルに登録しません。
  2. 値の設定範囲
    なし

network <Id>
BGP4で生成する広告用経路のプレフィックスをネットワーク・フィルタ識別子で指定します。指定したネットワーク・フィルタと一致する任意のプロトコルのアクティブな経路が存在するとき,固定の経路属性を持つBGP4の広告用経路を生成します。広告用経路は非アクティブな経路で,フォワーディングテーブルには登録しませんが,エキスポート・フィルタを設定することでBGP4による広告が可能です。
本サブコマンドは複数指定できます。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    広告用経路を生成しません。
  2. 値の設定範囲
    <Id>に1〜65535(10進数),または32文字以内の文字列を指定します。

externalpeeras <As>
ピアグループ(外部ピア)のAS番号を指定します。本サブコマンドを入力後,bgp externalpeerasモードに移行します。
本サブコマンドは複数指定できます。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    外部ピアとのBGPコネクションを取り扱いません。
  2. 値の設定範囲
    <As>に1〜4294967295(10進数)を指定します。

{ internalpeeras <As> | routingpeeras <As> } [policygroup <No>] [ reflector-client [ no-client-reflect ] ]
ピアグループ(内部ピア)を指定します。internalpeerasはピアのルータが隣接しているピアを,routingpeerasはピアのルータが隣接していないピアを意味します。本サブコマンドでは,ピアグループのポリシーに関連するパラメータ(policygroup,reflector-client,no-client-reflect)を指定します。パラメータ指定の組み合わせを変えて,本サブコマンドを複数回指定すると,ポリシーが異なる複数のピアグループを設定できます。policygroupは内部ピアグループに特定のポリシーを割り当てる場合に指定します。reflector-clientパラメータを指定すると,ルートリフレクタクライアントのピアグループとなります。no-client-reflectパラメータは,クライアント間の経路情報をリフレクトしないことを指定します。本サブコマンドを入力後,それぞれbgp internalpeerasモードまたはbgp routingpeerasモードに移行します。
  1. 本サブコマンド省略時の初期値
    内部ピアとのBGPコネクションを取り扱いません。
  2. 値の設定範囲
    <As>に自AS番号を指定します。memberasサブコマンドを指定している場合は,メンバーASの番号を指定します。
    <No>に1〜16(10進数)を指定します。

[入力例]

  1. BGP4情報の設定
    以下を設定します。
    • グローバル情報(BGP4学習経路のプレファレンス値に100を設定)
    • 外部ピアグループ情報(AS番号:300)とそのピア情報(ピアIPアドレス:172.16.178.2)
    • 内部ピアグループ情報(AS番号:200 ,自側のIPアドレス:172.16.178.1)とそのピア情報(ピアIPアドレス:172.16.179.2とピアIPアドレス:172.16.179.3)
    • reflector-clientオプションのある内部ピアグループ情報(AS番号:200,自側のIPアドレス:172.16.178.1)とそのピア情報(ピアIPアドレス:172.16.179.4)
     
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# preference 100
                グローバル情報の設定
    [bgp]
    (config)# externalpeeras 300 
                ピアグループ情報の設定
    [bgp externalpeeras 300]
    (config)# peer 172.16.178.2
                ピア情報の設定
    [bgp externalpeeras 300 peer 172.16.178.2]
    (config)# exit
    [bgp externalpeeras 300]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# routingpeeras 200
                ピアグループ情報の設定
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# lcladdr 172.16.178.1
                ピアグループ情報の設定
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# peer 172.16.179.2
                ピア情報の設定
    [bgp routingpeeras 200 peer 172.16.179.2]
    (config)# exit
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# peer 172.16.179.3
                ピア情報の設定
    [bgp routingpeeras 200 peer 172.16.179.3]
    (config)# exit
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# routingpeeras 200 reflector-client
                                       ピアグループ情報の設定
    [bgp routingpeeras 200 reflector-client]
    (config)# lcladdr 172.16.178.1
                ピアグループ情報の設定
    [bgp routingpeeras 200 reflector-client]
    (config)# peer 172.16.179.4
                ピア情報の設定
    [bgp routingpeeras 200 reflector-client peer 172.16.179.4]
    (config)# exit
    [bgp routingpeeras 200 reflector-client]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
      routingpeeras 200 reflector-client
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.4
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# 
     
  2. グローバル情報
    • 設定(変更)
      BGP4グローバル情報を変更(BGP4学習経路のプレファレンス値を120に変更)します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# preference 120
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 120
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# 
     
    • 削除
      グローバル情報(preference)を削除します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 120
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# delete preference
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# 
     
  3. ピアグループ情報
    • 設定(変更)
      外部ピアグループ情報を変更(medを追加)します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# externalpeeras 300
    [bgp externalpeeras 300]
    (config)# med
    [bgp externalpeeras 300]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      externalpeeras 300
        med
        peer 172.16.178.2
    (config)# 
     
    外部ピアグループ情報を変更(medを削除)します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      externalpeeras 300
        med
        peer 172.16.178.2
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# externalpeeras 300
    [bgp externalpeeras 300]
    (config)# delete med
    [bgp externalpeeras 300]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# 
     
    内部ピアグループ情報を変更(lcladdrを172.16.178.20に変更)します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# routingpeeras 200
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# lcladdr 172.16.178.20
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.20
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
    (config)# 
     
    内部ピアグループ情報を変更(lcladdrを削除)します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# routingpeeras 200
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# delete lcladdr
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
    (config)# 
     
    • 削除
      内部ピアグループ情報を削除します。ピアグループ情報を削除した場合,該当ピアグループに所属するピア情報も削除されます。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# delete routingpeeras 200
    Are you sure? (y/n): y
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
    (config)# 
     
  4. ピア情報
    • 変更
      内部ピアグループ情報のピア情報を変更(setnexthoppeerパラメータを設定)します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# routingpeeras 200
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# peer 172.16.179.2
    [bgp routingpeeras 200 peer 172.16.179.2]
    (config)# setnexthoppeer
    [bgp routingpeeras 200 peer 172.16.179.2]
    (config)# exit
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
          setnexthoppeer
        peer 172.16.179.3
    (config)# 
     
    内部ピアグループ情報のピア情報を変更(setnexthoppeerパラメータを削除)します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
          setnexthoppeer
        peer 172.16.179.3
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# routingpeeras 200
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# peer 172.16.179.2
    [bgp routingpeeras 200 peer 172.16.179.2]
    (config)# delete setnexthoppeer
    [bgp routingpeeras 200 peer 172.16.179.2]
    (config)# exit
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
    (config)# 
     
    • 削除
      内部ピアグループ情報のピア情報(ピアIPアドレス:172.16.179.3)を削除します。
     
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.179.3
    (config)# bgp
    [bgp]
    (config)# routingpeeras 200
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# delete peer 172.16.179.3
    Are you sure? (y/n): y
    [bgp routingpeeras 200]
    (config)# exit
    [bgp]
    (config)# exit
    (config)# show bgp
    bgp yes
      preference 100
      routingpeeras 200
        lcladdr 172.16.178.1
        peer 172.16.179.2
    (config)# 
     
  5. BGP4情報の削除
    設定されているBGP4情報をすべて削除します。
     
    (config)# delete bgp 
    Are you sure? (y/n): y
    (config)# show bgp
    (config)# no such bgp
    (config)# 
     

[関連コマンド]

options(経路制御オプション情報)

autonomoussystem(自律システム番号情報)

routerid(ルータ識別子情報)

dampen-flap(ルート・フラップ・ダンピング情報)

import(インポート・フィルタ情報)

export(エキスポート・フィルタ情報)

aggregate(経路集約情報)

apply(ルーティングプロトコルコンフィグレーション反映)

[注意事項]

  1. system config_update autoが定義されていない時に本コマンドを使用しコンフィグレーションの変更を行った場合は,applyコマンドを投入してください。
  2. 本コマンドを使用しサブコマンドの変更を行った場合,一部のサブコマンドでは設定値を反映するために,一時的にBGP4コネクションが切断されます。詳細については,「表1-9 コンフィグレーションコマンド一覧」を参照してください。
  3. グレースフル・リスタートのリスタート機能(パケットフォワーディングの維持機能)を使用するときは,オプション情報(options)のgraceful-restartパラメータを設定してください。また,本コマンドで設定するグレースフル・リスタート機能のネゴシエーションあり/なしの定義は,次に示すようにグローバルに定義した場合には,グループおよびピアも有効になります。
     
    bgp yes
      graceful-restart
      externalpeeras 200
        peer 172.16.179.2
        peer 172.16.180.2
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
     
    上記の例では,すべてのグループ(AS300およびAS200)でグレースフル・リスタートが有効になっています。また,すべてのピア(172.16.178.2,172.16.179.2,172.16.180.2)でグレースフル・リスタートが有効になっています。
    グループに定義した場合には,ピアにも有効になります。
     
    bgp yes
      externalpeeras 200
        peer 172.16.179.2
          graceful-restart
        peer 172.16.180.2
          graceful-restart
      externalpeeras 300
        peer 172.16.178.2
     
    上記の例では,AS200のピア(172.16.179.2,172.16.180.2)でグレースフル・リスタートが有効になっています。
  4. パラメータ値は,ピア,グループ,グローバルの順に優先です。
     
    bgp yes
      graceful-restart restart-time 60
      externalpeeras 200
        peer 172.16.180.2
          graceful-restart
      externalpeeras 300
        graceful-restart restart-time 45
        peer 172.16.178.2
          graceful-restart restart-time 30
        peer 172.16.179.2
          graceful-restart
     
    上記の例では,各ピアのrestart-timeは次のとおりになります。
    ピア(172.16.178.2)ではrestart-timeは30になります。
    ピア(172.16.179.2)ではrestart-timeは45になります。
    ピア(172.16.180.2)ではrestart-timeは60になります。
  5. system config_update autoが定義されている時に,bgp noをbgp yesに変更した場合,またはBGPピア定義のないコンフィグレーションに初めてBGPピアを定義した場合は,BGPネットワークに関連するインポート・フィルタ情報およびエキスポート・フィルタ情報が無効になっていますので,update bgp-filterコマンドを使用してフィルタの設定を運用に反映させてください。
  6. networkサブコマンドで,外部のASから学習したBGP4経路に従って広告用経路を生成し,再配布する場合,再配布経路のASパス長は生成元のBGP4経路より短くなります。再配布先での優先経路選択のため,エキスポート・フィルタで適切な経路属性を設定してください。
  7. 装置の時刻補正を行う際は,「コンフィグレーションコマンドレファレンス Vol.2 ntp(NTP情報)」,「運用コマンドレファレンス Vol.1 set calendar」および「運用コマンドレファレンス Vol.1 rdate」の注意事項を参照してください。

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